チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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「シア?」
竈を作り終えて囲炉裏にかかっていたルークが駆け寄ってくる

「誰?」
「野郎の集団に襲われてたのを助けたあと気を失ったから連れて来た。シャノン!」
「なに~?大きなお肉手に入ったー?」
ルンルンと鼻歌を歌いながらシャノンは奥から出て来た

「…って何それ?」
「それって…モノじゃないだろうが」
「分かってるけど…どうしたの?」
「襲われてたから助けた。多分安心して気を失ったんだろ」
「え…」
何故かシャノンが呆然とする
意味が分からん
「服を破られただけで済んだけどこのままにしとくわけに行かない」
「…確かに意識取り戻して裸同然は流石に可哀そうだよね?私だったら立ち直れないかも…」
「ってことでシャノン、俺は外出てるから何か着せてやってくれ」
俺のテントの中に寝かせてシャノンに頼む

「それはいいけど…」
何か言いたそうにしてるけどスルーする
「それと…」
俺はシャノンの耳元で一つ頼みごとをした
「シアそれって…」
「とにかく確認だけ頼むな」
「分かった。任せて」
心強い返事を聞いて俺とはいったん外に出た

「ルーク手伝え」
「何?」
「ゴミ掃除」
「…あぁ、了解」
察したルークは大人しく後をついてくる
流石にあの男たちをそのままほっておくことは出来ない

「これはまた…」
まだ気を失ったままの男たちを見てルークはため息を吐いた

「こんな奴らにやられたら死んだほうがましとかなりそう…」
「言うな」
「あの人、シアに見つけて貰えてよかったよ。滅茶苦茶綺麗な人だし」
「そこに綺麗かどうかは関係あるのか?」
「当然。きれいな人ほど助けたくなる」
「…そうか」
言い切るルークの思考は俺には到底理解できそうにない

「で、こいつらどうすんの?」
「向こうの街道に捨てる」
「なるほど?通りがかった人にお任せってことか」
「こんなの連れて町まで行くの面倒だろうが」
「僕は拒否する」
「俺もだよ」
言いながら2人で手分けして男たちを街道迄運んだ

「土魔法がこんなところで役に立つとはね」
ルークの言葉を聞き流しながら板に文字を掘る
「何書いてんの?」
のぞき込んだルークは笑い出す
『女性を襲った犯罪者につき適切な処分を』
これを読んだ奴が信じるかどうかはその時の運
たとえ信じなくても俺達がこいつらに合うことは二度とないだろうからどうでもいい
そもそもこの街道をどれくらいの頻度で人が通るかもわからない
生きてるうちに誰かが通ってくれたら御の字か…
いや、そのまま捕まれば犯罪奴隷になることを考えればどっちが幸せか?
その辺はこいつらの運次第ってところか

「助かったよルーク」
「半分以上シアがやってたけどね」
「それでも、だ。お前が掘りすぎたおかげで肉も手に入ったしな」
「…」
睨んでくるルークをスルーして洞窟に戻った
因みに手に入れたのはモグラ系の魔物だ
ルークが掘りすぎた先に巣があってかなりの数をGetした

「お帰りシア、ルーク」
「ただいま。あの人は?」
「まだ寝てる」
「そっか。じゃぁ僕はご飯の準備してるから」
ルークはそう言いながら肉を裁きに出て行った

「どうだった?」
「見当たらなかったよ。でも左足に酷い傷跡があった」
「傷?」
「うん。魔物とかじゃなくナイフをねじ込んだ感じ?私だったら多分歩けないと思う」
「そうか…助かったよ。お前は彼女が目を覚ますまで側についててくれるか?」
「うん。目を覚ましたら呼ぶね」
「ああ、頼む」
俺のテントの中に入っていくシャノンを見送った

シャノンとルークのテントもそれなりの広さはあるけどまだひとり用でしかない
俺のテントは中をかなり拡張してるしケインが入りたがるせいもあってベッドも2つ置いている
普段はケインが使うそのベッドに今は彼女を寝かせた
精神的に病んでなきゃいいけど
そう思いながら俺はルークの飯の準備を手伝うことにした

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