チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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131.深い傷

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ルークとシャノンのお祝いの後しばらくみんな浮かれていたのがようやく落ち着いてきた
そしてこういう時に限って爆弾を投下するのがナターシャさんって言うのはお約束のパターンだったりする

「…ってことでそろそろ新しい子を迎えようと思うの」
夕食の席でそう断言してにっこり笑みを浮かべる
『…ってことで』なんて言ってるけど何らかの前置きがあったわけではない
だけどこの笑みを浮かべる時はカルムさんでも反論は出来ないし、したところで叶うことがない
つまり決定事項
「新しい子?」
レティが首をかしげる
「新しく養子をとるってことだよ」
「なるほど」
特に珍しい事でもないのであっさり受け入れられた

魔物のせいで孤児が多いから実子と養子含めて子沢山な家の方が多い
子は宝って言葉をそのまま実践してる感じだ
そういう意味でもうちは特殊だ
そもそも4世帯が一緒に住んでること自体普通じゃないからな
その家を維持するのも普通は出来ない
家や資産の点で言えばもっと養子を増やすこともできるけど、養子にする代わりに孤児院への支援をする
資金面でもだけど読み書き計算、生活魔法をはじめ魔法や剣術を教えたり、依頼に同行させて薬草や魔物の事を教えたりすることで生活に直結した支援だ
手先の器用な子には細工や刺繍を教えることもあるし、何人かは成人後にそれで生活してるのもいる
それをこの町だけじゃなく近隣の町を定期的に回って行っているから周りから文句が出たこともない
以前は大きめの子は引き取られにくくて、成人したら孤児院を出て自活するケースが多かった
でも親が読み書き計算を教えれない家なんかは、自分達の代わりに弟妹になった子に教えてくれることもあって大きめの子を養子に迎えるケースも増えたらしい
打算がある様な気がしなくもないけど、決して利用されてるだけじゃなくちゃんと愛されてるから問題は起きてない

「どんな子かはもう決めてるの?」
「シエラの少し上、4歳になったばかりの男の子よ」
「シエラのすぐ下にサリーとアリナがいるしシエラの上がユリアだからその間に何人か欲しくてな」
カルムさんが補足するように続く
これはもう個人が特定されてる感じか?
しかも近々もう一人連れてきそうな気がする

「それにほら、リルも妊娠したでしょう?その少し後にはマリクの結婚が控えてるしね」
マリクに関してハネムーンベイビー前提で話してないか?
まぁかなりの確率でそうなるだろうけど…
婚姻が成立したその日から1か月の間2人だけでの蜜月となれば結果はおのずと知れる
中にはバルドさん達の様にその時に授からない人もいるけどな

ナターシャさんは子が出来ない体質だけどカルムさんも納得済みで、母さんたちに子が出来たら大抵同年代の子を養子に迎える
それ以外では依頼先で保護した孤児をそのまま連れ帰るくらいだろうか
殻に閉じこもった子を孤児院に預けるのが忍びないってのが一番の理由らしいけど、元々2人共子供が好きでそこに血の繋がりは関係ないって考えを持っている
この家にいればみんなうちの子って感じだし俺達にとっても両親が4組いるようなもの
血は繋がってなくてもみんな兄妹の様に育つ
もちろんそこに実子と養子の差は全くない
傷付いてきた子に対する配慮は有るけどそれはみんなが理解してるから問題ない

「一応先に伝えておかないと…と思ってね」
さっきまでと変わりナターシャさんは真剣な顔を向けてきた
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