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113.とんでもないのが絡んでた
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「母さん?」
普段の母さんならすぐにでも行動しそうなのにその様子がない
「随分弱ってるのね…」
「ああ。クロムは瀕死の状態だったから」
「そう…今のところ状態は落ち着いてるみたいだから明日にしましょう」
「え?」
「細胞を再生しようと思ったらその子にもかなりの負担がかかるのよ。今は命の危機ってわけでもなさそうだからもう少し体力が回復してからの方がいいわ」
「そういうことか…」
確かにクロムはかなり弱ってる
それこそカルムさんが光の弱さに気付くくらいには
「クロムもそれでいい?」
『?』
理解が追い付いていないのか首をかしげる
「母さんがその左足も治せるかもしれないって。でも今は体力がないからもう少し回復してからでいいか?」
『…治る…の?』
「妖精にも効くのかは分からないけど…でも酷くなることは無いと思うわ」
『…分かった』
「再生は後に回すってことだな。なら先に確認しておきたいことがある」
「何?」
「クロムは貴族の名前とか耳にしてないか?」
『名前…』
「当人じゃなくても周りの奴でもいい」
「クロムを傷つけた奴を探す手がかりになるものならなんでもいいんだ」
父さん達の言葉にクロムは記憶をたどる様な素振りを見せた
『…へんきょうはく?って言ってた』
「へんきょうはく?あぁ、辺境伯か…」
この国に辺境伯は4人しかいない
そのうち2つはかなり遠い事を考えれば2択か?
思ったより簡単に犯人が突き止められそうだ
『ローブ被った人が3人…時々金色の髪の毛の人が来てた』
「金髪…は王族にしかいないはずだな?」
「こんなむごいことを考えるなら元第二王子辺りか…?」
王族が絡んでいるとなるとかなり厄介だ
因みに“元”第二王子というのは廃嫡されたから
今の王は王弟だった人だ
スタンピードを機に元王だった人は幽閉されたと“発表”されてる
そんなことを考えているとクロムが驚くことを口にした
『他にも捕まってる…僕はその子たちに逃がされた…お願い…他の子を助けて…!』
悲痛な叫びだった
「今までそれを口にしなかったのは皆が飛び込んで行かないようにか?」
『助けてくれようとした子が何人も捕まったから…向こうはそれを待ってるんだと思う』
「なるほど…だからクロムも簡単に逃がしてもらえたってことか…」
「なんて酷い…」
「同じ人間と思いたくないな…」
当然の様にそんな言葉が飛び出してくる
「貴族が絡んでる以上コーラルに連絡だな」
「そっちから責めた方が簡単か…」
『みんな助かる?』
「出来る限り助けてやる。お前はよく頑張った」
父さんが不安そうに尋ねるクロムに向かってそう言った
絶対なんて約束はできない
クロムの状態を考えれば一部は既に手遅れかもしれない
でも一人でも多く助けたい気持ちは本物だ
明日にはコーラルさんに連絡が行って動き出すだろう
後の事は父さん達に任せて俺達は休むことにした
普段の母さんならすぐにでも行動しそうなのにその様子がない
「随分弱ってるのね…」
「ああ。クロムは瀕死の状態だったから」
「そう…今のところ状態は落ち着いてるみたいだから明日にしましょう」
「え?」
「細胞を再生しようと思ったらその子にもかなりの負担がかかるのよ。今は命の危機ってわけでもなさそうだからもう少し体力が回復してからの方がいいわ」
「そういうことか…」
確かにクロムはかなり弱ってる
それこそカルムさんが光の弱さに気付くくらいには
「クロムもそれでいい?」
『?』
理解が追い付いていないのか首をかしげる
「母さんがその左足も治せるかもしれないって。でも今は体力がないからもう少し回復してからでいいか?」
『…治る…の?』
「妖精にも効くのかは分からないけど…でも酷くなることは無いと思うわ」
『…分かった』
「再生は後に回すってことだな。なら先に確認しておきたいことがある」
「何?」
「クロムは貴族の名前とか耳にしてないか?」
『名前…』
「当人じゃなくても周りの奴でもいい」
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『…へんきょうはく?って言ってた』
「へんきょうはく?あぁ、辺境伯か…」
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「こんなむごいことを考えるなら元第二王子辺りか…?」
王族が絡んでいるとなるとかなり厄介だ
因みに“元”第二王子というのは廃嫡されたから
今の王は王弟だった人だ
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『他にも捕まってる…僕はその子たちに逃がされた…お願い…他の子を助けて…!』
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「なんて酷い…」
「同じ人間と思いたくないな…」
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『みんな助かる?』
「出来る限り助けてやる。お前はよく頑張った」
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明日にはコーラルさんに連絡が行って動き出すだろう
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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