チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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122.提案とお願いと…

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「そうそう、あと、ユリアからカルムさんとナターシャさんに言いたいことがあるってさ」
「私達に?」
「ユリアが?何かあったのか?」
真っ先に心配する言葉が出る辺りカルムさんらしい
血がつながってないと思えないほど娘大好きだからな
「あのね…」
ユリアは言いかけて口を閉じて俺とレティを見る
「そこは自分で言わないとだろ?」
頭をなでて言うと意を決したように頷いた

「私…私ね、魔道具作りたい!」
予想外に大きな声で訴えた
そのことに皆が驚き固まった
どちらかと言えばいつも大人しいユリアのこんな声を聞いたのは俺も初めてだ

「ユリアが魔道具を?」
「ん」
ユリアが大きく頷いたのを見てカルムさんとナターシャさんは説明を求める様に俺を見て来た

「店で魔道具を見ながら、おっさんにその仕組みをやたらと聞いてたらしい。俺が欲しいものがあるのか聞いたら魔道具作りたいって返ってきた」
「それで?」
「一応、おっさんに確認したらユリアが出入りするのは問題ないし、むしろ興味がある者に教えられるならその方がいいってさ」
本当に嬉しそうに言った顔を思い出す
「そもそもの話なんだが…魔道具は子供でも作れるのか?」
「ユリアでもいくつかは作れるだろうって。必要なのは魔力と根性らしいから」
「…どっちもユリアなら大丈夫そうね」
「そうだな」
カルムさん達は顔を見合わせて頷いた

「お父さんお願い!」
ユリアはカルムさんの手を握って訴える
「分かったよユリア。お前がやりたいこと、興味を持てることが見つかったなら素晴らしいことだ」
「そうね。ただ…」
「ただ?」
ナターシャさんの言葉に不安そうに次の言葉を待つ
「ユリアの事だから大丈夫だとは思うけど、簡単に投げ出さないって約束して頂戴」
「うん。約束する。1つでも作れるようになるまで絶対に辞めない」
即答だった
しかも自分の決意付き
これにはカルムさんもナターシャさんも驚いていた

「なら決まりだな。流石に毎日ってわけにはいかないから、俺達が依頼に行く日に送り迎えをしてやる」
「どれくらい行ける?」
「迷宮の時は町にはいかないから週に1回か2回だな」
「たったそれだけ?」
「火魔法頑張ってフォレストドッグを自分で狩れるようになれば好きなだけ行けばいい」
「ふふ…じゃぁユリアは頑張って魔法を上達させないとね」
「うぅぅ…」
「あら、魔道具作るなら魔力操作も必要だからちょうどいいと思うわよ?」
不満そうにうつむいたユリアに助け舟を出したのは母さんだ
「魔力操作?」
「そうよ。魔道具なんだもの。当然必要になるわよ?」
「魔力操作が上手に出来たら魔法を操りやすくなるものね。魔道具作りにも役立つだろうし当然フォレストドッグも倒しやすくなるわよ」
「頑張る!」
魔道具に紐づければ一瞬だった
次の日から大人しかったユリアはどこに消えたのかと思うほど、積極的に魔法を教えてもらうようになった
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