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144.感染症?
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「来てもらったのは薬草を探してもらいたいからだ」
「薬草?」
「隣町との間にある森に少しだが生えていた記録があるらしい。森のどこかが分からない以上、低ランクを向かわせるわけにもいかなくてな」
奥まで行けばAランクがそれなりに出るから当然か?
「薬草の名前は?」
そう尋ねたのは母さん
仕草を見たところマップで検索しようとしてる感じかな?
つられるように俺もマップを広げる
普段、特定の魔物や薬草を探すためには使うことは無いけど今みたいな緊急事態は別だ
「メラウレカという薬草の皮らしいんだが…」
「メラウレカ?どっかで見たような…」
「何?!」
俺のつぶやきにコーラルさんが食いついた
身を乗り出してこられるとちょっと怖い
「シア、リアンを探しに行った時に採取してなかった?」
「あぁ、そう言えば…」
レティの言葉に記憶がよみがえる
「付近を確認しても木が3本しか生えてなかったから葉を少しだけ採取するだけにしたあれか」
言いながらインベントリから葉を取り出した
「後で母さんに渡そうと思ってたけどリアンの事ですっかり忘れてた」
「お前…」
何故か父さんが呆れたような顔をする
いや、あの時は神獣が契約獣にってことでそっちに思考が独占されてたから仕方ないじゃないか?
しかもシープキングの大量の角問題もあったし…
なんて出かかった言い訳をとりあえず飲み込んだ
「でもこの葉は予防に使えるだけじゃなかったっけ?」
念のために確認してみたけどやっぱり予防としか書いていない
「ルーシーたちの研究で皮から抽出された成分に治療効果があると分かった。それも先月の事だがな」
「マジか…でも3本しかなかったんだけど?」
町が対象になると足りるのか?
最悪使い切ることになるんじゃないだろうか…
「それは問題ない。だよな?」
父さんが母さんに尋ねる
「ええ。この葉があるなら問題ないわ」
「…まさか母さんのスキル?」
「そのまさかよ。シア達にも見せたことは無かったわね」
母さんはそう言って俺が採取してきた葉を手に取った
次の瞬間、植物の苗が宙に浮いていた
しかも早送りしたかのようにその苗が成長していくのはどういうことなのか…
「は?」
「え?」
「何これ…」
そこら中から呆けた声が零れる
「コーラル、庭に植えるぞ?」
既に30センチくらいになってしまった苗を見て父さんが言う
「あ、あぁ、とりあえず玄関先の開いてる場所に」
言われてすぐに母さんは玄関先に向かう
自然と俺達もその後に続いた
土魔法で掘った穴にその苗だったものを植えてさらに少しするとあり得ないほど立派な木になっていた
***
メラウレカ
成分を抽出することで抗菌作用を持つ薬草
葉…感染症の予防にきく
皮…現在発見されているあらゆる感染症を根治する
***
前は表示されていなかった皮の効果が表示された
なるほど、効能が発見されたから表示されるようになったのか
相変わらずの不思議仕様だ
「それにしてもすごいな…」
「植物がこんなに早く育つなんて…」
レティも思わずと言った感じでつぶやいている
「1本で足りるのかしら?」
「他所の町に広がる可能性もある。できれば4~5本は欲しい所だが…」
「分かったわ」
母さんは頷くなり苗を一気に4つ作り出す
今度は最初から植えてそのまま成長…
「冗談きつい」
「私もそう思うわ」
クスクス笑いながら言う母さんに皆開いた口が塞がらない
流石にスキルの詳細は怖くて聞けなかった
「なんにしても感謝する。早速活用させてもらうよ」
「もし足りなければまた連絡してくださいね」
「ああ、そうさせてもらおう」
コーラルさんはホッとしたように言い、俺達はコーラルさんの屋敷を後にした
ギルドの転移装置で皮の一部を先行して送り、同時に2本の木が移植するため隣町に運びだされた
2週間たった頃には隣町の封鎖も解除されていた
+-+補足+-+
サラサのスキルについては「ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました」の「41.初めての納品」で出てきます。気になる方は覗いてみてください
「薬草?」
「隣町との間にある森に少しだが生えていた記録があるらしい。森のどこかが分からない以上、低ランクを向かわせるわけにもいかなくてな」
奥まで行けばAランクがそれなりに出るから当然か?
