チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
240 / 443
3-93.こっちが恥ずかしい

1

しおりを挟む
「ただいま~」
カフェを出た後、俺達は商会で買い物をしてから帰ってきた
家に帰ってからリビングに顔を出すのは母さんから刷り込まれた躾のたまものだと思う
反抗期…のような時期に顔を出さずに自分の部屋に直行したら、引き摺ってリビング連れて行かれた…なんて記憶も今となっては懐かしい
リビングに居たのは母さんとナターシャさん、そしてメリッサさんの3人だ

「お帰りなさい…あら?」
「どうかした…え?」
「まぁ…」
3人共が顔を上げてこっちを向いた瞬間固まった

「は?」
その理由が分からず首をかしげているとレティが身じろぎをした
まずい…
俺はレティの肩を抱き寄せたままなのを完全に忘れていたらしい

「まずった…」
ぼそりと呟いた俺の言葉にレティが苦笑する
それを見て母さんたちが笑い出す

「やっとけじめつけたのね」
「やっとって…」
「やっとでしょう?周りは皆気付いてるのにうだうだと…」
ナターシャさんの呆れたような言い方に返す言葉もない
だからって『うだうだと』ってちょっと酷くないか?

「本当にそういうところはレイとそっくりね」
「父さんと?」
「そうよ。レイも自覚した途端人が変わっちゃったからね~」
「人が変わる?」
「レティシアナ」
「はい!」
母さんに名前を呼ばれたレティが背筋をのばす

「シアをお願いね」
「は、はい…」
「この子、何でもかんでも自分で抱え込んじゃうから気を付けてやって。それと…」
「それと…?」
「自覚しちゃったから始まると思うのよ」
「始まる?」
レティが混乱したように俺を見るけど、母さんが一体何が言いたいのか俺にもわからない

「溺愛と執着よ」
「「!」」
俺達は同時に息を飲んだ
でもきっと理由は違うんだろうな…
マジで勘弁してほしい

「抱きつぶされて困ってる時は相談に乗るわよ」
「え…っと…」
「レイとサラサちゃんの血、しっかり継いでるからね。聞いたことない?高ランク冒険者程…って」
「あ…高ランクの冒険者程、絶倫…?」
レティはつぶやいて顔を真っ赤に染めた
ちょっと待ってくれ…

「そうそれ。魔力高いと余計辛いらしいのよね。シアの魔力は…ね?」
「ね?じゃねぇよ…」
「何照れてるのよ?普通のことなんだから恥ずかしいことでも何でもないでしょうに」
呆れたように言う母さんに驚いた

「サラサちゃんも変わったわよね?」
「え?」
「昔はシアと同じような反応してたじゃない?」
「そうだっけ?」
「そうだったわよ。私とメリッサが話してる時でもサラサちゃん真っ赤になって可愛かったもの」
「…聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど?」
何が嬉しくて母さんのそういう話を聞かなければならないんだ?

「そんな時代もあったかもしれないわね。それはそうと、あなた達の部屋の間の壁はどうする?」
「は?」
「すぐ取り外せるのよ。あれ」
「何言って…」
それ親から進める話なのか?
いや、この世界の常識から考えれば普通なのかもしれないけど…

「まぁ外し方は後で教えるわね。あと、シアにこれを渡しておくわ」
母さんは俺達の動揺をものともせずに魔道具を押し付けてきた

「これは?」
「左が遮音効果発動。右が解除ね」
「遮音って…!」
「それは大事よ~?この家は小さい子も多いんだから当然でしょう?」
「当然でしょう?じゃなくて…!」
俺が困惑しながらも言い返しているとレティが突然笑いだした

「…レティ?」
「ごめんなさい…でもシアがいいようにからかわれてるのが可笑しくて…」
「レティ…」
レティの言葉に脱力した

「そういうシアも初めて見るわね」
そう言ったのはメリッサさんだ
初めてって…ほんと勘弁してくれ

「まぁ冗談はさておき、シアもレティシアナも成人してるから2人の間のことにとやかく言う気はないわ。その代わり何が起きてもちゃんと自分たちで責任取りなさいよ?」
「分かってる」
「はい」
俺達は同時に頷いた

「ならよし。シアに大切に思う相手が出来て、その相手がレティシアナだってことは私達もとても嬉しいわ。だから今日はお祝いよ」
「そうね。ご馳走いっぱい作りましょうね」
「あ、メリッサはゆっくりしてなさいよ?いつ生まれてもおかしくないんだから」
自分もと言おうとしたメリッサさんにナターシャさんが釘をさした
いや、どう考えても動けないだろ?
それでも動こうとするその気持ちは嬉しいけどさ
ただその祝と言う名の場で、色々と恥ずかしい思いをする羽目になったのは言うまでもない
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、 優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、 俺は必死に、置いていかれないようについていった。 自分には何もできないと思っていた。 それでも、少しでも役に立ちたくて、 誰にも迷惑をかけないようにと、 夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。 仲間を護れるなら… そう思って使った支援魔法や探知魔法も、 気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。 だけどある日、告げられた。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、優しさからの判断だった。 俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。 こうして俺は、静かにパーティを離れた。 これからは一人で、穏やかに生きていこう。 そう思っていたし、そのはずだった。 …だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、 また少し、世界が騒がしくなってきたようです。 ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...