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最後の願い
第6話
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「亜紗美ちゃん手術の日が決まったよ」
「本当ですか?」
「あぁ。来月の10月15日だ」
先生の言葉にドキッとする
「10月15日…?」
「君の誕生日だよ。その日君は元気になるんだ」
先生はきっぱり言った
でも私は素直に喜べなかった
明らかに体力が消耗して来ている今私の中で死へのカウントダウンが始まっているように感じていたからだ
「彗耶君ちょうどよかった」
歩いてきた彗耶を呼び止める
「どうかしたんですか?」
「亜紗美ちゃんの手術の日が決まったんだよ」
「いつですか?」
「来月の亜紗美ちゃんの誕生日だ」
先生の声に彗耶は私の方を見た
「そうですか。じゃぁ10月のはじめには向こうに?」
「そうなるだろうね」
「わかりました」
彗耶が頷くのを見て先生は立ち去った
「亜紗美」
「ん?」
「今から入籍しに行くか」
突然の言葉に言葉を失う
「そうしよう」
彗耶はそういうなり病室から荷物をとってきた
私は混乱しながらもついていく
彗耶の車に乗り込むと彗耶はまっすぐ市役所に向かった
「…本当にいいの?」
「何で?」
彗耶が尋ね返してくる
「私死んじゃうかも知れないんだよ?」
私のその言葉に彗耶は車を止めた
「彗耶?」
怖い目で私を見る彗耶に戸惑う
「何でそんなこと…」
彗耶の表情が険しくなる
「…怖いの…。体がどんどん動かなくなってきて…。
手術の日まで私生きてられるのかなって…」
私はそういいながら泣き出してしまった
そんな私を彗耶は強く抱きしめてくれた
「大丈夫だ。そう信じろよ」
「彗耶…」
「お前が信じなきゃどうしようも無いだろ?」
彗耶はそう言ってキスをしてくれた
「俺は信じてるからな。お前がずっと一緒に生きられるって。だから籍を入れるんだ。そうだろ?」
私の髪をなでながらそういった彗耶の声は震えていた
そして何かを吹っ切るかのように再び車を走らせた
市役所につくと彗耶はダッシュボードから1枚の紙を取り出した
「俺の分と証人の分は書いてある。後はお前だけだよ」
彗耶がそう言って私に渡したのは婚姻届だった
あいているのは私のサインする場所だけだった
私は暫く届けを見つめてからサインをして印鑑を押した
そして2人で役所に届け出た
その瞬間私は最愛の人彗耶の妻となったのだ
最高に幸せな瞬間だった
入籍してからの日々は過ぎるのが早かった
渡航の手続きや転院の手続きなどに追われ、慌しく時間が過ぎていった
そして気がつくと私はカナダの病院に移っていた
「明日だな」
仕事を終えて見舞いに来た彗耶が言った
「彗耶…」
「ん?」
「キスして」
私は何の前触れもなくそう言った
「亜紗美?」
「お願い」
私の不安な気持ちを悟り彗耶は優しくキスをしてくれた
あと数時間後に私は生死を分ける手術を受けるのだから不安でないはずがなかった
「一緒に生きような」
彗耶のその言葉に頷くしか出来なかった
「本当ですか?」
「あぁ。来月の10月15日だ」
先生の言葉にドキッとする
「10月15日…?」
「君の誕生日だよ。その日君は元気になるんだ」
先生はきっぱり言った
でも私は素直に喜べなかった
明らかに体力が消耗して来ている今私の中で死へのカウントダウンが始まっているように感じていたからだ
「彗耶君ちょうどよかった」
歩いてきた彗耶を呼び止める
「どうかしたんですか?」
「亜紗美ちゃんの手術の日が決まったんだよ」
「いつですか?」
「来月の亜紗美ちゃんの誕生日だ」
先生の声に彗耶は私の方を見た
「そうですか。じゃぁ10月のはじめには向こうに?」
「そうなるだろうね」
「わかりました」
彗耶が頷くのを見て先生は立ち去った
「亜紗美」
「ん?」
「今から入籍しに行くか」
突然の言葉に言葉を失う
「そうしよう」
彗耶はそういうなり病室から荷物をとってきた
私は混乱しながらもついていく
彗耶の車に乗り込むと彗耶はまっすぐ市役所に向かった
「…本当にいいの?」
「何で?」
彗耶が尋ね返してくる
「私死んじゃうかも知れないんだよ?」
私のその言葉に彗耶は車を止めた
「彗耶?」
怖い目で私を見る彗耶に戸惑う
「何でそんなこと…」
彗耶の表情が険しくなる
「…怖いの…。体がどんどん動かなくなってきて…。
手術の日まで私生きてられるのかなって…」
私はそういいながら泣き出してしまった
そんな私を彗耶は強く抱きしめてくれた
「大丈夫だ。そう信じろよ」
「彗耶…」
「お前が信じなきゃどうしようも無いだろ?」
彗耶はそう言ってキスをしてくれた
「俺は信じてるからな。お前がずっと一緒に生きられるって。だから籍を入れるんだ。そうだろ?」
私の髪をなでながらそういった彗耶の声は震えていた
そして何かを吹っ切るかのように再び車を走らせた
市役所につくと彗耶はダッシュボードから1枚の紙を取り出した
「俺の分と証人の分は書いてある。後はお前だけだよ」
彗耶がそう言って私に渡したのは婚姻届だった
あいているのは私のサインする場所だけだった
私は暫く届けを見つめてからサインをして印鑑を押した
そして2人で役所に届け出た
その瞬間私は最愛の人彗耶の妻となったのだ
最高に幸せな瞬間だった
入籍してからの日々は過ぎるのが早かった
渡航の手続きや転院の手続きなどに追われ、慌しく時間が過ぎていった
そして気がつくと私はカナダの病院に移っていた
「明日だな」
仕事を終えて見舞いに来た彗耶が言った
「彗耶…」
「ん?」
「キスして」
私は何の前触れもなくそう言った
「亜紗美?」
「お願い」
私の不安な気持ちを悟り彗耶は優しくキスをしてくれた
あと数時間後に私は生死を分ける手術を受けるのだから不安でないはずがなかった
「一緒に生きような」
彗耶のその言葉に頷くしか出来なかった
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