チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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閑話6 周りの目(side:ルーク)

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「関係ない奴が余計なこと言ってんじゃねぇよ」
少し怒りをはらんだその声を僕はよく知っていた

「は?」
「何だお前?」
バートとマーキーが立ち上がる

「人の弟にくだんねぇこと吹き込むなよな」
「弟?こいつと一緒に旅してる兄弟か?」
「だったら何だよ?」
「…シア…」
珍しく苛立っているシアを見て思わずつぶやいた言葉に3人が固まった

「今…シアって…?」
「ああ、俺が『無限』のシアだ。こいつは弟のルーク。Bランクだけどその辺のBランクと同列に見られるのは迷惑だ」
「は?」
「この辺を拠点にしてるならファイアスネークくらい分かるよな?」
「ああ、Aランクの…」
「ルークも、妹のシャノンも1人で簡単に狩るぞ?」
横凪すれば低ランク冒険者でも狩れるけどシアはそれを言うつもりはないらしい

「「「?!」」」
3人は実際に対峙したのか、噂だけを知っているのか...とにかく口を開けたまま固まった
シャノンが倒した時僕たちもあんな感じだったんだろうか...?
「そんな2人が心強い味方になることはあっても、負担になるわけないだろうが」
呆れたように言うシアに僕迄呆けてしまった

「ルークも」
「え?」
「外野の言葉をいちいち気にしてんじゃねぇよ」
「でも…」
「これだけは言っとくぞ?お前らがいなかったら、俺はまだAランクに上がってない。その意味、お前になら分かるだろ?」
「あ…」
迷宮の中で何度も言われてきた言葉を思い出す
シアなら一人でもいつかはAランクに上がってたと思う
でも…父さんでさえソロでいながら弾丸と行動してた
どれだけ強くてもソロで迷宮に挑んだり依頼を受けたりするのはかなりのリスクを伴うからだ

「俺がまともにパーティーを組める相手は限られてる。背中を預けることができるルークとシャノンが負担になるなんてありえないんだよ」
「シア…」
「…何か悪かったな」
「勝手な想像だったな。負担になるだけの相手とパーティーを組む奴なんていないって、ちょっと考えればわかることなのによ」
自分達もパーティーを組んでいるだけに実感の籠った言葉に感じた

「分かってくれればそれでいい。こいつこう見えてメンタル弱いからさ」
「僕は別に…」
「声が震えてたぞ?」
「!」
ニヤニヤ笑いながら言うシアに、僕は顔を反らしてしまった
そんな僕たちのやり取りに3人が笑い出す

「今からファイアスネーク調理するからあんた達も食ってけば?」
「い…いいのか?」
「Aランクだぞ?」
「大量に狩ってるから問題ない。その代わりあんた達に流れて来てる情報を教えてくれ」
その言葉で商談は成立した
バートがAランクを大量...ってブツブツ繰り返してるのは聞かなかったことにしよう

3人との話は意外と盛り上がった
冒険者同士なんてそんなものかもしれないけどね
結果、僕たちの情報は多少湾曲されてたけど、大きな問題はほぼ伝わってるってことが分かった
いわゆるコーラルさんに動いてもらった問題は全てってこと
しかもその全てが『シアとその弟妹』でひとくくりにされてるから、マーキーたちが思ったことも仕方ないんだとわかる
僕は『その弟妹』で括れないくらい強くなりたい

「マジで悪いこと出来ねぇな」
最後にシアがそう締めくくったせいで僕たちは笑うしかなかったんだ
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