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11.弾丸の休息2 アランの婚約者
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料理の準備はほぼ完了した
デザートもスタンバイ完了だ
「ところでこのうまそうな飯はいつになったら食えるんだ?」
テーブルに並んだ料理を見ながらアランさんが尋ねる
いい香りがしているだけにこのお預けは少々キツイのかもしれない
「そういえば2人遅いわね?」
「主役がいなきゃ始められないよね?」
その主役であるカルムさんはレイと出て行ったキリまだ戻ってきていない
こんな時スマホがあればすぐに連絡が取れるのに…なんて思う私は文明の利器に頼り切っていたことを自覚してしまう
世界地図を使えば居場所を特定するのは簡単だろうけど、それだけだからあまり意味はない
「暗くなってきたからそのうち戻ってくんじゃねぇの?」
トータさんがそう言った時玄関の方から音がした
「噂をすればなんとやらかしら?」
メリッサさんが楽しそうに言っているとカルムさんとレイが話しながら入ってきた
「遅いよ2人とも」
「遅いって…何かあったか?てかなんだよこのご馳走…」
カルムさんがテーブルに並んだ料理に驚いていた
「カルム、誕生日おめでとう」
ナターシャさんがそう言いながら抱き付いて口づける
「「おめでとうございます」」
私とメリッサさんが後に続くとレイたちも口々に言葉をかけていた
「なんそれ…まさかこれ俺のため?」
「そうよ。サラサちゃんに教えてもらってみんなにも協力してもらったの」
「マジか…サンキューな」
普段見せない照れた顔だった
「何かこんな風に祝ってもらう日が来るとは…」
カルムさんがそう言ったのはケーキまで食べ終え、さらにしばらく経った後だった
「本当だよなーこんなパーティーじみたことを俺らがするとは思わんかった」
「確かに」
みんないつもよりご機嫌である
この世界でパーティーと言えば貴族のする社交的なものしかない
「メリッサさん今日帰るの諦めたほうがよさそうだね」
アランさんはすでに出来上がっている
「どうしよ…」
「気にすんなメリッサ。一緒に泊ればいいだろ」
アランさんはそう言ってメリッサさんを抱きしめる
「でも…」
「あ、うちは大丈夫だよ。ね、レイ?」
「いんじゃねーの?むしろいてくれれば俺らがラク」
私に覆いかぶさるようにしてレイが言った
「確かに。アランさんをメリッサさんに任せちゃえばいいのか」
「正解」
レイは私の頭をなでながら笑う
「でも本当にいいの?」
「うん。アランさん専用の部屋あるしそこでいいならだけど…」
「アランの専用の部屋?」
何でそんなものがあるのかと目をパチパチさせている
「カルムさんとナターシャさんは一緒の部屋でトータさんとアランさんも一部屋ずつ占領してるから」
「知らなかった…」
「そういうことだから遠慮しなくていいよ」
「ありがと。じゃぁ気にせず飲んじゃおっと」
メリッサさんは安心したのかお酒を飲むペースを上げた
もうすっかりこの場になじんでいてアランさんが寝ていようと関係ないようだ
「レイお前ももっと飲めよ」
カルムさんがレイを捕まえてお酒を飲ませている
「…飲んでるって」
「まだ足りねーよ。だから…これで飲み比べだ」
そう言いながら取り出したのは2本のブランデーのボトルだった
このメンツで勝負事を持ち掛けられて引く者はいない
「マジかよ…」
レイはため息をつく
「レイがあんな態度取るの珍しいね?」
「サラサちゃん知らないの?レイはエールならいくらでも飲めるけどブランデーにはかなり弱いのよ」
「え?」
思わずレイを見る
そう言えば『エールは』と言っていた
「先に飲み終えたほうが勝ちだ。負けたら当然罰ゲームだな」
「…わーったよ」
レイは受けて立つというようにニヤリと笑う
「…開き直った?」
「そうみたい」
ナターシャさんが苦笑する
トータさんはメリッサさんと一緒に囃し立てている
「よっしゃ、俺の勝だ」
カルムさんが空になったボトルを掲げながら言った
負けたとしても飲み干すのがルールらしく、トータさんにあおられながらレイは最後まで飲み切った
「あーマジもう無理」
レイが空いたボトルをカルムさんに向かって投げた
それをキャッチしたカルムさんはただ笑っている
「ま、ブランデーでお前が俺に勝つには100年早い」
「わかってて仕掛けるとかどんだけ鬼畜だよ…」
笑いながら言うカルムさんをにらみつけている
「てことで今日はお開きだな。トータ、メリッサと一緒にアランを部屋に放りこんどけよ」
「了解」
