250 / 370
99.おかしい
2
しおりを挟む
そんな俺を前にレティは言う
「以前母から聞いたことがあるの」
「…何を?」
言わんとすることが予想できるだけに聞くのが怖い
「私は最後の純粋な龍神族だけど、それだけじゃないんだよって」
「…」
「母の血筋は龍神様の直系だから他の龍神族よりその力は高いんだって」
それがこの称号に繋がるんだろうな…
納得できてしまうのはきっと俺だけじゃないはずだ
「母の血族は代々龍神の力を継ぐ者としてその力と称号を持ってるんだけど、その力がどんなものかは誰も知らないの」
レティの両親は互いに龍神族だった
だから魔力の交換をしても特に大きな変化はなかったのだろう
「龍神族が他種族との交流を始めたのは1000年ほど前。それまではお互い想い合った龍神族同士で結ばれていたけど状況が変わったの」
レティが口にしたのは龍神族の簡単な歴史だった
「元々人族より長寿なせいか絶対数の少ない種族だけど、埋める子供は1人だけという特性から一族の数は代を追うごとに減ってしまった。でも他種族と結ばれた場合、その制約がなくなると判明して人族との政略結婚を強いられるのが当たり前になったみたい」
それだけ龍神族の血を、たとえ薄くなったとしても残したいという気持ちが強かったってことだろうな
まぁ希少種だし当然なのかもしれないけど
「両親の一族はそれに異を唱えていたから純粋種との縁を結び続けてきたの。でも両親の代で純粋な龍神族は10人もいなかったみたいで、その中でも女性は母様ともう一人のみ。もう一人は人族と結ばれたから私が最後の純粋な龍神族となってしまったのよね」
レティは少し懐かしそうに話す
きっと両親の事を思い出しているんだろう
「つまり、他の龍神族が人族と縁を結んできたケースはあったけどレティの母方の血を引く…龍神の力を継ぐ者と人族が縁を結んだのは初めてってことか?」
「…そうなるかな?」
レティは伺う様に俺を見た
多分色々不安になってるんだろうけど杞憂だぞ?
「そんな顔すんなよ」
「でもこんな意味の分からない称号まであるのに…」
「それこそ大した問題じゃないだろ」
「え?」
「神々の加護を受けし者、エンドレスの申し子、前世の記憶を持つ転生者」
俺がレティに負けないくらいの意味の分からない称号を口にすると、レティは真っすぐ俺を見た
「こんなよくわからない称号を持つ俺といるのは不安か?」
「そんな事ない!」
即答だった
これは地味に嬉しい
「俺も同じだよ。どんな称号を持ってようが、それがどんな力に繋がってようが関係ない」
「シア…」
「大体今さらだろ?これまでだって散々規格外だなんだって言われてきてんだぞ?」
それはレティだって何度も聞いてるはずだしな
「まぁ気になる事があるとしたら…」
「?」
「どんな力を得てるのかってことと、寿命がどうなるのかってことくらいか」
龍化できるらしいし、その点はちょっとワクワクしてる自分がいる
寿命は異種族だと調整が入るけど今の俺はどうやら龍神族でもあるらしい
その場合200年なのか300年なのか…?
どっちにしても前世で生きられなかった分以上に生きられるらしい
尤もスタンピードやなんやで死ななければだけど
「やっぱりシアは変わってる…」
「そうか?」
「うん。でも…ありがとう」
そう言いながら抱き付いて来るレティを抱きしめる
不思議だけど純粋な人族じゃなくなった不安はない
むしろ未知の領域に足を踏み入れたことに対する期待が渦巻いていた
「以前母から聞いたことがあるの」
「…何を?」
言わんとすることが予想できるだけに聞くのが怖い
「私は最後の純粋な龍神族だけど、それだけじゃないんだよって」
「…」
「母の血筋は龍神様の直系だから他の龍神族よりその力は高いんだって」
それがこの称号に繋がるんだろうな…
納得できてしまうのはきっと俺だけじゃないはずだ
「母の血族は代々龍神の力を継ぐ者としてその力と称号を持ってるんだけど、その力がどんなものかは誰も知らないの」
レティの両親は互いに龍神族だった
だから魔力の交換をしても特に大きな変化はなかったのだろう
「龍神族が他種族との交流を始めたのは1000年ほど前。それまではお互い想い合った龍神族同士で結ばれていたけど状況が変わったの」
レティが口にしたのは龍神族の簡単な歴史だった
「元々人族より長寿なせいか絶対数の少ない種族だけど、埋める子供は1人だけという特性から一族の数は代を追うごとに減ってしまった。でも他種族と結ばれた場合、その制約がなくなると判明して人族との政略結婚を強いられるのが当たり前になったみたい」
それだけ龍神族の血を、たとえ薄くなったとしても残したいという気持ちが強かったってことだろうな
