チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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133.妖精からの招待

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「眩し…」
感じる光に目を覚ます
いつもならこんなことは無いのにと思いながら窓の方を見るとカーテンが開いていた
太陽の高さからすればもう昼前か?
「そういえば…」
昨日の晩はベランダで妖精達と戯れていたことを思い出す
そのままカーテンを閉め忘れて眠っていたらしい
レティも眩しいのか布団に潜り込んで俺の胸元に顔を埋める様にしてスヤスヤと寝息を立てていた
これは起きれないな…
別に起こしても文句言うようなタイプじゃないけど、ここまで気持ちよさそうだと気が引ける
どうせ今日は休みだしこのままゆっくりするのもいいだろう
そう思いながらインベントリの整理をすることにした

旅の前を思えばずいぶん大きくなったインベントリにはかなりの物が入っている
色々小分けしてたら面白いくらいにでかくなったんだよな
それでも魔力が減る様子はないから問題はないんだろう
目減りするまで広げたらどんだけでかくなるのかやってみたい気もするけど、その結果がちょっと怖いからやらない

「あ、そういえば…」
思わずつぶやいた視線の先には『剣』の文字
それをタップすれば中に入っている剣のサムネイルが一覧で表示される
ちなみに武器に関しては大きく分けて3種類
過去に使ってた剣と迷宮のドロップで出た剣、そして魔物を倒したときに手に入れた剣だ

魔物を倒したときに手に入れたものは、まれにある性能のいいものを除いて冒険者の間では捨て武器といわれる使い方をする
飛んでる魔物を落とすために投げたり、罠がないか確かめるために投げたりする、いわゆる手元に戻ってこない可能性が高いときに使うためにとってあるものだ
ランクの低い魔物から出た武器は魔物のランクよりも1つか2つ下のランクのものが多いため自分で使うには性能に難ありになる
自分のランクが低いうちはそんな武器でも売って小銭稼ぎをするけどDランク以上はたいてい捨て武器として取っておく
もっとも荷物の容量に制限があるからそれを上回る量なら売るみたいだけど、俺にはその制限がない
結果、大量にたまっていたりする

迷宮のドロップは依頼が出た時に出すか、もしくは他の冒険者との取引で使うために手元に置いてある

そして今俺が見てるのは過去に使ってたものだ
いくつかはルークやヘンリーに譲ったけど大半が手元に残っている
その中でも一番古いものに目が止まる
練習用の剣で刃が潰されたものだ

俺が初めてこの手に握った剣であり、両親からもらった初めての武器でもある
マリクとリアムと一緒に父さん達に教えてもらった日々が懐かしい
その懐かしさに気付いたら手元に取り出していた
今では俺が持つにはすっかり小さくなってしまった剣
これでも当時は両手でないと持つことが出来なかったんだよな…

「…おはよ」
モゾモゾと動きながら顔を出してきたレティは寝ぼけた表情のままそう言った
「ああ、おはよ」
そう言って口づけ魔力を交換するのは、既に当たり前になった寝起きのイベントだ
「…剣?何か玩具みたいだけど」
「ん?ああ、俺が初めてこの手に握った練習用の剣だ」
「そうなの?」
レティは興味を持ったらしく体を起こして俺の手にある剣をまじまじと見る
「興味あるならじっくり見ればいい」
そう言いながら持っていた剣をレティに渡すと、俺も身体を起こして取り出したシャツを肩にかけてやる
「ありがと」
どっちに対しての礼かは不明だ

嬉しそうに剣に触れながら見ているのを眺めながら服を身に着ける
「こんな小さいの使ってたんだね。シアの小さい頃見てみたかったなぁ」
「それを言ったら俺だってレティの小さい頃を見てみたかったぞ?」
「え~?」
レティは見なくていいよと言いながら恥ずかしそうに笑った
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