トータさんとメリッサさんはアランさんを担ぐように客間に引き上げていくと、カルムさんは空になったブランデーのボトルをテーブルに並べて置いてレイを見た
デザートもスタンバイ完了だ
「ところでこのうまそうな飯はいつになったら食えるんだ?」
テーブルに並んだ料理を見ながらアランさんが尋ねる
いい香りがしているだけにこのお預けは少々キツイのかもしれない
「そういえば2人遅いわね?」
「主役がいなきゃ始められないよね?」
その主役であるカルムさんはレイと出て行ったキリまだ戻ってきていない
こんな時スマホがあればすぐに連絡が取れるのに…なんて思う私は文明の利器に頼り切っていたことを自覚してしまう
世界地図を使えば居場所を特定するのは簡単だろうけど、それだけだからあまり意味はない
「暗くなってきたからそのうち戻ってくんじゃねぇの?」
トータさんがそう言った時玄関の方から音がした
「噂をすればなんとやらかしら?」
メリッサさんが楽しそうに言っているとカルムさんとレイが話しながら入ってきた
「遅いよ2人とも」
「遅いって…何かあったか?てかなんだよこのご馳走…」
カルムさんがテーブルに並んだ料理に驚いていた
「カルム、誕生日おめでとう」
ナターシャさんがそう言いながら抱き付いて口づける
「「おめでとうございます」」
私とメリッサさんが後に続くとレイたちも口々に言葉をかけていた
「なんそれ…まさかこれ俺のため?」
「そうよ。サラサちゃんに教えてもらってみんなにも協力してもらったの」
「マジか…サンキューな」
普段見せない照れた顔だった
「何かこんな風に祝ってもらう日が来るとは…」
カルムさんがそう言ったのはケーキまで食べ終え、さらにしばらく経った後だった
「本当だよなーこんなパーティーじみたことを俺らがするとは思わんかった」
「確かに」
みんないつもよりご機嫌である
この世界でパーティーと言えば貴族のする社交的なものしかない
「メリッサさん今日帰るの諦めたほうがよさそうだね」
アランさんはすでに出来上がっている
「どうしよ…」
「気にすんなメリッサ。一緒に泊ればいいだろ」
アランさんはそう言ってメリッサさんを抱きしめる
「でも…」
「あ、うちは大丈夫だよ。ね、レイ?」
「いんじゃねーの?むしろいてくれれば俺らがラク」
私に覆いかぶさるようにしてレイが言った
「確かに。アランさんをメリッサさんに任せちゃえばいいのか」
「正解」
レイは私の頭をなでながら笑う
「でも本当にいいの?」
「うん。アランさん専用の部屋あるしそこでいいならだけど…」
「アランの専用の部屋?」
何でそんなものがあるのかと目をパチパチさせている
「カルムさんとナターシャさんは一緒の部屋でトータさんとアランさんも一部屋ずつ占領してるから」
「知らなかった…」
「そういうことだから遠慮しなくていいよ」
「ありがと。じゃぁ気にせず飲んじゃおっと」
メリッサさんは安心したのかお酒を飲むペースを上げた
もうすっかりこの場になじんでいてアランさんが寝ていようと関係ないようだ
「レイお前ももっと飲めよ」
カルムさんがレイを捕まえてお酒を飲ませている
「…飲んでるって」
「まだ足りねーよ。だから…これで飲み比べだ」
そう言いながら取り出したのは2本のブランデーのボトルだった
このメンツで勝負事を持ち掛けられて引く者はいない
「マジかよ…」
レイはため息をつく
「レイがあんな態度取るの珍しいね?」
「サラサちゃん知らないの?レイはエールならいくらでも飲めるけどブランデーにはかなり弱いのよ」
「え?」
思わずレイを見る
そう言えば『エールは』と言っていた
「先に飲み終えたほうが勝ちだ。負けたら当然罰ゲームだな」
「…わーったよ」
レイは受けて立つというようにニヤリと笑う
「…開き直った?」
「そうみたい」
ナターシャさんが苦笑する
トータさんはメリッサさんと一緒に囃し立てている
「よっしゃ、俺の勝だ」
カルムさんが空になったボトルを掲げながら言った
負けたとしても飲み干すのがルールらしく、トータさんにあおられながらレイは最後まで飲み切った
「あーマジもう無理」
レイが空いたボトルをカルムさんに向かって投げた
それをキャッチしたカルムさんはただ笑っている
「ま、ブランデーでお前が俺に勝つには100年早い」
「わかってて仕掛けるとかどんだけ鬼畜だよ…」
笑いながら言うカルムさんをにらみつけている
「てことで今日はお開きだな。トータ、メリッサと一緒にアランを部屋に放りこんどけよ」
「了解」
トータさんとメリッサさんはアランさんを担ぐように客間に引き上げていくと、カルムさんは空になったブランデーのボトルをテーブルに並べて置いてレイを見た
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