まぁ希少種だし当然なのかもしれないけど
「両親の一族はそれに異を唱えていたから純粋種との縁を結び続けてきたの。でも両親の代で純粋な龍神族は10人もいなかったみたいで、その中でも女性は母様ともう一人のみ。もう一人は人族と結ばれたから私が最後の純粋な龍神族となってしまったのよね」
レティは少し懐かしそうに話す
きっと両親の事を思い出しているんだろう
「つまり、他の龍神族が人族と縁を結んできたケースはあったけどレティの母方の血を引く…龍神の力を継ぐ者と人族が縁を結んだのは初めてってことか?」
「…そうなるかな?」
レティは伺う様に俺を見た
多分色々不安になってるんだろうけど杞憂だぞ?
「そんな顔すんなよ」
「でもこんな意味の分からない称号まであるのに…」
「それこそ大した問題じゃないだろ」
「え?」
「神々の加護を受けし者、エンドレスの申し子、前世の記憶を持つ転生者」
俺がレティに負けないくらいの意味の分からない称号を口にすると、レティは真っすぐ俺を見た
「こんなよくわからない称号を持つ俺といるのは不安か?」
「そんな事ない!」
即答だった
これは地味に嬉しい
「俺も同じだよ。どんな称号を持ってようが、それがどんな力に繋がってようが関係ない」
「シア…」
「大体今さらだろ?これまでだって散々規格外だなんだって言われてきてんだぞ?」
それはレティだって何度も聞いてるはずだしな
「まぁ気になる事があるとしたら…」
「?」
「どんな力を得てるのかってことと、寿命がどうなるのかってことくらいか」
龍化できるらしいし、その点はちょっとワクワクしてる自分がいる
寿命は異種族だと調整が入るけど今の俺はどうやら龍神族でもあるらしい
その場合200年なのか300年なのか…?
どっちにしても前世で生きられなかった分以上に生きられるらしい
尤もスタンピードやなんやで死ななければだけど
「やっぱりシアは変わってる…」
「そうか?」
「うん。でも…ありがとう」
そう言いながら抱き付いて来るレティを抱きしめる
不思議だけど純粋な人族じゃなくなった不安はない
むしろ未知の領域に足を踏み入れたことに対する期待が渦巻いていた
187
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説
異世界超能力だより!~魔法は使えませんが超能力なら使えます~
Mikura
ファンタジー
その日、明日見 遥(あすみ はるか)は見知らぬ森の中で目を覚ました。
だが超能力者である彼女にとってそれはあり得ないことではない。眠っている間に誤って瞬間移動を使ってしまい、起きたら知らない場所にいるということはままあるからである。だから冷静に、家に戻ろうとした。しかし何故か能力を使っても家に戻ることができない。千里眼を使って見れば見慣れぬ髪色の人間だらけ、見慣れぬ文字や動植物――驚くべきことに、そこは異世界であった。
元の世界に戻る道を探すべくまずはこの世界に馴染もうとした遥だったが、重大な問題が発生する。この世界では魔力の多さこそが正義。魔法が使えない者に人権などない。異世界人たる遥にも、勿論魔法は使えない。
しかし彼女には、超能力がある。使える力は魔法と大差ない。よし、ならば超能力を使って生きていくしかないと心に決めた。
――まずはそこの、とても根が良さそうでお人好しで困っている人間を放っておけないタイプらしいお兄さん、申し訳ないが私が生きるために巻き込まれてください。
これは超能力少女が異世界でなんやかんやと超能力を駆使してお人よしのお兄さんを巻き込みつつ、のんびり(自称)と暮らす物語である。

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。

半神の守護者
ぴっさま
ファンタジー
ロッドは何の力も無い少年だったが、異世界の創造神の血縁者だった。
超能力を手に入れたロッドは前世のペット、忠実な従者をお供に世界の守護者として邪神に立ち向かう。
〜概要〜
臨時パーティーにオークの群れの中に取り残されたロッドは、不思議な生き物に助けられこの世界の神と出会う。
実は神の遠い血縁者でこの世界の守護を頼まれたロッドは承諾し、通常では得られない超能力を得る。
そして魂の絆で結ばれたユニークモンスターのペット、従者のホムンクルスの少女を供にした旅が始まる。
■注記
本作品のメインはファンタジー世界においての超能力の行使になります。
他サイトにも投稿中

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる