チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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70.あからさまな…

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「じゃぁ俺らはこれで」
「待ってくれ。命を救ってくれた君達にお礼がしたい」
商人だという襲われてた男が引き留めて来る

「私はこの近くの町に住んでいるんだ。盗賊捕縛の手柄を簡単に手放す君達にはお金を払うと言っても響かないだろう。だがせめて今夜の部屋と食事を提供させてくれないだろうか」
その言葉に俺達は顔を見合わせた

「まぁ、どうせ次の町で宿に泊まるつもりではあったけど」
「では…」
「そういうことなら世話になる。ただし」
俺は商人を見据える

「ただの客としてのもてなし以外はお断りだ」
「といいますと?」
「取り込もうとする行為全て、必要以上の歓待、煩わしい関り、そういったものが少しでも見えればその場で去らさせてもらう」
「簡単に言えば宿と同等のもてなししか受け取らないってこと」
「そうね。それ以上はかえって迷惑だしね」
俺達が口々に言うと商人は一瞬顔を引きつらせていた
おそらく取り込もうと考えていたんだろう
町を行き来する商人にとって護衛は必要不可欠だ
金を払って冒険者を雇ったとしても今回のようなことは充分に起こり得る
それならばと強い者を引き込むのはよく取られる手段でもある
そんなの当然お断りだけどな

「分かりました。寝る部屋と暖かい食事を提供させていただくことにします」
そう言った商人に案内されてたどり着いたのは豪邸と言える建物だった

「お帰りなさいませ」
執事とメイドが恭しく頭を下げる

「帰り道に命を救ってくれた方々だ。食事の用意と部屋の支度を」
「承知しました」
「あなた!命を救ってって…」
「あぁ、危ない所だったがな。冒険者をしているシアとその弟妹のルーク、シャノンだ。せめてものお礼に今晩泊まっていただくことになった」
その紹介に俺達は無言で軽く頭を下げた

「主人の命を救っていただいただなんて…本当にありがとうございます。どうぞゆっくりお過ごしください。申し遅れました。私は妻のカレンと申します」
「娘のブリーナよ。先月成人したばかりなの」
カレンに続いて聞いてもいないことを告げてきたブリーナは俺達の方に寄ってこようとした

「すまないが少し休ませてもらっても?」
「もちろんです。彼らをすぐにご案内してくれ」
商人、ローガンの言葉に俺達はそのまま客間に案内された
それぞれ隣り合った別の部屋に案内された後ルークとシャノンはすぐに俺の部屋にやってきた

「どう思う?」
「ブリーナは完全にシアを獲物に認定してたね」
俺の問いに対してルークはキッパリそう言った
やっぱりそうだよな…
そんな気はしてた
だからこそ早々に部屋に案内してもらったわけだしな

「明日は出来るだけ早く出た方がいいかもね。もたもたしてたら何か仕掛けてくる可能性もあるし」
「むしろ今すぐ出たいくらいだ」
「それには同意するけど流石にね…」
明確な言葉を出されたわけではない
ただそう感じただけでは説得力もない…か
そこまで考えて俺は大きく息を吐きだした
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