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131.深い傷
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「何か問題を抱えた子か?」
「だとしても今さらでしょう?孤児院の子は大半が問題を抱えてたり傷を負ったりしてるんだし…」
大半が魔物の被害にあった子だけに傷を負ってない子の方が珍しい
その時に家族を失ったり自分自身が傷付いたりしてるからだ
実際、これまでナターシャさんたちが引き取った子で傷を抱えていない子はいない
「それは私達もわかってるの。でもロニーは…あの子は親子4人で町に向かう道中魔物に襲われて…」
ナターシャさんの声が震える
ここまでならマリクやリアムと似たような経験をしていることになる
2人が引き取られたとき俺はまだ生まれてなかったり、生まれたばかりだったりで、後から聞いた話でしかないけど2人共、特にマリクはここに来た時は笑うことがない程傷ついていたらしい
指し出された水にすら素直に手を伸ばせなくなるような経験も…
「…父親が母親とロニーを庇い…ロニーの弟を盾にしたらしい」
“ヒュ…”と息を飲む音がそこら中から聞こえた
子は宝と言われる中の数少ないケースだ
「…ロニーは長男だから守られた?」
「そうらしい。弟を庇おうとしても父親の腕から逃れることが出来ずに、ロニーは目の前で魔物に喰われる弟を見ていることしか出来なかった」
最悪だ…
父親が犠牲になるのが良しとは思わない
でも息子を犠牲にするのは絶対に違う
「ロニーは怒りで我を忘れた。その時に発動したのが火魔法で辺り一帯を火が包み込んだらしい」
「まさか両親は…」
「いや、両親を殺したのは魔物だが…最後に化け物とロニーに向かって叫びながら死んだ」
「あくまでロニーが話したことしかわかっていないの。もしかしたらもっとひどいことも言われていたのかもしれないわ」
「奇跡的に両親の遺体は焼けずに残っていたから、その死因が魔物によるものだと判明しているがロニーがそれで納得できるかと言えば否だろうな」
目の前で魔物に殺される親を見た子は多い
大抵の親に限らず、大人は自分の身を犠牲にしてでも子供の未来を守ろうとするからだ
目の前で弟と両親を失った
しかも火魔法が発動して両親からは化け物と言われたことで、周りがどれだけ言っても自分が両親を殺したと思い込んでいる可能性もある
想像しただけでもロニーの傷の深さが計り知れない
「その話を聞いた以上、否は無いな」
「そうね。皆で支えてあげましょう」
父さんと母さんがそう言うと皆が頷く
まぁ、チビは意味が分からないものの周りが頷いたから真似した感じだけど
そんな話をした3日後、カルムさんとナターシャさんはロニーを連れて帰ってきた
「だとしても今さらでしょう?孤児院の子は大半が問題を抱えてたり傷を負ったりしてるんだし…」
大半が魔物の被害にあった子だけに傷を負ってない子の方が珍しい
その時に家族を失ったり自分自身が傷付いたりしてるからだ
実際、これまでナターシャさんたちが引き取った子で傷を抱えていない子はいない
「それは私達もわかってるの。でもロニーは…あの子は親子4人で町に向かう道中魔物に襲われて…」
ナターシャさんの声が震える
ここまでならマリクやリアムと似たような経験をしていることになる
2人が引き取られたとき俺はまだ生まれてなかったり、生まれたばかりだったりで、後から聞いた話でしかないけど2人共、特にマリクはここに来た時は笑うことがない程傷ついていたらしい
指し出された水にすら素直に手を伸ばせなくなるような経験も…
「…父親が母親とロニーを庇い…ロニーの弟を盾にしたらしい」
“ヒュ…”と息を飲む音がそこら中から聞こえた
子は宝と言われる中の数少ないケースだ
「…ロニーは長男だから守られた?」
「そうらしい。弟を庇おうとしても父親の腕から逃れることが出来ずに、ロニーは目の前で魔物に喰われる弟を見ていることしか出来なかった」
最悪だ…
父親が犠牲になるのが良しとは思わない
でも息子を犠牲にするのは絶対に違う
「ロニーは怒りで我を忘れた。その時に発動したのが火魔法で辺り一帯を火が包み込んだらしい」
「まさか両親は…」
「いや、両親を殺したのは魔物だが…最後に化け物とロニーに向かって叫びながら死んだ」
「あくまでロニーが話したことしかわかっていないの。もしかしたらもっとひどいことも言われていたのかもしれないわ」
「奇跡的に両親の遺体は焼けずに残っていたから、その死因が魔物によるものだと判明しているがロニーがそれで納得できるかと言えば否だろうな」
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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