「薬草の名前は?」
そう尋ねたのは母さん
仕草を見たところマップで検索しようとしてる感じかな?
つられるように俺もマップを広げる
普段、特定の魔物や薬草を探すためには使うことは無いけど今みたいな緊急事態は別だ
「メラウレカという薬草の皮らしいんだが…」
「メラウレカ?どっかで見たような…」
「何?!」
俺のつぶやきにコーラルさんが食いついた
身を乗り出してこられるとちょっと怖い
「シア、リアンを探しに行った時に採取してなかった?」
「あぁ、そう言えば…」
レティの言葉に記憶がよみがえる
「付近を確認しても木が3本しか生えてなかったから葉を少しだけ採取するだけにしたあれか」
言いながらインベントリから葉を取り出した
「後で母さんに渡そうと思ってたけどリアンの事ですっかり忘れてた」
「お前…」
何故か父さんが呆れたような顔をする
いや、あの時は神獣が契約獣にってことでそっちに思考が独占されてたから仕方ないじゃないか?
しかもシープキングの大量の角問題もあったし…
なんて出かかった言い訳をとりあえず飲み込んだ
「でもこの葉は予防に使えるだけじゃなかったっけ?」
念のために確認してみたけどやっぱり予防としか書いていない
「ルーシーたちの研究で皮から抽出された成分に治療効果があると分かった。それも先月の事だがな」
「マジか…でも3本しかなかったんだけど?」
町が対象になると足りるのか?
最悪使い切ることになるんじゃないだろうか…
「それは問題ない。だよな?」
父さんが母さんに尋ねる
「ええ。この葉があるなら問題ないわ」
「…まさか母さんのスキル?」
「そのまさかよ。シア達にも見せたことは無かったわね」
母さんはそう言って俺が採取してきた葉を手に取った
次の瞬間、植物の苗が宙に浮いていた
しかも早送りしたかのようにその苗が成長していくのはどういうことなのか…
「は?」
「え?」
「何これ…」
そこら中から呆けた声が零れる
「コーラル、庭に植えるぞ?」
既に30センチくらいになってしまった苗を見て父さんが言う
「あ、あぁ、とりあえず玄関先の開いてる場所に」
言われてすぐに母さんは玄関先に向かう
自然と俺達もその後に続いた
土魔法で掘った穴にその苗だったものを植えてさらに少しするとあり得ないほど立派な木になっていた
***
メラウレカ
成分を抽出することで抗菌作用を持つ薬草
葉…感染症の予防にきく
皮…現在発見されているあらゆる感染症を根治する
***
前は表示されていなかった皮の効果が表示された
なるほど、効能が発見されたから表示されるようになったのか
相変わらずの不思議仕様だ
「それにしてもすごいな…」
「植物がこんなに早く育つなんて…」
レティも思わずと言った感じでつぶやいている
「1本で足りるのかしら?」
「他所の町に広がる可能性もある。できれば4~5本は欲しい所だが…」
「分かったわ」
母さんは頷くなり苗を一気に4つ作り出す
今度は最初から植えてそのまま成長…
「冗談きつい」
「私もそう思うわ」
クスクス笑いながら言う母さんに皆開いた口が塞がらない
流石にスキルの詳細は怖くて聞けなかった
「なんにしても感謝する。早速活用させてもらうよ」
「もし足りなければまた連絡してくださいね」
「ああ、そうさせてもらおう」
コーラルさんはホッとしたように言い、俺達はコーラルさんの屋敷を後にした
ギルドの転移装置で皮の一部を先行して送り、同時に2本の木が移植するため隣町に運びだされた
2週間たった頃には隣町の封鎖も解除されていた
+-+補足+-+
サラサのスキルについては「ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました」の「41.初めての納品」で出てきます。気になる方は覗いてみてください
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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