190 / 370
73.反撃
1
しおりを挟む
翌朝、憲兵が来ていると宿主が呼びに来た
下に降りると2人の憲兵が待っていた
「双方の話を聞きたいので来てもらいたいのだが…」
「…わかった。あいつらに伝言たのめるか?」
「ああ。勿論だ」
俺は頷くと宿主にルークたちへの伝言を伝えて憲兵について宿を後にした
「こちらへ」
通されたのはこの町の集会所のような場所だった
すでにローガンとブリーナがいて、部屋の中には大勢の見物人がいた
俺達が3日かけてきた場所にローガンが既にいるってことは、ブリーナと一緒に来たってことだよな?
つまり手加減する必要はないってことか
「これはどういうことか聞きたいんだが?」
「ローガンは商人として名が知れている。その娘は君と正反対の主張をしてきた。白黒つけるために簡易裁判を行うことになった。私は領主としてその真偽を判断する」
正面に座っている男がそう言った
さて、この領主は屑かまともか…
そんな考えが頭をよぎったのは内緒だ
「なるほど。差し詰め俺は被告の立場というわけか?随分な扱いをされたもんだ」
「どちらが被告と決まったわけではない。ただ、主張が食い違った場合こういう形を取るのがこの町での通例でな」
挑発するように言うと俺を呼びに来た憲兵が申し訳なさそうにそう言った
「…二度と関わるなと言ったはずなんだがな」
ため息交じりに言いながら指示された場所に座る
正面を見るとブリーナが悔しそうにこっちを睨みつけていた
思い通りにならなかったら逆切れとか本当に勘弁してもらいたいもんだ
「彼、シアはブリーナが“自分の物にならないなら殺してやる”と言いながらナイフを持って襲ってきたと言っている。その前にブリーナは宿主に対して自分は彼の婚約者だと虚偽の申告をして、部屋を突き止めていたこともわかっている」
憲兵が淡々と話す
「違うわ!うちの屋敷に泊まった時にシアは私を襲って純潔を無理やり奪ったのよ!それなのに責任を取ろうともせずに逃げたから…だから私は…!」
ブリーナは泣き叫びながら訴える
それを見た憲兵たちが俺に厳しい目を向けてきた
いや、中立の立場のあんた達がそれで大丈夫なのか?
「これに対して反論はあるかね?」
領主は特に感情を乱すことなく訪ねてきた
「婚約を頼まれたのを断ったその日に部屋に侵入されたのは事実だ。でも俺はそのままローガンに付き返している。俺が襲ったというならその証拠を出してくれ」
襲ってないからそんな証拠あるはずがないけどな
「ローガン、彼の言う証拠はあるかね?」
「…その男は口止め料として大金と装備用の装飾品を脅し取っている!宿も受付を終えてるにも拘らずその日のうちに飛び出して行ったのが何よりの証拠じゃないか!」
ローガンが叫ぶように言った
それが必至で用意しただろう言い訳かと思うと呆れるな
「その脅し取ったという証拠はあるかね?」
口を挟んだのは領主だった
「それは…!しかし実際に大金を…白金貨30枚を奪って行ったんだぞ!」
「白金貨30枚…300万Gか…」
その金額にギャラリーがざわついた
まぁ平民の1月の平均収入は10万G~15万Gだからしかたないか
そんなことを考えていると領主が俺の方を見ていた
「普通の者にとっては300万Gは大金ではあるか…しかし奪ったという証拠はないようだな?」
「それは…でも状況証拠は揃ってるじゃないか!?領主は私よりこんな冒険者の小僧を信じるというのか?!」
目を吊り上げて叫ぶローガンの顔はかなり焦っているように見える
「愚策だな…」
俺のそのつぶやきは誰の耳にも届かなかった
下に降りると2人の憲兵が待っていた
「双方の話を聞きたいので来てもらいたいのだが…」
「…わかった。あいつらに伝言たのめるか?」
「ああ。勿論だ」
俺は頷くと宿主にルークたちへの伝言を伝えて憲兵について宿を後にした
「こちらへ」
通されたのはこの町の集会所のような場所だった
すでにローガンとブリーナがいて、部屋の中には大勢の見物人がいた
俺達が3日かけてきた場所にローガンが既にいるってことは、ブリーナと一緒に来たってことだよな?
つまり手加減する必要はないってことか
「これはどういうことか聞きたいんだが?」
「ローガンは商人として名が知れている。その娘は君と正反対の主張をしてきた。白黒つけるために簡易裁判を行うことになった。私は領主としてその真偽を判断する」
正面に座っている男がそう言った
さて、この領主は屑かまともか…
そんな考えが頭をよぎったのは内緒だ
「なるほど。差し詰め俺は被告の立場というわけか?随分な扱いをされたもんだ」
「どちらが被告と決まったわけではない。ただ、主張が食い違った場合こういう形を取るのがこの町での通例でな」
挑発するように言うと俺を呼びに来た憲兵が申し訳なさそうにそう言った
「…二度と関わるなと言ったはずなんだがな」
ため息交じりに言いながら指示された場所に座る
正面を見るとブリーナが悔しそうにこっちを睨みつけていた
思い通りにならなかったら逆切れとか本当に勘弁してもらいたいもんだ
「彼、シアはブリーナが“自分の物にならないなら殺してやる”と言いながらナイフを持って襲ってきたと言っている。その前にブリーナは宿主に対して自分は彼の婚約者だと虚偽の申告をして、部屋を突き止めていたこともわかっている」
憲兵が淡々と話す
「違うわ!うちの屋敷に泊まった時にシアは私を襲って純潔を無理やり奪ったのよ!それなのに責任を取ろうともせずに逃げたから…だから私は…!」
ブリーナは泣き叫びながら訴える
それを見た憲兵たちが俺に厳しい目を向けてきた
いや、中立の立場のあんた達がそれで大丈夫なのか?
「これに対して反論はあるかね?」
領主は特に感情を乱すことなく訪ねてきた
「婚約を頼まれたのを断ったその日に部屋に侵入されたのは事実だ。でも俺はそのままローガンに付き返している。俺が襲ったというならその証拠を出してくれ」
襲ってないからそんな証拠あるはずがないけどな
「ローガン、彼の言う証拠はあるかね?」
「…その男は口止め料として大金と装備用の装飾品を脅し取っている!宿も受付を終えてるにも拘らずその日のうちに飛び出して行ったのが何よりの証拠じゃないか!」
ローガンが叫ぶように言った
それが必至で用意しただろう言い訳かと思うと呆れるな
「その脅し取ったという証拠はあるかね?」
口を挟んだのは領主だった
「それは…!しかし実際に大金を…白金貨30枚を奪って行ったんだぞ!」
「白金貨30枚…300万Gか…」
その金額にギャラリーがざわついた
まぁ平民の1月の平均収入は10万G~15万Gだからしかたないか
そんなことを考えていると領主が俺の方を見ていた
「普通の者にとっては300万Gは大金ではあるか…しかし奪ったという証拠はないようだな?」
「それは…でも状況証拠は揃ってるじゃないか!?領主は私よりこんな冒険者の小僧を信じるというのか?!」
目を吊り上げて叫ぶローガンの顔はかなり焦っているように見える
「愚策だな…」
俺のそのつぶやきは誰の耳にも届かなかった
65
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~
沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。
ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。
魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。
そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。
果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。
転生要素は薄いかもしれません。
最後まで執筆済み。完結は保障します。
前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。
長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。
カクヨム様にも投稿しています。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる