チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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123.杖

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「あ、モーリーさん」
商業ギルドに入ってすぐに見知った人を見つけた
モーリーさんはヘンリーのパーティ仲間であるガントの父親だ
「おや、シアじゃないか。今日はどうした…と言うかケインのその…」
杖に目がくぎ付けになるあたり商業ギルドの職員だよな
「歩行を補助する道具。これを登録しに来たんだ」
「それは素晴らしい!すぐに準備を…あぁ、ここに立ったままは辛いよな?奥の応接室で待っててくれるかい?」
かなり興奮したままそう言って走って行った

「モーリーさんパニックになってるんじゃ…?」
「レティ、それは気付かないふりしてやってくれ」
「…わかったわ」
苦笑しながら頷くレティとワクワクした表情のケインを促して奥の応接室に向かった
「ケイン!何かいい物を持っているじゃないか?」
興奮気味に声をかけてきたのはギルド長だ
因みに冒険者ギルドではギルドマスターを略してギルマスと呼ばれてるけど、何故か商業ギルドはギルド長と呼ばれている
色んな人に聞いてみたけど理由は謎のままだ
ギルド長がまだ若いのは2年前に親から引き継いだばかりだからだけど、子供のころから手伝ってただけあって頼りになる人ではある

「今から登録するんだ。歩行を補助する杖」
「何と…私も立ち会ってもいいかい?」
「いいよ!」
ケインが返事した
ケインは母さんと一緒に来ることが多く、小さい頃からよく遊んでもらってたからギルド長にも懐いている
「一応モーリーさんに伝えてはいるけど」
「なるほど。では私も一緒に応接室で待つとしよう」
モーリーの驚く顔が楽しみだとこぼすギルド長を俺達は無言のままスルーした

「お待た…ギルド長?!」
ギョッとした顔をしたモーリーさんにギルド長がゲラゲラと笑い出す
「いや~想像通り驚いてくれて嬉しいよ」
「そ…そうですか…」
モーリーさんはガクッと項垂れた
そりゃそうなるよな…

「と、とにかく手続きを…」
何とか気を取り直して話を進めるモーリーさんは流石と言うべきか?
「これが大人用と子供用のサンプル。と言っても身長が基準だからその辺は作る時に判断してくれ。目安はこれに描いてあるから」
説明しながら母さんから渡されたサンプルとラフ図を渡す
「あとケインは1本で使ってるけど、2本使えば片足を失った人でもそれなりに動けるようになる」
「何と…」
「これは画期的だ!どれだけ沢山の者に希望を与えるか…」
「ああ。門の憲兵にも言われたからこの後コーラルさんにも伝える予定だ」
「それはいい。我らを守ってくれた騎士の方が引きこもったままだと聞いて心苦しかったんだ」
ギルド長はホッとしたように言う

「あと、ここに来るまでに何人かから声を掛けられて既に登録することを知らせてるからその対応もよろしく」
「ああ、引き受けよう」
そんな話をしている間にも手続きは進んでいたらしい
「これで登録は完了だ。感謝するとサラサにも伝えてくれ」
「了解。じゃぁ俺らはこのままコーラルさんとこ行くから」
そう言って商業ギルドを後にした
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