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138.意外な力
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研究所から持って帰ってきたスライムは全て無事契約が完了した
念話のスキルを持ってる一部の個体は契約者関係なく意思疎通ができるおかげで大きなトラブルもない
マリクたちは予想通り孤児院に連れて行った
ルークがスライムに説明して孤児院の子供達の遊び相手になることを了承したらしい
ルークとリアムは2人共孤児だったけど黒髪にエメラルドの眼はそっくりで本当の兄弟に見える
「おいシア!」
4人で迷宮から出てきたところでマリクに捕まった
「どうしたんだよマリク?」
マリクにしては珍しく慌ててる感じだ
「どうしたじゃねぇよ。あのスライム何なんだ?!」
「何なんだとは?」
俺は首をかしげる
「いいから来い」
マリクに促されるまま4人揃ってついていく
「何があったんだろ?」
「さぁ…」
ルークとシャノンも首を傾げながら話をしていた
「あれを見ろ」
マリクが指したのは孤児院の庭
そこには色んな野菜が植えてある
「「「「…」」」」
俺達は揃って固まった
「何だあれ…」
いや、ほんと何?
目の前のスライムは文字通り野菜を『育てて』いた
ここは間違えないでほしい
『世話をしてる』んじゃなく『育ててる』んだからな?
目の前でわずかとはいえ明らかに成長していく野菜たちを俺達はただ茫然と眺める
「ちなみに『種を植えた』のは連れてきた前日だ」
「は?!」
スライムを持って帰ってきたのは1週間前
目の前にあるのは、はつか大根だから本来なら芽が出たくらいのはず
すでに10cmくらいの『葉』が付いている
見た感じあと数日で収穫できる感じだ
「ああやってスライムに包み込まれた後少し成長する。チビが気づいてから孤児院内はお祭り騒ぎだ」
そりゃそうなるよな
慢性的に食料不足の孤児院で育てている野菜が信じられないスピードで成長するんだから
「そういえばあの色味のスライムの餌は植物だったような…」
コーラルさんからもらったリストの内容を思い出す
「…餌によって見た目だけじゃなくスキルも変わる?」
「いや、スキルは持ってない」
レティの言葉にステータスを確認しても何も表示されていない
つまりその個体が持つ元々の特性扱いだ
人が二足歩行するのと同じようなもの
元々持つ当然の力で特筆するような力じゃないってこと
そういう力はステータスには表示されないらしい
「良かったじゃないか」
「は?」
「あいつらは研究所で育てられた個体だしどんな力があるかまではこれからの研究内容。偶然とはいえ孤児院で役に立つ力なら有り難く享受しとけばいい」
「…そんなんでいいのか?」
「ああ。俺らが契約してるのはコーラルさんも知ってるから問題ない」
「そう…か…」
マリクは脱力しながらつぶやいた
「ルーク、量やスピードが調整できるのか確認してくれ」
「了解」
ルークはすぐさまスライムの側へ向かって行った
話ながらしっかり魔力の補充もされている
「量はこの5倍くらいまで、スピードは10段階のうち今は5くらいだって。1は普通よりちょっと早い程度。10が一番早くて通常の1/10の期間で収穫できるみたいだよ」
「マジか…」
「ただ10の速さだと日に数回魔力補充してくれって」
力を出し尽くすらしい
「ちなみに今のスピードだと?」
「収穫までは通常の半分くらい、魔力補充は週に1-2回で問題ないみたい」
「あぁ、ルークの来る頻度に合わせたスピードってわけか」
「そういえば最初に確認された気がする」
思い出したようにルークは言った
この出来事を家に帰ってから話すと母さんがさらに驚くことを教えてくれた
埃を食べて育ったスライムが家中を掃除して回ってる
皮を食べて育ったスライムが父さん達の持って帰ってきた素材の皮をなめしている
そんな情報が次々と上げられた
ちなみにアズとルビーは見た目通りの属性魔法が使えることが判明した
これもステータスには表示されていなかったんだけどな…
一応コーラルさんに報告はしたけど研究所の人には秘匿するらしい
研究は基本ケージに入れたまま行ってるから彼らがそのことに気付く日が来るかは謎だ
念話のスキルを持ってる一部の個体は契約者関係なく意思疎通ができるおかげで大きなトラブルもない
マリクたちは予想通り孤児院に連れて行った
ルークがスライムに説明して孤児院の子供達の遊び相手になることを了承したらしい
ルークとリアムは2人共孤児だったけど黒髪にエメラルドの眼はそっくりで本当の兄弟に見える
「おいシア!」
4人で迷宮から出てきたところでマリクに捕まった
「どうしたんだよマリク?」
マリクにしては珍しく慌ててる感じだ
「どうしたじゃねぇよ。あのスライム何なんだ?!」
「何なんだとは?」
俺は首をかしげる
「いいから来い」
マリクに促されるまま4人揃ってついていく
「何があったんだろ?」
「さぁ…」
ルークとシャノンも首を傾げながら話をしていた
「あれを見ろ」
マリクが指したのは孤児院の庭
そこには色んな野菜が植えてある
「「「「…」」」」
俺達は揃って固まった
「何だあれ…」
いや、ほんと何?
