チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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126.俺達のこと

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レティをソファーに促して、俺はその横に座った
いざ話そうとすると緊張する
自分の心を落ち着けるために紅茶を入れた
勿論レティにの分も
そして紅茶を口に含めば、その温もりに少しずつ落ち着きを取り戻すことができた

「…信じがたい話かもしれないけど、母さんはこの世界の人間じゃない」
「え?」
首をかしげるレティに苦笑する
どう考えても『はいそうですか』ってすんなり理解できる方がおかしいもんな
「正確にはこの世界で生まれた人間じゃない。かな?」
「それって召喚…ってこと?」
「召喚とはまた違うんだけど…元の世界で死んでから神様の作った17歳の姿でこの世界に来た人間らしい。扱い的には転生になるんだろうけど」
通常の転生は俺のように生まれるところから始まるか魂が入れ替わるかの2パターン
転移はそのまま場所を移すという性質から考えれば転生ではあるんだろうけど成長した肉体が突然生成されるとなると特殊と言わざるを得ない

「母さんがこの世界に送り込まれた日に、父さんが保護したらしい。その時は自分の事をどう説明していいかわからなかったって言ってた」
「そう…よね…」
召喚なら膨大な魔力の動きがある
普通の転生ならいきなりその場所に現れたりしない
俺が同じ立場なら一体どう説明しただろう…?

「神様曰く、この世界を発展させるために送り込まれた人間。だから母さんはチート呼ばれる力がいっぱいあるんだ」
「魔法もそのチートの一つになるの?」
「ああ。高い魔力も特殊なスキルもだな。多分俺の知らないスキルもまだあるしこの先も増えるだろう」
「これまでにもかなりスキル見せてくれてると思うけど…」
「そうなんだけどな」
でも実際、母さんがどれだけのポテンシャルを秘めているのかはサッパリわからない
「一番とんでもないのがスキルを作れるスキル『創造』かな。それがあるからこの先もスキルは増えると思う」
「とんでもないスキルね?」
「ああ。でも、その力を使ってもシエラの目に光が宿ることはなかったんだ」
「そう…だったのね」
レティは自分の頭の中を整理するかのように暫く黙り込んでいた

「さっき前世がって話してたのは…」
「ああ。母さんは前の世界で40年近く生きた。それも虐待とか偏見とか…そう言った負の感情をもろに受けながらの暮らしだったらしい」
「そんな…」
今の母さんは前向きで明るいしそんな世界で生きていたなんて想像も出来ない
「この世界は優しい。魔物のせいで未来は不明瞭なことは多いし、貴族にとって平民の命は驚くほど軽いけど、それでも子供を大切にするのが当たり前な世界だもんな。勿論例外はどこにでもあるんだろうけど」
実際バルドさんはその例外のあおりを食らった人だ
どんなことであっても例外が当たり前のように転がってるのが現実だ
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