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124.捕まった辺境伯
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「話は少し変わるが…この件でサラサに頼みがある」
「私に?」
母さんは心当たりがないとでも言う様に首を傾げた
「妖精を助けてくれないだろうか?」
「妖精を助ける?解決したんじゃなかったの?」
母さんの言葉は尤もだと思う
実際その報告に来てるんだしな
コーラルさんはその意図を察したのか今の状況を説明し始めた
捉えられていた妖精はかなりの数で50を超えていたという
その中でも捉えていたゲージを開けた段階で逃げて行った者が3割ほど
残りは弱い光を放ったまま身動きをしない者やクロムと同じような状態の者
国の騎士や魔導士にも妖精の祝福を受けている者がいて、その人を通して妖精の状態を把握して要望を聞いたり僅かながらも治癒したりしているのが現状らしい
その甲斐あって元気になったり、自分が助かったと理解した妖精は去っていったがまだ多く残っている
精神的に落ち着くまで国で保護することが決まったものの、どうすることもできないのが5人ほど残っていると…
「それがこの子たちなんだが…」
コーラルさんは従者に合図すると従者がずっと抱えていた布をかぶせた木箱をテーブルに置いた
そしてコーラルさんが木箱の布を取ると、そこには弱り切った妖精達がいた
その中でも風の妖精と闇の妖精はクロムが受けた傷と同等の酷い状態だった
あとの3人は火と…多分水と光
水と光は弱い光を放ってはいるものの、所々かけた光の玉にしか見えないから正確な状態は分からない
「シア、全員に『エクスキュア(完全治癒)』頼めるかしら」
不意に母さんが言った
「それは大丈夫だけど…」
クロムの時で感覚はつかめたから姿が見えない状態でも問題はなさそうだけど、母さんだけで行けそうな気もする
「風と闇の妖精は『リジェネレイト(細胞組織の再生)』が必要なんだけど、人相手に使うよりきついみたいなのよね」
俺の思ったことを汲んだかのように母さんが言う
そういえばクロムを治してくれた時もかなり疲れた感じだったような気がする
俺自身、クロムに『エクスキュア(完全治癒)』を掛けた時にごっそり魔力を持ってかれたのを思い出す
身体は遥かに小さいけどその身に宿る魔力を考えればわからなくもない
「了解」
俺は風と闇の妖精に先に治癒して後を母さんに任せることにした
一旦休憩してから残りの3人にも『エクスキュア(完全治癒)』を施す
水と光の妖精に関しては人型が見えてないけどクロムの時の経験から範囲的に問題はないはず…
そう思っていると風の妖精が2人も含めて治癒されたことを喜んでると教えてくれた
「元気になったならよかった」
俺がほっとして呟くと2つの光の玉が俺の周りを飛び回る
それから少しして母さんの方も落ち着いたみたいで辺りを包み込んでいた光がなくなった
母さんの側には魔力回復薬の空きビンが3本転がっていた
「私に?」
母さんは心当たりがないとでも言う様に首を傾げた
「妖精を助けてくれないだろうか?」
「妖精を助ける?解決したんじゃなかったの?」
母さんの言葉は尤もだと思う
実際その報告に来てるんだしな
コーラルさんはその意図を察したのか今の状況を説明し始めた
捉えられていた妖精はかなりの数で50を超えていたという
その中でも捉えていたゲージを開けた段階で逃げて行った者が3割ほど
残りは弱い光を放ったまま身動きをしない者やクロムと同じような状態の者
国の騎士や魔導士にも妖精の祝福を受けている者がいて、その人を通して妖精の状態を把握して要望を聞いたり僅かながらも治癒したりしているのが現状らしい
その甲斐あって元気になったり、自分が助かったと理解した妖精は去っていったがまだ多く残っている
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「それがこの子たちなんだが…」
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「シア、全員に『エクスキュア(完全治癒)』頼めるかしら」
不意に母さんが言った
「それは大丈夫だけど…」
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俺の思ったことを汲んだかのように母さんが言う
そういえばクロムを治してくれた時もかなり疲れた感じだったような気がする
俺自身、クロムに『エクスキュア(完全治癒)』を掛けた時にごっそり魔力を持ってかれたのを思い出す
身体は遥かに小さいけどその身に宿る魔力を考えればわからなくもない
「了解」
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「元気になったならよかった」
俺がほっとして呟くと2つの光の玉が俺の周りを飛び回る
それから少しして母さんの方も落ち着いたみたいで辺りを包み込んでいた光がなくなった
母さんの側には魔力回復薬の空きビンが3本転がっていた
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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