チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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閑話11 マリクとローラ(side:俯瞰)

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守られて当たり前と思ってる女はいらない
子供のころからずっとそう思ってきた
そんな女は自分の子供さえ守ろうとせずに逃げる
勿論大切なモノを庇って死んでほしいとは思わない
でも共に大切なモノを共に守れる相手がいい
その為の心の強さをローラは持っていると信じることが出来た
この日マリクはローラにプロポーズすると決めた

「クソ…これもハズレか…」
パーティーでの活動以外の時間に緑の魔石を出す魔物をひたすら狩る日々
ローラにプロポーズすると決めてから既に2年が経っていた
ローラの目の色と同じ淡い緑の魔石をミスリルのブレスレッドに…
そしてその魔石は自分で見つけ出す
その為だけに魔物を狩り続けた
マリクは自分のエゴだとわかっていても、どうしてもそうしたかった
時間だけが過ぎてもローラもギルマスたちも待っていてくれた
その理由がリアムが説明したからだと知ったのは後からだったが…

「俺とこの先も一緒にいて欲しい」
ようやく見つけた魔石を使ったミスリルのブレスレットをローラの手首に巻いた
今更と怒るだろうかと不安に押しつぶされそうになっていたマリクの耳に届いたのは同意の言葉
「ずっと前からそのつもりよ?」
ローラはそのブレスレットに口づけ手からマリクに口づける
その後、さも“当然でしょう?”という顔を見せたローラに、マリクはローラには一生敵わないと思った
「待たせて悪かった」
「いいの。理由はリアムから聞いてるから」
「え?」
「生みのご両親と同じように自分で手に入れた魔石をって。私の目の色は珍しいって私も父さん達も知ってるから」
「そうか…」
「でも、カルムさん達じゃなく生みのご両親を真似た理由までは知らない」
ローラはそう言ってマリクの顔をのぞき込む
「無理に聞き出す気はないけどね」
そう軽口で言うローラに苦笑する
こういう気遣いは出会った頃から変わらない
特に隠したいわけじゃない
マリクはそう思いながら口を開いた
「…2人は命がけで俺を守ってくれたんだ。勿論今の両親もそれは変わらないと思う」
「そうだね」
ローラは当然の様に頷く
『弾丸』がマリクの身に何かあれば自分の持てるすべてで守ろうとするのは疑う余地もない
「ただ…命がけで守ってくれた両親の分も、大切な人を守って生きていきたい。そう出来る時間を俺はあの2人も貰ったと思ってる」
だから2人と同じようにローラの目と同じ色の魔石を自分で見つけたかった
そう言ったマリクにローラは満面の笑みを浮かべた
「一緒に守ろう?私たちの大切な人たちを。その為にも、一緒にもっと強くなろうね」
この時マリクは微笑みながら言うローラを見て、プロポーズしたはずなのにプロポーズされたような不思議な感覚を覚えたことを一生忘れることは無いだろうと思っていた
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