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85.レア素材
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「シア、ルーク、シャノン、よく無事で帰ってきてくれたね」
屋敷にやってくるなりコーラルさんはそう声をかけて来る
「初めて見る君が、新しく『無限』に入ったレティシアナかな?」
「は、はい!宜しくお願いします」
「確か龍神族、だったか」
「…はい」
種族名を出されたことにレティは少し顔をこわばらせた
「あぁ、誤解しないでくれ。まさか生きてるうちに会えると思っていなかったから驚いているだけだ」
「希少種族だものね」
ナターシャさんが呆れたように言う
「ところでシア、レア素材が手に入ったとか?」
コーラルさんにとっては種族よりも素材の方が興味を惹かれるらしい
そのことに一番驚いていたのはレティだった
「さぁ、早く見せてくれ」
はしゃぐコーラルさんに急かされて、さっそく庭に出てお披露目することになった
流石に部屋の中で魔物の死骸を出すわけにはいかないからな
「どれも複数確保してるけど最初に渡すのはコーラルさんにと思って」
「それはうれしいですね」
満面の笑みだ
「まずはリストにあったものから」
「結構あるな?」
旅に出る前に渡されてリストに載っていた素材の3割程度
3割といってもリスト自体がそれなりの量だけに素材の量もそれなりにある
カルムさんは手持ちのリストにある俺の出した素材をチェックしていた
その抜かりなさは流石だ
父さん達が入手した時は教えてもらえるように後で頼んでおくとするか
「まさかこんなに手に入るとは…いやぁリストを渡してみるものだね」
ホクホク顔のコーラルさんに父さん達は苦笑する
「で、次がリストに載ってない物なんだけどさ」
そう言いながら取り出したのはポイズンベアだ
その大きさに驚いたスカイたちが母さんにしがみ付いていた
「すげ…」
「お前これ…」
「ポイズンベア。シャノンが報告してた俺が死にかけた原因で、もろその個体」
意識を取り戻した俺にホッとしたシャノンは手紙にすべてを書いて送っていた
あの直後は母さんと父さんが来るとか来ないとかでかなりもめた
「こいつが…」
「これをお前たちはどうやって倒したんだ?」
「確かポイズンベアは切り倒せないだろう?」
「どうして切り倒せないの?」
トータさんの言葉にフラウが尋ねる
「切ったら毒を含んだ血が飛散するんだ。それが身体にかかれば皮膚から毒が回る」
「こいつ自身は魔法も使わないし大きなスキルもない。だが振り回される前足は脅威だな」
「爪の先からも毒が出るもんな」
「しかも毒のブレスもある」
アランさんやカルムさんの言葉にその場が静まり返る
この巨体から繰り出される毒のオンパレードだから当然か?
「最初に倒した時はブレスを使われたから隔離して窒息させた。その過程でシャノンの報告があった状態に陥ったんだけどさ…」
「最初に倒した時は…ってことは?」
「帰りに再戦してきた。だからこの素材もかなりある」
「だって時間かければこの肉も食べれるっていうから」
呆れたような皆の目にシャノンが言い訳を始める
「…シャノンはこれを食べる気なのね?」
「俺も興味がないと言えば嘘になるが…」
複雑そうな表情でつぶやかれる
「それにね、この素材めったに入手できないから高値で売れるでしょう?貴重だし待ってる人もいるだろうし…」
「…で、2体目からはどうしたんだ?」
父さんは苦笑しながらシャノンの言葉をスルーした
「ブレスはヤバいから窒息一択。爪の毒を回避するためにシャノンに水球まとわせて凍らせてもらった」
「僕は足元を拘束かな」
「なるほどな…」
父さんがため息交じりに言う
「でもシア。これって業火なら勝てるでしょう?」
「鑑定してからそれも考えたんだけど、業火で燃やすと素材取れないし」
「…まぁそうよね。だからレア素材なんだものね…」
母さんがブツブツ言っている
「結果的にオートキュアを覚えたりレア素材入手したりで良かったんだけど、あんな思いは二度とごめんだからその分慎重にはなった」
「…そういうことならよかったというべきなんだろうな」
「そうね。実際こうして戻って来てるわけだし」
自分に言い聞かせるように吐き出される言葉に、それだけ心配かけてたんだろうことを突き付けられた気がした
屋敷にやってくるなりコーラルさんはそう声をかけて来る
「初めて見る君が、新しく『無限』に入ったレティシアナかな?」
「は、はい!宜しくお願いします」
「確か龍神族、だったか」
「…はい」
種族名を出されたことにレティは少し顔をこわばらせた
「あぁ、誤解しないでくれ。まさか生きてるうちに会えると思っていなかったから驚いているだけだ」
「希少種族だものね」
ナターシャさんが呆れたように言う
「ところでシア、レア素材が手に入ったとか?」
コーラルさんにとっては種族よりも素材の方が興味を惹かれるらしい
そのことに一番驚いていたのはレティだった
「さぁ、早く見せてくれ」
はしゃぐコーラルさんに急かされて、さっそく庭に出てお披露目することになった
流石に部屋の中で魔物の死骸を出すわけにはいかないからな
「どれも複数確保してるけど最初に渡すのはコーラルさんにと思って」
「それはうれしいですね」
満面の笑みだ
「まずはリストにあったものから」
「結構あるな?」
旅に出る前に渡されてリストに載っていた素材の3割程度
3割といってもリスト自体がそれなりの量だけに素材の量もそれなりにある
カルムさんは手持ちのリストにある俺の出した素材をチェックしていた
その抜かりなさは流石だ
父さん達が入手した時は教えてもらえるように後で頼んでおくとするか
「まさかこんなに手に入るとは…いやぁリストを渡してみるものだね」
ホクホク顔のコーラルさんに父さん達は苦笑する
「で、次がリストに載ってない物なんだけどさ」
そう言いながら取り出したのはポイズンベアだ
その大きさに驚いたスカイたちが母さんにしがみ付いていた
「すげ…」
「お前これ…」
「ポイズンベア。シャノンが報告してた俺が死にかけた原因で、もろその個体」
意識を取り戻した俺にホッとしたシャノンは手紙にすべてを書いて送っていた
あの直後は母さんと父さんが来るとか来ないとかでかなりもめた
「こいつが…」
「これをお前たちはどうやって倒したんだ?」
「確かポイズンベアは切り倒せないだろう?」
「どうして切り倒せないの?」
トータさんの言葉にフラウが尋ねる
「切ったら毒を含んだ血が飛散するんだ。それが身体にかかれば皮膚から毒が回る」
「こいつ自身は魔法も使わないし大きなスキルもない。だが振り回される前足は脅威だな」
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「しかも毒のブレスもある」
アランさんやカルムさんの言葉にその場が静まり返る
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「最初に倒した時は…ってことは?」
「帰りに再戦してきた。だからこの素材もかなりある」
「だって時間かければこの肉も食べれるっていうから」
呆れたような皆の目にシャノンが言い訳を始める
「…シャノンはこれを食べる気なのね?」
「俺も興味がないと言えば嘘になるが…」
複雑そうな表情でつぶやかれる
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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