チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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翌日、予想通り父さんとカルムさんはコーラルさんの所へ向かった
そして俺達は部屋にやってきた母さんと向かい合っていた

「調子はどう?」
尋ねられたクロムの光は昨日よりもしっかりしていた
『大丈夫』
「そう。なら早速やってみましょうか」
母さんは微笑んでそう言うとクロムにテーブルの上に促した
「多分かなり疲れると思うから終わったら休ませてあげてね」
「分かった」
頷くのを見て母さんは魔法を発動させた

俺の時より強い光がクロムを包む
「綺麗…」
レティが思わずつぶやいた
実際これまで見たことがないくらい神秘的な光景って言ったらいいんだろうか…
クロムの左足部分はちゃんと見ることができないくらい強い光を放っていた


3分くらいたっただろうか
母さんが大きく息を吐きだした
同時に光が和らいで、俺の目に飛び込んできたのは再生された足だった
「すげぇ」
「よかった。ちゃんと成功したわね」
珍しく疲れた表情の母さんを見てとんでもない魔法だと改めて実感する

『ボクの足…』
「ええ。クロムの足よ。ちゃんと動くか確認してみて」
『うん…』
クロムは恐る恐る立ち上がってゆっくり動かしてみる
『…動く』
呟いた瞬間その小さな目から涙が溢れ出した
『あり…がと…』
「どういたしまして。私が出来るのはここまで。心の傷はシア達に癒してもらいなさいね」
「母さん…」
「レティシアナもいるもの。大丈夫よ」
「サラサさん…」
母さんがレティの過去を知った上であえてそう言ったのは明らかだ
でも俺自身クロムが屈託なく笑うのを見たいと思った

「じゃぁ私は行くわね」
「ありがと母さん」
「どういたしまして」
母さんは少し驚いた顔をしてからそう言って出て行った



「シア」
「ん?」
レティに呼ばれてそっちを見るとクロムの方へと促される

「…クロム?」
当のクロムはその場でただ立ち尽くして再生した足をじっと見ていた
「うまく動かないのか?」
尋ねると首を横に振る
一体どうしたんだ?
「クロムどうしたの?」
『…』
レティが尋ねてもだんまりだ
「おーい、クロム?黙っててもわからないぞ?」
『…ぼく…』
「ん?」
『足治してもらえたからもうここにいれない?』
その言葉に俺達は顔を見合わせた

「そんなわけないじゃない」
「そうだぞ。足が治っても好きなだけいればいい。なんならずっといてもいいんだぞ?」
『ほんと?』
「ああ。クロムは俺達の大事な家族だからな」
『家族?』
「そ。テイムしたリトスも契約したクロムも家族だぞ」
『シアがパパで、レティシアナがママ、クロムはおとうとー?』
リトスがひょこっと顔を出して尋ねて来る
「あら、私をママにしてくれるの?」
『うん。レティシアナはシアの みらいの およめさんでしょ?』
「まぁ!」
リトスの言葉にレティが嬉しそうに声を上げて俺を見て来る
えーと?
そりゃゆくゆくはそうなって欲しいけど今じゃないぞ?
『ちがうの~?』
「…違わないな」
困惑気味に応えた俺を見てレティがクスクスと笑い出す
まぁいいんだけどさ

「とにかくだ、クロムは家族だからずっと一緒だ。好きなときに皆のところに出かけてもいいし、リトスとポーチの中にいてもいいし好きにすればいいよ」
『うん…ありがとう』
「どういたしまして。そういえばポーチの中、広さは大丈夫か?」
『だいじょうぶー』
リトスの入ってるポーチは空間魔法が施されてる
といっても広さは1辺が3mの立法体くらいのサイズだけどな
それでも翼を広げて30cmほどにしかならないリトスと羽を広げて10cmにも満たないクロムなら問題ない広さではあるだろう
普段は外に出てることが多いし、中にいるのは戦闘中や中で寝たいときくらいだ
その為に中にはベッドがわりになる、柔らかさの違うクッションを3つ程入れてある
『クロム、シアがたたかってるときは なかであそぼーね』
『うん』
おいおい
俺達の戦闘中に遊ぶって中々の神経だな?
2人のたくましさに呆れればいいのか、安心すればいいのか分からなくなった
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