目の前のスライムは文字通り野菜を『育てて』いた
ここは間違えないでほしい
『世話をしてる』んじゃなく『育ててる』んだからな?
目の前でわずかとはいえ明らかに成長していく野菜たちを俺達はただ茫然と眺める
「ちなみに『種を植えた』のは連れてきた前日だ」
「は?!」
スライムを持って帰ってきたのは1週間前
目の前にあるのは、はつか大根だから本来なら芽が出たくらいのはず
すでに10cmくらいの『葉』が付いている
見た感じあと数日で収穫できる感じだ
「ああやってスライムに包み込まれた後少し成長する。チビが気づいてから孤児院内はお祭り騒ぎだ」
そりゃそうなるよな
慢性的に食料不足の孤児院で育てている野菜が信じられないスピードで成長するんだから
「そういえばあの色味のスライムの餌は植物だったような…」
コーラルさんからもらったリストの内容を思い出す
「…餌によって見た目だけじゃなくスキルも変わる?」
「いや、スキルは持ってない」
レティの言葉にステータスを確認しても何も表示されていない
つまりその個体が持つ元々の特性扱いだ
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元々持つ当然の力で特筆するような力じゃないってこと
そういう力はステータスには表示されないらしい
「良かったじゃないか」
「は?」
「あいつらは研究所で育てられた個体だしどんな力があるかまではこれからの研究内容。偶然とはいえ孤児院で役に立つ力なら有り難く享受しとけばいい」
「…そんなんでいいのか?」
「ああ。俺らが契約してるのはコーラルさんも知ってるから問題ない」
「そう…か…」
マリクは脱力しながらつぶやいた
「ルーク、量やスピードが調整できるのか確認してくれ」
「了解」
ルークはすぐさまスライムの側へ向かって行った
話ながらしっかり魔力の補充もされている
「量はこの5倍くらいまで、スピードは10段階のうち今は5くらいだって。1は普通よりちょっと早い程度。10が一番早くて通常の1/10の期間で収穫できるみたいだよ」
「マジか…」
「ただ10の速さだと日に数回魔力補充してくれって」
力を出し尽くすらしい
「ちなみに今のスピードだと?」
「収穫までは通常の半分くらい、魔力補充は週に1-2回で問題ないみたい」
「あぁ、ルークの来る頻度に合わせたスピードってわけか」
「そういえば最初に確認された気がする」
思い出したようにルークは言った
この出来事を家に帰ってから話すと母さんがさらに驚くことを教えてくれた
埃を食べて育ったスライムが家中を掃除して回ってる
皮を食べて育ったスライムが父さん達の持って帰ってきた素材の皮をなめしている
そんな情報が次々と上げられた
ちなみにアズとルビーは見た目通りの属性魔法が使えることが判明した
これもステータスには表示されていなかったんだけどな…
一応コーラルさんに報告はしたけど研究所の人には秘匿するらしい
研究は基本ケージに入れたまま行ってるから彼らがそのことに気付く日が来るかは謎だ
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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