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86.旺盛な食欲
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「レティシアナはシャノンよりも筋がいいみたいね」
「え…っと?」
「シャノンと比べるのはどうかと思うけど?」
困惑するレティに苦笑しながら母さんに返す
シャノンは壊滅的だから比較対象には向かない
アイツが出来るのは串焼きだけだからな
しかも味付け一切なしのぶつ切りした肉を串に刺しただけの代物だ
味覚は悪くないはずなのにあれを平気で食えるのが俺には理解できない
「シャノンの料理スキルってどうにもならないものなのか?」
「どうかしらね。あの子、端から丸投げだから何とも言えないわ。好きな人でもできて、その人に作ってあげたいとか思い始めたら変わるかもしれないけど」
「…」
俺とレティは顔を見合わせる
「シャノンの場合、相手に作ってってねだってそう」
「同感」
レティの言葉に思わず頷いた
うん。期待は出来なさそうだ
そんな俺達を母さんが生暖かい目で見てることに、この時の俺は気付いてなかった
「それにしてもすごい量」
既に焼きあがったハンバーグは4つの大皿に小山になっている
「シャノンとルークの食欲がこの家での普通だからな」
「え?」
「バーベキューでも皆散々食ってたろ?」
「言われてみれば…でもシアはそんなに食べないよね?」
「ここでは俺と母さんが特殊?」
俺は母さんを見る
「そうね。小さい子たちでも私やシアよりたくさん食べるわ」
「単純に俺も母さんも…まぁレティもだろうけど、ホットドッグとハンバーガー1個ずつあれば満足だろ?」
「うん」
「ケインやスカイくらいのチビ達でも2個ずつは軽く食う」
「あの小さい体で?」
「ああ。で、他はチビ達の倍以上」
「…」
レティが固まった
『シアーごはん』
カーロがそう言いながらすり寄ってきた
「おはよカーロ。昨日と同じくらいでいいのか?」
『うん』
その答えに俺はサンドイッチを取り出した
「カーロもたくさん食べるのね」
その量を見てレティが諦めたように言う
『シアとサラサのごはんおいしいから』
「それは分かるわ。これまで食べたことないものも一杯だし」
『レティシアナもシアのご飯好き?』
「ええ。好きよ」
満面の笑みで即答された
餌付けした覚えはないんだけど…してないよな?
何故かちょっと不安になった
「おはよ~」
ヘンリーが起きてきたのを皮切りに続々と起きて来る
「お、レティシアナも手伝ってくれてるのか?」
トータさんが尋ねながら出来上がっているハンバーガーを取っていく
「手際がいいから助かっちゃったわ」
「そうなのか?」
「ええ。シアと話しながら作業してたから慣れてるんでしょうね」
「料理する人手が増えるのは有り難いわね~サラサちゃん変わるわ」
ナターシャさんが母さんとバトンタッチした
「サラサ、シエラを頼む」
「はーい」
父さんからシエラを抱き受けた母さんはそのままソファーに向かう
手の空いた父さんはホットドッグやハンバーガーが大量に乗った皿をリビングに運び出していた
それを見てチビ達が飲み物を用意する
食べ始めると皿の上の山はどんどん小さくなっていった
「ハンバーガー!」
ケインが起きてくるなり手に取って食べ始めた
順調に食いしん坊になっているらしい
「こらケイン、先に挨拶だろ?」
「う…おはよ。いただきます」
「ふふ…おはようケイン。よくできました」
母さんがそう言いながら笑う
こんなやり取りに俺達が日常に戻ってきたことを実感するくらいには俺も気を張りつめていたらしい
「え…っと?」
「シャノンと比べるのはどうかと思うけど?」
困惑するレティに苦笑しながら母さんに返す
シャノンは壊滅的だから比較対象には向かない
アイツが出来るのは串焼きだけだからな
しかも味付け一切なしのぶつ切りした肉を串に刺しただけの代物だ
味覚は悪くないはずなのにあれを平気で食えるのが俺には理解できない
「シャノンの料理スキルってどうにもならないものなのか?」
「どうかしらね。あの子、端から丸投げだから何とも言えないわ。好きな人でもできて、その人に作ってあげたいとか思い始めたら変わるかもしれないけど」
「…」
俺とレティは顔を見合わせる
「シャノンの場合、相手に作ってってねだってそう」
「同感」
レティの言葉に思わず頷いた
うん。期待は出来なさそうだ
そんな俺達を母さんが生暖かい目で見てることに、この時の俺は気付いてなかった
「それにしてもすごい量」
既に焼きあがったハンバーグは4つの大皿に小山になっている
「シャノンとルークの食欲がこの家での普通だからな」
「え?」
「バーベキューでも皆散々食ってたろ?」
「言われてみれば…でもシアはそんなに食べないよね?」
「ここでは俺と母さんが特殊?」
俺は母さんを見る
「そうね。小さい子たちでも私やシアよりたくさん食べるわ」
「単純に俺も母さんも…まぁレティもだろうけど、ホットドッグとハンバーガー1個ずつあれば満足だろ?」
「うん」
「ケインやスカイくらいのチビ達でも2個ずつは軽く食う」
「あの小さい体で?」
「ああ。で、他はチビ達の倍以上」
「…」
レティが固まった
『シアーごはん』
カーロがそう言いながらすり寄ってきた
「おはよカーロ。昨日と同じくらいでいいのか?」
『うん』
その答えに俺はサンドイッチを取り出した
「カーロもたくさん食べるのね」
その量を見てレティが諦めたように言う
『シアとサラサのごはんおいしいから』
「それは分かるわ。これまで食べたことないものも一杯だし」
『レティシアナもシアのご飯好き?』
「ええ。好きよ」
満面の笑みで即答された
餌付けした覚えはないんだけど…してないよな?
何故かちょっと不安になった
「おはよ~」
ヘンリーが起きてきたのを皮切りに続々と起きて来る
「お、レティシアナも手伝ってくれてるのか?」
トータさんが尋ねながら出来上がっているハンバーガーを取っていく
「手際がいいから助かっちゃったわ」
「そうなのか?」
「ええ。シアと話しながら作業してたから慣れてるんでしょうね」
「料理する人手が増えるのは有り難いわね~サラサちゃん変わるわ」
ナターシャさんが母さんとバトンタッチした
「サラサ、シエラを頼む」
「はーい」
父さんからシエラを抱き受けた母さんはそのままソファーに向かう
手の空いた父さんはホットドッグやハンバーガーが大量に乗った皿をリビングに運び出していた
それを見てチビ達が飲み物を用意する
食べ始めると皿の上の山はどんどん小さくなっていった
「ハンバーガー!」
ケインが起きてくるなり手に取って食べ始めた
順調に食いしん坊になっているらしい
「こらケイン、先に挨拶だろ?」
「う…おはよ。いただきます」
「ふふ…おはようケイン。よくできました」
母さんがそう言いながら笑う
こんなやり取りに俺達が日常に戻ってきたことを実感するくらいには俺も気を張りつめていたらしい
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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