チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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141.戦利品

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「迷宮産ってお前…あの恐ろしいほどの機能を持ったヤツだよな?」
マリクがようやく言葉を発した
「そうだな」
俺は即答しながら頷く
マリクが恐ろしいほどの機能と言いたいのはもう一つ迷宮産の武器に共通している機能のことだろう
武器本来の威力が使用者のステータスに連動するという謎の機能があって、それは矢や銃の弾丸なんかの消耗品も例外じゃないってこと
他人に貸したら当然のようにその人のステータスに連動するし、使用者登録をすれば誰かに奪われたとしても武器自ら手元に戻ってくる
これは登録した者が死ぬか、神殿で使用者解除するまで続く

さらに何かしらの付加機能がついているものもある
今回俺たちが渡したものについている不劣化は傷まないため半永久的に使うことができるもので、さらに追跡機能は狙った獲物に当たるまで追跡し続けるもの

「たかが10本だけど絶対に外さない上に半永久的に使える高性能の矢だ。今ならこれもつけるぞ」
言いながら取り出したのは同じく迷宮産の弓
「シアお前これ…」
ヒタチが口をパクパクさせて魚みたいになっていた
成人した男がやってもかわいくないけどな?
「その矢と一緒に今日出たんだけど俺もレティも弓は使わないし、あの家の関係者にも弓使いはいないからな」
「けどこれ売ればかなりの…」
「その場合、確実にどうでもいいやつの手元にいくだろ?それは嫌なんだよな」
迷宮産の武器や防具は超レア扱い
ギルドに売れば破格の値段が付くけど、その分売値はさらに高くなる
結果、貴族がコレクションとして手に入れて冒険者に渡らないのが定石だ
「こんな高性能な武器を貴族のコレクションにするなんてばからしいだろ?」
『猫に小判』『豚に真珠』『馬の耳に念仏』とかいうんだっけ?
ちょっと言葉は変わるけどこっちの世界にもあるからすんげー違和感がある
「私もシアに同意。だからヒタチにって話してたの」
「ちなみにこれ火属性なんだよな」
「!」
ヒタチが息をのむ
ヒタチの魔法属性は火だ
『弾丸』に指導してもらってるおかげで剣に火をまとわせることはできるようになっている
そのヒタチが火属性の迷宮産の弓を使ったらどうなるか?
そこには楽しみな未来しか待っていない

「シア達が困ったとき俺たち皆で力になる。だからヒタチ、この弓はありがたくもらっとけ」
「マリク?」
「迷宮産の火属性の弓にこの先出あえる確率なんて考えるまでもないだろ?」
「それは…そうだけどさ」
おそらく俺でもこの先死ぬまで出会わないだろう
試しにエンドレスにしてみたけど矢も弓もこれ以上出なかったしな
その点に関しては、魔道具は作れるものだけど迷宮産の武器や防具についてる性能は魔道具として再現できないのが理由だろうと勝手に思っている

「もらっとけよ。どうせシアのことだからヒタチが使わなきゃ、次に火属性持ちの弓使いに出会うまでインベントリの肥やしだって」
「…リアム、間違ってはいないけどその言い方は何とかならないか?」
「間違ってないなら問題ないだろ?」
あっさり返された
確かに死蔵一択だよな
次に火属性持ちの弓使い似合う確率もかなり低い
龍神族の寿命が長かろうとそれは変わらない

「とにかくそういうことだからヒタチは遠慮なく使ってくれ」
「そういうことなら…正直助かるよ」
弓は使用者が少ない分値段も割高になるし種類も少ない
作り手も少ないだけにオーダーメイドで作れるのはSランク以上といわれている
迷宮産はなぜか使用者の手に馴染むという意味でもヒタチには合うはずだ
「腕を上げて今度一緒に依頼受けるときにでも感想を聞かせてくれ」
「もちろんだ」
ヒタチは嬉しそうにそう答えながら頷いた
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