チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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59.新しい屋台

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「シア、丁度良かった」
「何?」
「これ持ってけ」
ルワードさんがそう言いながら両手にタコを掲げていた

「タコはあんま捕れないんじゃなかったか?」
「そうなんだけどな、今日は何故か大漁だ」
ルワードさんの視線を負うと背後の水槽に所せましとタコが詰め込まれていた

「多分グースがタコ料理してくれって言うと思うぞ」
「だろうな。有り難く貰っとくよ」
そう返すと50cm大のタコを10匹寄越された

「こんなにいいのか?」
「構わねぇよ。あとで店で食うのを楽しみにしてるからな」
「何だよ、今日はシアのタコ料理が食えるのか?」
背後からクルーの漁師が割り込んでくる

「俺のじゃねぇよ。作るのはグースだ」
「変わんねぇよ。お前さんのお陰で料理の種類も増えたし漁もし甲斐がある」
「明後日からこの辺でも屋台を出すことになったのは知ってるか?」
「は?」
それは初耳だ

「向こうの屋台でもいくつかは出してるけど、グースと話し合って漁師組合で屋台をすることになったんだよ」
「漁師組合で?」
「ああ。向こうの屋台は基本的にメニューが固定だろ?」
その言葉に何となく理解が出来た

「その日の漁の成果で出すものが変わるってことか?ついでに言えばその側で元の魚介類も売ると?」
「そういうことだ。みんなまだ食い方を知らないからな。今は売れ残りはシアが引き取ってくれるがお前がいるのも後少しだろう?」
「まぁ、ここの滞在期間は決まってるのは確かだけど」
「その後の事を考えて決めたんだよ。食い方を知れば買う量も増えるだろうし、屋台で消費することもできるからな」
「誰が作るんだ?」
「とりあえず俺達の家族だな。嫁や体力のない息子連中が交代で店番をする」
「なるほどな」
雇用迄生み出すとは…

「ただお前がそれでいいのかと思ってな?」
「ん?」
「レシピ登録しないって?」
「あ~」
色々と面倒なんだよな

「別に俺の事は気にしなくていいよ。冒険者としてそれなりに稼がせてもらってるし、海の幸を使った料理が広まってくれればその方がありがたい。できるなら凍らせて内陸部まで輸送してくれることを期待してるんだけどな」
「まった壮大なことを言うもんだ」
「だがそれが出来たら面白いだろうな?」
「俺が住んでるのはザクスのコンエーって町なんだ。いつかそこまで届くのを楽しみにしてるよ」
俺は話をしながら、タコの下処理をしてインベントリに放り込んだ

「相変わらずいい手際だな」
「これは慣れだよ。母さんはもっとうまい。それに俺の料理の元は母さんだし」
「ひょっとしてそれが登録しない理由か?」
「それもある。母さんの名前で結構な量のレシピが登録されてるんだ。それを確認する方が面倒」
「何?じゃぁ魚介類のレシピも…?」
「登録されてるのは基本魔物食材だけどな。似た魚介類が分かるなら参考にはなると思う」
「何と…そう言うことだったのか」
「そういうことって?」
興奮したルワードさん達に首をかしげる

「俺達は普通の名前でしかレシピを探したことが無いんだよ」
「は?」
「つまり魔物の名前でレシピを探したことは無いってことだ」
「…」
ちょっと待とうか
この世界は魔物の溢れた世界のはずだよな?
屋台で売ってる肉料理だってほぼ魔物肉なのになぜ、魚介類は魔物で探さないんだ?

「シア、皆まで言うなよ?」
「ん…?」
「それ以上顔で語るな」
「言葉にもするな」
漁師たちの圧がヤバイ
俺はただ無言のまま頷いた
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