チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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60.真偽

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「さらにこの道具で確認した場合ブラックリストに乗り、世界中のギルドにその情報が流れる」
「ブラック…リスト…」
それはつまり、次に彼らがギルドカードを出した際に、本人にはわからない技術でブラックリストの人物だとカードに表示されるということだ
ちなみにランク査証は犯罪で、判明した時点で2ランク降格となる
ブラックリスト入りか2ランク降格か、彼らはその2択を迫られているのだ
その結果、ケリーはギルドカードをテーブルに置いた
他の3人もそれに続く

「…ケリーはBランク、その他のメンバーはCランク、パーティーランクはCランクか」
ギルドマスターは大きく息を吐きだした

「ランクを偽り、無謀な迷宮に連れていくという行為もまた犯罪だな」
「でも…!そいつが魔法で攻撃してきたのは事実だ!俺達はそいつに殺されかけたんだ!」
ケリーは既に肝心な部分で嘘をついているにもかかわらず自分たちが正しいと訴える

「上級迷宮の推奨ランクくらい知ってるだろう?お前たちは迷宮に同行を求めた時点でシャノンを殺そうとしてると同義だ。中で攻撃されたとしても文句は言えないだろうな」
「そんな…だからってそんなの許せるわけないだろ!こいつは恋人である俺に攻撃してきたんだぞ?!」
初恋の相手に裏切られ、脅され、今なお責められることにシャノンは震え、うつむいたまま涙を流す
恋人だというならお前が守れよと俺は心のなかで突っ込んでいた

「大丈夫だ。シャノン、母さんにもらった右耳のピアスを渡してくれ」
「ピア…ス?」
「ああ」
「…わかった」
シャノンは意味が分からないままピアスを渡してくれた
俺はインベントリから魔道具を取り出しピアスをセットした

「誰が真実を言ってるか、確認する方法はある」
俺がそう言うと皆が注目した

「これは映像を記録できる魔道具だ」
パネルに映し出された文字を操作して迷宮に入ったあたりから早送り状態で映像を見せた
「これはひどいな…」
魔物に対峙するのは完全にシャノンのみ
弱い魔物だけケリーが倒し、Cランクの3人はほぼ参戦していないどころかシャノンの邪魔になっていた
高速で映し出される映像がようやく問題の場所になると速度を通常に戻した

『どうしても付き合わないというなら二度と冒険者として活動できないようにしてやる』
『そんな事より犯した方が早いんじゃねぇの?』
『どっちでもいいさ。逆らう気が失せればいいんだからな。メリー、お前はそのままシャノンを拘束してろ』
『…わかった』
『先に弱らせとくか』
『ファイアボールとファイヤカッターどっちがお好みだ?なぁ、シャノン?』

流れてくる音声に彼らは青ざめる
同時に映し出されている映像を見てもシャノンの言ってたことが全て正しいと証明していた
シャノンが受けた仕打ちを見て俺とルークから殺気が溢れ出す

「随分俺の大事な妹を馬鹿にしてくれたらしい」
「逆に聞こうか。あんたたちに冒険者を名乗る資格なんてあるのか?」
俺達の冷めきった声に4人の顔色は白く変化していく

「世慣れていない少女を誑かして利用したあげく脅すなどもってのほかだ。虚偽申告、不当搾取、脅迫、今回の場合は殺人未遂も入るか…」
ギルドマスターが淡々と告げる

「冒険資格のはく奪は勿論奴隷落ちだな。犯罪者4人ひっ捕らえろ」
ギルドマスターが大声で叫ぶとギルド職員が飛び込んで来た
「こっちの4人だ」
それだけで十分だった
目の前で拘束され魔封じの腕輪を嵌められ、連行されていった

「まだ子供なのに大変な思いをしたな」
「…」
シャノンは黙ったまま首を横に振った

「一つだけ言わせてくれ。誰を好きになろうと個人の自由だが…上級迷宮に挑む時はギルドカードを見せあえる相手とだけにした方がいい。命を預ける以上その程度の信頼関係も気付けなければ身の破滅だ」
「…はい」
帰り際にギルドマスターに言われてシャノンは頷いた

宿に戻ってからシャノンが俺に引っ付いて離れなかった
とんでもない初恋になったものだと思いながらシャノンを慰める
このまま人間不信にならなければいいがと思わずにはいられなかった
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