[完結]あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません

真那月 凜

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31.自分を見つめ直す時

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「だからこの国は愚かだと言ったんだ。見た目、表面的な価値それしか見ることが出来ない」
「だからそれは…」
令嬢が言い返そうとした中、マックスの姿が変わっていく

「え…?すごいかっこいい…」
「誰あれ?あれがマックス様?」
「やだ、あんなにカッコいいのに何であんな姿に?」
「素敵…お父様、私マックス様と結婚したいわ!」
悲鳴のような令嬢たちの声が響く

「…で、キミの言いたいことは何だったかな?」
マックスは先ほどの令嬢に向かって言う
「い、いえ…」
向けられた微笑みに頬を真っ赤にする令嬢を次の瞬間マックスが笑い飛ばした

「俺の奥さんにだけはなりたくない、だったかな?」
「違…それは…!」
必死で否定しようとする令嬢に冷めた目を向ける
その目は心底軽蔑したような目だった

「実にくだらないな。見た目が変わっただけでその態度の変わりようは実に滑稽で吐き気がする。君のような頭がお花畑のご令嬢はこっちからお断りするよ」
「酷い…」
その言葉に令嬢は泣き出した

「酷いという前に自分の吐いた言葉を思い出してみたらどうだ?自分の発した言葉に責任を持つべきだと思うが…君のご両親はそんな事さえ教えてはくれなかったのか?」
「そんなこと…」
「あぁ、君の父上も似たようなことを言っていたか。なら無理もない」
側にいた両親をあざ笑うように言う

「皆も今一度考えてみて欲しい。関わる相手と誠実に向き合うことの大切さを。見た目や表面的なものに惑わされる愚かさを。これまでの態度と180度変わった相手を信用するに足るのかなど子供でも分かるはずだ」
その言葉に苦虫をかみつぶしたような顔をする者が大勢いた

「俺が絵を描くしか能がないと思ってた者も覚悟しておくがいい。明日からこの国の改革を始める」
マックスはそう言ってニヤリと笑う
どういうことかと会場が再びざわついた
そんな中帝王が再び声を張り上げた

「本日をもって我は帝王を降りる。長男のドミニクを帝王に、次男のアレン、三男のマックスを補佐とする」
帝王がそう言った途端青ざめるものが多数見て取れる

「…何かたくらんでいるとは思いましたけどまさかこんなことだったとは…」
「リーシャに本当の姿の事を言われて一瞬驚かれたのはこのせいだったようだな」
エイドリアンとアリシャナは苦笑する

「俺を愚か者と思い沢山の情報を零してくれたことには感謝する。それらは全て今後の改革に活かすと約束しよう」
「そんな…」
項垂れ崩れ落ちる当主が続出した

「様々な想いを抱えるものがいるようだが…ここから仕切り直しで舞踏会を再開しようじゃないか」
ドミニクがそう言った途端音楽が鳴り響く

「エイドリアン、アリシャナ、君達にファーストダンスをお願いしてもいいかな?」
「「喜んで」」
場の流れを見る限り断わるのはまずかろうと2人は引き受ける
エイドリアンにリードされ踊るアリシャナは男女問わず視線を奪った
1曲踊り終えると周りも踊り出し舞踏会としての雰囲気を取り戻していった

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