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125.光
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「レティシアナ、本当にいいのね?」
「はい。思い出はちゃんとここにあるので」
そう言って胸に手を添えた
「それに形あるものはいつか壊れるものでしょう?」
「レティ…」
「だから壊れる前に役にたてた方が水晶も喜ぶと思うの」
インベントリに入ってるなら壊れる確率なんてそう高くない
それでもレティの顔は穏やかで強がりを言ってるようには見えなかった
「始めますね」
レティはそう言って水晶を乗せた手のひらをシエラの顔の近くに持って行く
「『ノーマライズ(正常化)』対象、シエラの左目」
そう発したとたん淡い光がレティを包み込んだ
その光はレティの手を通して水晶に取り込まれ、そしてシエラの左目に向かって行く
神秘的なその光景に俺はただ見入っていた
魔法とかスキルとかこの世界ならではの、神秘的な光景に強く惹かれるのは元の世界ではなかった物だからなんだろうか
「シエラの目が…」
父さんの言葉に現実に呼び戻されたようにシエラを見ると、濁っていた左目が右目と同じように透き通っていた
右目は父さんと同じ碧なのに光を取り戻した左目は母さんと同じタンザナイト
つまり濃さの違う青のオッドアイだ
「成功したみたい。よかった…」
そのレティの手のひらの上あった水晶は見事に砕けていた
俺はその水晶だったものを欠片も粉状のものも含めて取り出したケースに入れた
「シア、どうするつもり?」
「捨てるのはもったいないだろ?何か形に出来ないか考えてみる」
「…ありがと」
レティはそう言って嬉しそうにほほ笑んだ
これは真剣に考えないといけない感じだな…
そんなプレッシャーも悪くないのかもしれない
「ありがとうレティシアナ。あなたはもう私の娘よ?」
「サラサさん…」
「ふふ…万が一シアと別れたとしても変わらないから」
「ちょっ…母さん?」
その言葉には俺の方が驚いた
「それくらいレティシアナのしてくれたことは大きことなんだからね?」
「そうだな。レティシアナには感謝しかない」
母さんと父さんから頭を下げられたレティは居心地が悪そうに俺を見る
「2人共レティが困ってるからその辺で。この分だと今日はパーティーだろ?」
「そうね。みんなでお祝いしないとね」
母さんはごちそう沢山作るからと言い残して父さんとシエラを連れて出て行った
「ホントにありがとなレティ」
静かになった部屋の中で俺は改めてお礼を言った
「それと話しておきたいことがある」
「話しておきたいこと?」
「ああ。前から話そうと思ってたんだけどな。俺と母さんのこと」
前からちょこちょこ話題に上がってるからレティも気にはなっていたんだろう
心当たりがあるという目でこっちを見て来た
「はい。思い出はちゃんとここにあるので」
そう言って胸に手を添えた
「それに形あるものはいつか壊れるものでしょう?」
「レティ…」
「だから壊れる前に役にたてた方が水晶も喜ぶと思うの」
インベントリに入ってるなら壊れる確率なんてそう高くない
それでもレティの顔は穏やかで強がりを言ってるようには見えなかった
「始めますね」
レティはそう言って水晶を乗せた手のひらをシエラの顔の近くに持って行く
「『ノーマライズ(正常化)』対象、シエラの左目」
そう発したとたん淡い光がレティを包み込んだ
その光はレティの手を通して水晶に取り込まれ、そしてシエラの左目に向かって行く
神秘的なその光景に俺はただ見入っていた
魔法とかスキルとかこの世界ならではの、神秘的な光景に強く惹かれるのは元の世界ではなかった物だからなんだろうか
「シエラの目が…」
父さんの言葉に現実に呼び戻されたようにシエラを見ると、濁っていた左目が右目と同じように透き通っていた
右目は父さんと同じ碧なのに光を取り戻した左目は母さんと同じタンザナイト
つまり濃さの違う青のオッドアイだ
「成功したみたい。よかった…」
そのレティの手のひらの上あった水晶は見事に砕けていた
俺はその水晶だったものを欠片も粉状のものも含めて取り出したケースに入れた
「シア、どうするつもり?」
「捨てるのはもったいないだろ?何か形に出来ないか考えてみる」
「…ありがと」
レティはそう言って嬉しそうにほほ笑んだ
これは真剣に考えないといけない感じだな…
そんなプレッシャーも悪くないのかもしれない
「ありがとうレティシアナ。あなたはもう私の娘よ?」
「サラサさん…」
「ふふ…万が一シアと別れたとしても変わらないから」
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その言葉には俺の方が驚いた
「それくらいレティシアナのしてくれたことは大きことなんだからね?」
「そうだな。レティシアナには感謝しかない」
母さんと父さんから頭を下げられたレティは居心地が悪そうに俺を見る
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前からちょこちょこ話題に上がってるからレティも気にはなっていたんだろう
心当たりがあるという目でこっちを見て来た
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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