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89.思わぬ繋がり
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しおりを挟む ――明弘に抱きしめられ、告白された。もちろん答えは決まっている。私は声が震えないように注意しながら、返事を返した。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
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明弘は笑いかけてきた。
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そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
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うん。今夜は焼き肉だな。
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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