チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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97.寿命

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「それでも俺でいいのか?その事実がレティを苦しめるのが俺は怖いよ」
不思議なくらいあっさりと俺はそう口にしていた
「シア…シアはそう思ってたから…?」
「正直何度も襲いかけたんだ。でも多分…一度抱いたら手放せない」
違うか…抱かなくても手放せないんだろうけど、抱いてしまえばレティが逃げたくなっても逃がしてやれない
でも俺の気にしてることとレティの気にしてることは違う感じだよな?
レティは一体何を…?

「レティは何が気になってるのか教えてくれるか?」
この際とことん話した方がいい気がする
「…シアは知らない?」
「何を?」
「龍神族は生涯で一人だけ魔力を交換することが出来るの」
「魔力の交換?」
それは初めて聞く言葉だった
「互いの魔力を口から流し込む感じかな?」
「キスしながら…てことか?」
「うん。だから大抵伴侶となる相手と交換するんだと思う。魔力の交換をしたら思いが強い程相手の事を感じ取ることが出来みたいなの」
「相手の事を感じ取る?」
まさかそれって…
「相手の強い感情やおおよその居場所とか…?」
「…」
レティはためらいがちに頷いた
「あ、もちろん交換しないって選択もあるけど、互いの想いが強い程自然と交換しちゃうこともあるって…だから…」

マジか…
「いや、それ滅茶苦茶便利?」
全てが筒抜けになるわけじゃないのなら大した問題じゃない
むしろレティが危険な状態の時にすぐわかるって考えれば便利どころの話じゃない
「結構知ってる人が多いからそれが嫌なんだと思って…」
だから泣くほど不安になったのか…
「そんなわけないだろ…」
俺はレティを抱きしめた
かすかに震えるその体がレティの抱えていた不安を物語ってる気がして自己嫌悪に陥る
もっと早くちゃんと話せばよかったと

「それとね」
「?」
「寿命のことなんだけど…」
レティは少し言いにくそうにしていたものの意を決したように続けた
「魔力の交換をしたら種族間の寿命は調整されるみたいなの」
「調整って…」
「龍神族の寿命の一部を分けるって感じになるのかな?調整されると私もシアも200年くらいになるはず…」
何だそれ
そんな都合のいい設定みたいな…

「…やっぱり嫌だよね?」
「え?」
何でその結論に達するのかが分からない
置いて行かずに済むなら俺の心配していたことは解決されるのに
「家族や友人が亡くなってもシアだけ生き続けるなんて…」
レティのその曇った表情が痛々しかった
そういえばそうなるのか
でも…

「レティ」
さっきよりも強く抱きしめる
「俺はきっと、レティが思ってるよりずっとレティを愛してる」
「…シア?」
「レティと同じように年を重ねられるならそれでいい。確かに大勢見送ることになるんだろうけど、その分レティと長く過ごせるってことだろ?」
「シア…」
顔を埋めて泣くレティを抱きしめたまま自分の中の不安がなくなるのを実感していた

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