チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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96. 久々の別荘

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暫く避難すると決めた2日後、町で適当に食料や物資の調達をしてから俺達は別荘に向かった
俺自身も1年半以上来ていないからちょっとワクワクしてる

「レティ大丈夫か?」
考えてみれば結構長い事歩いてるからちょっと心配になった
「大丈夫。旅の道のりより楽だし」
そう答えたレティの足取りは軽い
確かにこの辺で出る魔物はランクも低いし旅の時と比べれば精神的にも楽か
「それに種族的にも体力はある方だから」
言われてレティの種族を思い出す
普段は全然気にしてないから忘れがちだけど種族が違うんだよな…
そう考えてふと気づく
龍神族の寿命は300年と聞いたことがある
そうなると俺とレティはこの先どうなるんだろうか…?
人族は長くても80年と言われてるってことは220年レティは…
そう思った瞬間背筋がゾクっとした

「シア?どうかした?」
「え?あ、いや…何でもない」
無駄に早く打つ鼓動と共に胸が苦しくなる
レティは気付いてるのだろうか?
それでもともにいたいと思ってくれるだろうか?
俺はこれまでに感じた事のない息苦しさを必死で誤魔化そうとしていた

「すごく空気の美味しい所ね」
「そうだな。父さんもそこが気に入ってたみたいだ」
そう答えながら飛び出してきたフォレストドッグを倒してそのままインベントリに入れる
「小さい頃はこんな魔物でも怖かったんだよな」
「ふふ…シアが?」
「俺だって最初からAランクなわけじゃないからな?それこそ最初はスライムから練習してたし」
「そりゃそうか」
頷きながらもレティは笑い続けていた
願わくばこの笑顔が消えることのない日々を過ごしたい
少なくとも俺のせいで曇らせることはしたくない

「あの建物だ」
木々の隙間から現れたのは懐かしい建物だ
「結構大きい?」
「そうだな。途中で増築したりしてたみたいだし。ついでに庭も拡張してたかな。レティここに魔力を流してくれ」
父さんに教えてもらった通りに設定する
「これでいい?」
「ああ。これでもっかい魔力流せばドアが開くはずだ」
やってみるよう促すとレティは再び魔力を流した
「開いたみたい」
「登録した人の魔力でしか開かないんだ。中から出る時は何もしなくても開くし、閉じたらそのままロックがかかる」
「すごいのね?」
「結構値の張る魔道具らしいよ」
父さんが何でこれにしたのかはいまだに教えてくれないけど
今の家はこんな魔道具を使ってないから余計に謎だったりする

「中を案内するよ」
俺はレティを促して中に入ると魔道具を含めて建物の中を案内した
「まぁこんな感じで部屋数はかなりあるけど、使うのはキッチンとリビング、それに寝室くらいか?」
「そうだね。それにしても使ってないのに随分綺麗」
「それも魔道具のおかげだ。喧嘩した時の駆け込み場所でもあるくらいだしな」
「なぁにそれ?」
「ルークとシャノンの兄妹げんかの後、どっちかが駆け込んでることもあるんだ」
自分の部屋にいない時は大抵こっちにいるもんな
「そういう逃げ場があるのってなんかいいね」
「レティも使っていいぞ?いつでも入れるようにしたのはその為でもあるし」
「え?」
「何かあって行き場がない時はここに来ればいいってこと」
変にさ迷われるより周りも安心できるしな
「…ありがと」
レティは少し困惑したような表情でそう言った

「どうした?」
「…何でもない」
何でもないようには見えないけど?
それでもレティが言いたくなったら言うだろうとあえてそこにはふれなかった
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