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124.捕まった辺境伯
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クロムの情報をもとに調査していたコーラルさんから連絡が来たのは報告から2週間ほどしてからだった
「早すぎないか?」
「情報が足りずに停滞か?」
父さんも俺と同じように感じたらしい
でも…
「いや、解決した報告だな」
コーラルさんはニヤリと笑いながらそう言った
「「は?」」
「早すぎない?」
「貴族と元王族が絡んでてそのスピードは…」
みんな呆然としてしまった
「いや、陛下が思いのほかお怒りでな」
「陛下が?何で?」
「妖精に危害を加える等以ての外だと…抱えていた案件全て凍結して最優先で処理するようにと」
コーラルさんは遠い目をしていた
分からなくもないけどな
国の中枢で抱えてる案件を全て凍結って…
「まぁ、実際そうするわけにはいかないが半分は凍結されたか…あの人昔から妖精びいきなんだよ」
陛下を捕まえてあの人…
コーラルさんらしいと言えばらしいんだけど
「2つの辺境伯家を調べるまでもなく、元第二王子を見張ってたら2日目で辺境伯家に向かってくれたよ」
「…馬鹿なのか?」
「いや、馬鹿だから“元”になったんだろうけどな?」
「カルムさんそこはスルーでいいと思う…」
余りの馬鹿さにこっち迄言動がおかしくなる辺り何とも言えない
「とにかくその馬鹿さのおかげですぐに捉えることは出来た。関係各所の家宅捜索を徹底してたせいで時間がかかったくらいだな」
「関係各所…」
一体どれだけの範囲になるんだろうか?
「王都の屋敷に加えて辺境の屋敷や別邸、元第二王子を匿ってた屋敷迄いろいろだな」
「あー辺境まで2日かかるんだっけ?2日目で動き出しても向こうに着くのは2日後、帰ってくる時間まで考えりゃ2週間なんてとんでもない早さだな」
陛下が主導して本気で事に当たるとこれが可能なんだな~なんてどこかで思う
「で、奴らは妖精を捉えて何を企んでたんだ?」
カルムさんの声は静かだけど低い
そこに怒りが込められているのがありありと伝わってくる
「魔導士を囲って研究をしていたらしい。『妖精の魔力を利用した魔道具の開発』のな」
コーラルさんの言葉に俺達は息を飲む
妖精の魔力を利用する?
「魔導士の言葉では妖精が怒りをあらわにしてる時と恐怖に飲まれている時にその魔力の強さが大きくなるらしい。同じ魔力量でより高い魔力の魔道具が作れるのだと力説している」
「だからあんなひどいことを?許せない」
「奴らは極刑を与えられることは無い。死ぬまで平民と同じ条件での強制労働が決まった」
「なるほど…まぁ妥当か?」
これだけの事をしておきながら処刑で終了なんてありえないもんな
強制労働は貴族と平民で条件が変わる
貴族は最低限の食事と雨風をしのげる住む場所…と言っても牢のような場所を確保される
でも平民は同様の住む場所はあっても食事に関しては労働の対価として与えられる
つまり働きが悪ければ減らされ最悪食事なしもあり得る
労働の場所は鉱山や糞尿含むゴミ処理系の肉体的にも精神的にも過酷な場所が多い
魔力を封じられた上に結界が張られているから逃げ出すこともできない
逃げ出そうとして結界に弾かれた者は記録されて両足にそれぞれ1kg程の枷を付けられるらしい
繰り返せばその度に1kgずつ加算されるおまけ付きだ
それに妖精からの仕返しもあるかもしれない
基本的に悪戯が好きな妖精だけどその『悪戯』のレベルは多岐にわたるし、その概念は人間とは全く別物だ
風の妖精で言えば風を吹かせて髪を乱れさせるなんて可愛らしいものから、魔物を一瞬でミンチにするレベルまで、その全てが『悪戯』の一言で片づけられるのがこの世界の常識でもある
自分や仲間の受けた仕打ちを考えればその結果はいかほどか…考えるのが怖い
もっとも、同情なんてかけらもないけど
「早すぎないか?」
「情報が足りずに停滞か?」
父さんも俺と同じように感じたらしい
でも…
「いや、解決した報告だな」
コーラルさんはニヤリと笑いながらそう言った
「「は?」」
「早すぎない?」
「貴族と元王族が絡んでてそのスピードは…」
みんな呆然としてしまった
「いや、陛下が思いのほかお怒りでな」
「陛下が?何で?」
「妖精に危害を加える等以ての外だと…抱えていた案件全て凍結して最優先で処理するようにと」
コーラルさんは遠い目をしていた
分からなくもないけどな
国の中枢で抱えてる案件を全て凍結って…
「まぁ、実際そうするわけにはいかないが半分は凍結されたか…あの人昔から妖精びいきなんだよ」
陛下を捕まえてあの人…
コーラルさんらしいと言えばらしいんだけど
「2つの辺境伯家を調べるまでもなく、元第二王子を見張ってたら2日目で辺境伯家に向かってくれたよ」
「…馬鹿なのか?」
「いや、馬鹿だから“元”になったんだろうけどな?」
「カルムさんそこはスルーでいいと思う…」
余りの馬鹿さにこっち迄言動がおかしくなる辺り何とも言えない
「とにかくその馬鹿さのおかげですぐに捉えることは出来た。関係各所の家宅捜索を徹底してたせいで時間がかかったくらいだな」
「関係各所…」
一体どれだけの範囲になるんだろうか?
「王都の屋敷に加えて辺境の屋敷や別邸、元第二王子を匿ってた屋敷迄いろいろだな」
「あー辺境まで2日かかるんだっけ?2日目で動き出しても向こうに着くのは2日後、帰ってくる時間まで考えりゃ2週間なんてとんでもない早さだな」
陛下が主導して本気で事に当たるとこれが可能なんだな~なんてどこかで思う
「で、奴らは妖精を捉えて何を企んでたんだ?」
カルムさんの声は静かだけど低い
そこに怒りが込められているのがありありと伝わってくる
「魔導士を囲って研究をしていたらしい。『妖精の魔力を利用した魔道具の開発』のな」
コーラルさんの言葉に俺達は息を飲む
妖精の魔力を利用する?
「魔導士の言葉では妖精が怒りをあらわにしてる時と恐怖に飲まれている時にその魔力の強さが大きくなるらしい。同じ魔力量でより高い魔力の魔道具が作れるのだと力説している」
「だからあんなひどいことを?許せない」
「奴らは極刑を与えられることは無い。死ぬまで平民と同じ条件での強制労働が決まった」
「なるほど…まぁ妥当か?」
これだけの事をしておきながら処刑で終了なんてありえないもんな
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貴族は最低限の食事と雨風をしのげる住む場所…と言っても牢のような場所を確保される
でも平民は同様の住む場所はあっても食事に関しては労働の対価として与えられる
つまり働きが悪ければ減らされ最悪食事なしもあり得る
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逃げ出そうとして結界に弾かれた者は記録されて両足にそれぞれ1kg程の枷を付けられるらしい
繰り返せばその度に1kgずつ加算されるおまけ付きだ
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風の妖精で言えば風を吹かせて髪を乱れさせるなんて可愛らしいものから、魔物を一瞬でミンチにするレベルまで、その全てが『悪戯』の一言で片づけられるのがこの世界の常識でもある
自分や仲間の受けた仕打ちを考えればその結果はいかほどか…考えるのが怖い
もっとも、同情なんてかけらもないけど
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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