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24.招待状

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裁判から数か月過ぎるとスターリング家を取り巻く環境は少しずつ変化を見せていた
エイドリアンは魔術師団に所属することを望まれたがそれを断り定期的に協力するだけにとどめた
スターリング家の政務をバックスから正式に引継ぎ当主になると決めたからだ

「リアン大丈夫?」
書類に埋もれかけているエイドリアンに声をかける
「ああ、あとはこれだけだから」
エイドリアンが指した場所には数束の書類
どうやら積み上げられた他の書類は処理済みのものらしい

「通常の業務は問題ないんだけどな」
「どういうこと?」
「パーティーや茶会の招待状が山のように届く。これまで一切無かったのにな」
ため息交じりに言うエイドリアンの視線の先には招待状が10センチほどの山となっている
裁判の日、素顔で登場したエイドリアンを見た者から、呪いの解かれた貴公子として噂は瞬く間に広がってしまった

「これまでは俺の姿を見るだけで逃げてたくせにな」
その言葉に嫁いできたころのことを思い出す
買物に出ても針の筵
避けるだけならまだしも、わざと聞こえるように蔑む会話を楽しむ者たちは大勢いた
店に入って不当な扱いを受けたことも数えきれないほどある

「ずっと変わらないのは家族と屋敷の者、それに…」
エイドリアンはアリシャナを自らの膝の上に引き寄せた
「リーシャ、おまえだけだ」
「私はちょっと違う気もするけど…」
「違わない。俺も家族もリーシャには感謝してる」
「それを言ったら私もリアンにもスターリング家のみんなにも感謝してるよ?」
言い返すアリシャナにエイドリアンは笑い出す
それにつられてアリシャナも笑みを零した

「パーティーもお茶会も参加はしないの?」
「…リーシャがしたいなら参加で返すよ」
「遠慮しとく」
少し考えてそう言ったエイドリアンに苦笑しながら返す
アリシャナの方もということもあり周りは騒がしくなる一方だったからだ

「アンジェラと似ても似つかぬ令嬢、だっけ?アンジェラの正体はではなく?だったとかなんとか…」
「世間の噂って本当に無責任だよね」
「まぁおかげで信用していい人間とそうでない人間の区別はつけやすいけどな。ちなみにその山は後者だな」
「前者からの招待状なんてある?」
「これだけだ」
エイドリアンは数束あった書類の隙間から封筒を1つ取り出した
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