チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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閑話8 暗闇に差す光(side:レティシアナ)

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「無駄だよお嬢ちゃん。こんな場所に助けは来ない」
「そうそう。だから俺らと楽しもうぜ」
「へへ…こいつは上手そうだ…な!」
“ビリ…ッ”
破られる音と共に体中にひんやりとした空気が触れた
貴族に着せられていた服はワンピースのような薄いもの
下着と呼ばれるものなど与えられてもいなかった
最初の頃インベントリから取り出して着ていたのを見つかって、インベントリの存在迄バレてからは魔封じの効果のある枷に変えられてしまった
それ以来、中のものには触れることも出来ない
そんな質素な服を男が一息に破ったことで、私は生まれたままの姿をさらす羽目に陥っていた

「ぃ…やぁーーーっ!!」
さらけ出された肌に羞恥心と恐怖に包まれた
「ククク…その悲鳴がまたいい」
「おい、あとが使えてんだから早くしろ」
卑しい笑いと共にかけられる言葉とともに訪れた不快な感覚
厭らしく触れる手に吐き気すら覚えた

「やめとけ」
「はー?」
自分たち以外に誰もいないはずの場所でかけられた声に、一斉に振り向いた男たちを真っすぐ見据えていたのは多分同じ年頃の男の子だった

「何だガキかよ」
「悪いこた言わねえからどっか行っちまいな」
「できない相談だな」
男たちにそう答えながら少しずつ距離を詰めてくる
「なら痛い目を見るまでだ!…ぐぅ…?!」
言い切る前に殴りかかった1人が返り討ちにあっていた
あの人強い
本能的にそう感じた
今の攻撃もかなり手加減されてると思う

「な…?」
「何しやがるクソガキ」
次々と殴り掛かる男達は大柄なのに気づいたときには5人が身動きすら取れなくなっていた

「あんた大丈夫か?」
身体を起こされた瞬間感じたのは安堵

「…悪い」
彼は視線を反らしてそう言った
なぜあなたが謝るの?
そう思っているとインベントリから取り出した上着を肩にかけられた
その時になって初めて自分の状態を思い出して居たたまれなくなった

「ちょっとだけ我慢しててくれ」
そう言うと彼は側で転がっている5人を縛り上げるて大木に括り付けた

「もう大丈夫だ」
その言葉の直後、首と手首、足首の枷が破壊されていた
え…?
一体何が起こったというの?
魔封じの効果のある枷を触れもせずに彼は何をしたというの…?
でもそんなことよりも危機が去ったのだと思った瞬間意識が遠のいていった



意識を取り戻した私に彼、シアとその弟妹のルークとシャノンはとても良くしてくれた
シアは同じ年なのにしっかりしてるせいかもっと年上に感じる
シャノンは逆に年よりも幼い感じでとても人懐っこい
枷の話からこれまでの事を簡単に話した
その上で元の場所には戻れないことをシアは読み取ってくれる
その事に私は嬉しさを感じながらも、困った顔をしながら考え込むシアにすごく申し訳ない気持ちになった
多分ここでお別れなんだろうなって漠然と思いながら、それでもできるなら一緒に連れて行って欲しいなんて自分勝手なことを考えてしまう
そんな浅ましい願いが叶うわけないんだけど…
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