[完結]あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません

真那月 凜

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18.自分の気持ち(side:エイドリアン)

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「アリシャナ」
俺は俯くアリシャナの顎に手を添え上を向かせた

「俺は祝福を受け入れるよ」
自分でも驚くほど自然に受け入れていた

帝王はアリシャナを俺の元に寄越そうとしていた
それが条件となる言葉を引き出すためだと、その言葉を引き出すための力も持っていると…
しかもその力をアリシャナは使いたくないと言った
だとしたら、アリシャナが伏せたカギとなる言葉は簡単に導き出すことができる
条件は2つ
アリシャナを守れるなら、アリシャナをこの手に抱きしめ続けられるのなら他はどうでもいい
そのための力を手に入れられるなら拒否する理由などない

「守りたいものを守れるのならその祝福を受け入れる。それくらいアリシャナを愛してる」
「何てこと…」
アリシャナが驚愕の表情を見せた次の瞬間アリシャナの体が光に包まれ、その光が俺をも包んだ
アリシャナに触れている部分から何かが流れ込んでくるのを感じた

それと同時に記憶が書き換えられていくのがわかる
解放された自分の力をどう使えばいいのか、どうコントロールすればいいのか、そんな力に関する知識が記憶として蓄積されていく
同時に過去の祝福を受けた者達のそれぞれの人生がどんなものだったかも知ることが出来た
10分ほどすると光は消えていった

「…どうして…!」
アリシャナは俺の胸に顔を埋めて泣き叫ぶ
「…これからどうなるかわからないんですよ?これまで以上につらい思いをする可能性だって…」
真実を隠したのも自分が引き受けたのも全てそれが理由だったのだろう
悲観し泣き続けるアリシャナの顔をあげさせその眼もとに口づけを落とす

「それでもアリシャナは側にいてくれるんだろう?」
「当たり前です!」
即答されたその言葉だけで言葉に出来ないほどの喜びを感じる

「当たり前に側にいてくれるアリシャナの気持ちは聞かせてくれないのかな?」
アリシャナが自分を慕ってくれていることに気付いていた
それでもちゃんと言葉で聞いてみたいと欲を出す

「…て…ます…」
「ん?」
「愛…してます…!リアン様に負けないくらい…」
そう言って見せたのは満面の笑みだ
それを見た瞬間幸せだと感じた俺はどうやら笑っていたらしい
「…俺は笑えるのか…」
そうつぶやきアリシャナを抱きしめる

「リアン様?」
「様はいらない」
「えっと…リ…アン…?」
「ああ」
返事と共に口づける

「リアン…」
「ん?」
「私の事も…リーシャと呼んでいただけますか?」
「リーシャ?」
「はい」
「愛してるリーシャ…何があっても守るよ」
それは決意だ

リーシャを幸せにできるならたとえ化け物になろうと構わない
そんな狂気じみたことを思った自分に心の中で苦笑した
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