チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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134.秋といえば…

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「ってことで今日は読書かな」
「読書の秋?」
「そういうこと。レティはどうする?」
「私も読書にしようかな。読みたい本溜ってるし」
そういえば本部屋から結構な量を持ってきてた気がする

「今日は日差しも気持ちよさそうだし外で読むか」
レティを促して2人で下に降りるとそのまま庭に出た
チビ達がリアンたちと遊んだり薬草採取したりしながら遊んでるのはいつもの事
さっきまでポーチの中にいたリトスとクロムも皆のところに飛んで行った
リトスをはじめリアンもクロムも基本的には自由に動き回れるようにしてある
町に行くときは陰に控えてることもあるけど、たいていは外に出たまま思い思いに過ごす
結果、リトスとクロムは俺のそばにいることが多いけど、リアンはチビ達と遊んでることの方が多いかもしれない

俺は背もたれ付きの椅子2つと小さめのテーブルを1つ取り出した
「レティ」
「ありがと」
取り出したクッションを渡すとレティは嬉しそうに受け取って椅子に座った
お互いに適当に飲み物を取り出してテーブルに置くとそのまま読書タイムに突入だ
本当にのどかな至福のひと時だと感じる

「…ん?」
暫く本に没頭していた俺の服を引っ張られている感じがしてそっちに視線をやると、ロニーがじっと俺を見上げていた
「ロニー、どうした?」
「僕も…」
「ん?ロニーも読みたいのか?」
尋ねてみると頷いた
「おもちゃ部屋の絵本取って来るか?」
「全部覚えた」
返ってきた言葉に思い出す
そういえばロニーはもう文字を読めるんだったか
「じゃぁ、本部屋にロニーの読みやすそうな本を探しに行こうか」
「いいの?」
窺うような目が揺れる
「いいよ。おいで」
抱き上げてレティに声をかけてから一旦本部屋へ

「ロニーはどんな本が読みたい?」
「…魔物」
「魔物?魔物の事が知りたい感じか?」
「知りたい。倒せるようにも、なりたい」
どこか決意じみたものを感じるのは気のせいか?
「どうして倒したいんだ?」
「…大事な人、守りたい」
俺の肩に添えられていた手に力がこもる
少しずつ笑顔を見せる様になってきていたロニー
でも心の傷は簡単には癒えない

「…そうか。じゃぁ魔物の弱点いっぱい覚えような」
そう言うと少し驚いたような顔をする
「どうした?」
「…反対、しないの?」
「しないよ」
「どうして?」
「ん~理由は特にないけど、ロニーはどうして反対されると思うんだ?」
「住んでたところ、魔物がよく来てた。同じこと言ったら父さんに怒られた。それに、周りの人には笑われた」
なるほど?
父親はきっと貴族に引き渡す前に余計な事をして欲しくなかったし、周りはこんな子供が何言ってんだって感じか
容易に予想できるのがまた腹立たしい

「俺達は誰も怒らないし笑わないよ」
「どうして?」
「この家で冒険者やってるやつら、俺も含めてだけど、今のロニーと同じ年頃から戦い方を教えてもらってたからだよ」
「そう…なの?」
「ああ。ロニーがこの先、冒険者や騎士を目指したいならカルムさんもナターシャさんもちゃんと協力してくれる」
「本当?」
「実際マリクもリアムも冒険者やってるだろう?」
「あ…」
ロニーは数日前に来ていたマリクたちを思い出したのか頷いた

「知りたいと思えば剣の使い方でも魔法の使い方でも聞けばいい。薬草や魔物のことだって同じだ」
「本はだめ?」
「いや。本からでも問題ないよ。この辺りに薬草や魔物の本が集めてあるから好きな時に見ればいい」
俺達が子供のころからの定位置だ
入り口に一番地下本棚の一番下の段
薬草に関しては一番開いていたのはバルドさんとケインだろう
魔物は俺とマリクが多いはず
何となく懐かしさを感じてしまった

「シアの隣で読んでいい?」
「いいぞ。向こうに戻ったら椅子を出してやるよ」
嬉しそうに頷くロニーに紙の妖精が祝福を与えるのも時間の問題だろうかと考える
マリクとケインが貰ってないのは多分、読む本の種類が偏ってるからだと思うんだよな
その点、ロニーはこの部屋の本を片っ端から読んでもおかしくない
きっとその答えが分かる日はそう遠くないだろう
…というかロニーなら本の位置まで覚えてしまうだろうか?
この日から俺達が読書をしているとロニーがあたりまえのように隣に来るようになった
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