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99.おかしい
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そんな俺を前にレティは言う
「以前母から聞いたことがあるの」
「…何を?」
言わんとすることが予想できるだけに聞くのが怖い
「私は最後の純粋な龍神族だけど、それだけじゃないんだよって」
「…」
「母の血筋は龍神様の直系だから他の龍神族よりその力は高いんだって」
それがこの称号に繋がるんだろうな…
納得できてしまうのはきっと俺だけじゃないはずだ
「母の血族は代々龍神の力を継ぐ者としてその力と称号を持ってるんだけど、その力がどんなものかは誰も知らないの」
レティの両親は互いに龍神族だった
だから魔力の交換をしても特に大きな変化はなかったのだろう
「龍神族が他種族との交流を始めたのは1000年ほど前。それまではお互い想い合った龍神族同士で結ばれていたけど状況が変わったの」
レティが口にしたのは龍神族の簡単な歴史だった
「元々人族より長寿なせいか絶対数の少ない種族だけど、埋める子供は1人だけという特性から一族の数は代を追うごとに減ってしまった。でも他種族と結ばれた場合、その制約がなくなると判明して人族との政略結婚を強いられるのが当たり前になったみたい」
それだけ龍神族の血を、たとえ薄くなったとしても残したいという気持ちが強かったってことだろうな
まぁ希少種だし当然なのかもしれないけど
「両親の一族はそれに異を唱えていたから純粋種との縁を結び続けてきたの。でも両親の代で純粋な龍神族は10人もいなかったみたいで、その中でも女性は母様ともう一人のみ。もう一人は人族と結ばれたから私が最後の純粋な龍神族となってしまったのよね」
レティは少し懐かしそうに話す
きっと両親の事を思い出しているんだろう
「つまり、他の龍神族が人族と縁を結んできたケースはあったけどレティの母方の血を引く…龍神の力を継ぐ者と人族が縁を結んだのは初めてってことか?」
「…そうなるかな?」
レティは伺う様に俺を見た
多分色々不安になってるんだろうけど杞憂だぞ?
「そんな顔すんなよ」
「でもこんな意味の分からない称号まであるのに…」
「それこそ大した問題じゃないだろ」
「え?」
「神々の加護を受けし者、エンドレスの申し子、前世の記憶を持つ転生者」
俺がレティに負けないくらいの意味の分からない称号を口にすると、レティは真っすぐ俺を見た
「こんなよくわからない称号を持つ俺といるのは不安か?」
「そんな事ない!」
即答だった
これは地味に嬉しい
「俺も同じだよ。どんな称号を持ってようが、それがどんな力に繋がってようが関係ない」
「シア…」
「大体今さらだろ?これまでだって散々規格外だなんだって言われてきてんだぞ?」
それはレティだって何度も聞いてるはずだしな
「まぁ気になる事があるとしたら…」
「?」
「どんな力を得てるのかってことと、寿命がどうなるのかってことくらいか」
龍化できるらしいし、その点はちょっとワクワクしてる自分がいる
寿命は異種族だと調整が入るけど今の俺はどうやら龍神族でもあるらしい
その場合200年なのか300年なのか…?
どっちにしても前世で生きられなかった分以上に生きられるらしい
尤もスタンピードやなんやで死ななければだけど
「やっぱりシアは変わってる…」
「そうか?」
「うん。でも…ありがとう」
そう言いながら抱き付いて来るレティを抱きしめる
不思議だけど純粋な人族じゃなくなった不安はない
むしろ未知の領域に足を踏み入れたことに対する期待が渦巻いていた
「以前母から聞いたことがあるの」
「…何を?」
言わんとすることが予想できるだけに聞くのが怖い
「私は最後の純粋な龍神族だけど、それだけじゃないんだよって」
「…」
「母の血筋は龍神様の直系だから他の龍神族よりその力は高いんだって」
それがこの称号に繋がるんだろうな…
納得できてしまうのはきっと俺だけじゃないはずだ
「母の血族は代々龍神の力を継ぐ者としてその力と称号を持ってるんだけど、その力がどんなものかは誰も知らないの」
レティの両親は互いに龍神族だった
だから魔力の交換をしても特に大きな変化はなかったのだろう
「龍神族が他種族との交流を始めたのは1000年ほど前。それまではお互い想い合った龍神族同士で結ばれていたけど状況が変わったの」
レティが口にしたのは龍神族の簡単な歴史だった
「元々人族より長寿なせいか絶対数の少ない種族だけど、埋める子供は1人だけという特性から一族の数は代を追うごとに減ってしまった。でも他種族と結ばれた場合、その制約がなくなると判明して人族との政略結婚を強いられるのが当たり前になったみたい」
それだけ龍神族の血を、たとえ薄くなったとしても残したいという気持ちが強かったってことだろうな
まぁ希少種だし当然なのかもしれないけど
「両親の一族はそれに異を唱えていたから純粋種との縁を結び続けてきたの。でも両親の代で純粋な龍神族は10人もいなかったみたいで、その中でも女性は母様ともう一人のみ。もう一人は人族と結ばれたから私が最後の純粋な龍神族となってしまったのよね」
レティは少し懐かしそうに話す
きっと両親の事を思い出しているんだろう
「つまり、他の龍神族が人族と縁を結んできたケースはあったけどレティの母方の血を引く…龍神の力を継ぐ者と人族が縁を結んだのは初めてってことか?」
「…そうなるかな?」
レティは伺う様に俺を見た
多分色々不安になってるんだろうけど杞憂だぞ?
「そんな顔すんなよ」
「でもこんな意味の分からない称号まであるのに…」
「それこそ大した問題じゃないだろ」
「え?」
「神々の加護を受けし者、エンドレスの申し子、前世の記憶を持つ転生者」
俺がレティに負けないくらいの意味の分からない称号を口にすると、レティは真っすぐ俺を見た
「こんなよくわからない称号を持つ俺といるのは不安か?」
「そんな事ない!」
即答だった
これは地味に嬉しい
「俺も同じだよ。どんな称号を持ってようが、それがどんな力に繋がってようが関係ない」
「シア…」
「大体今さらだろ?これまでだって散々規格外だなんだって言われてきてんだぞ?」
それはレティだって何度も聞いてるはずだしな
「まぁ気になる事があるとしたら…」
「?」
「どんな力を得てるのかってことと、寿命がどうなるのかってことくらいか」
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「うん。でも…ありがとう」
そう言いながら抱き付いて来るレティを抱きしめる
不思議だけど純粋な人族じゃなくなった不安はない
むしろ未知の領域に足を踏み入れたことに対する期待が渦巻いていた
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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