チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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「入ります!」
「おう、来たか。今日はお前がメインで注文さばけ」
「へ?」
「新しいメニューを考えてるから任せたぞ」
「は、はい!」
従業員らしき青年が大きく頷いた

「シャノン取りに来い」
出来たのは漬け丼だ
ご飯は炊く前の米を渡して炊けてるものと交換してもらった
もちろん追加で炊き始めてたけどな

「これはお替りなしな」
「わかった。ルークにも言っとく」
シャノンは苦笑しながらそう言って2つの丼を運んでいった
2つと言っても1つ1つが米1合分は入ってる

「嬢ちゃんそれは何なんだ?」
「漬け丼。さっきのマグロをたれに付け込んだやつが薬味と一緒にご飯の上に乗っかってる感じ?」
「米ってあのおにぎりになってるやつか?」
「そう。握る前の状態だけどね」
そこまで言ったシャノンは漬け丼を頬張った
その表情を見れば当然の様にグースに注文が入る
もちろん俺はグースの味見用に少量の丼を渡しておいた

「あとこれもな」
ようやく焼きあがったつぼ焼きも1つ渡しておく

「どれもこれも初めてのもんばっかだな…本当にありがたい」
グースは作る工程を見ながらメモして舌で確かめる
すぐに似た様なものを作れるあたり腕と味覚はいいんだろう
そのうちグースなりのアレンジが出てくると思うと楽しみになってきた
焼きあがったつぼ焼きを皿に乗せて俺もシャノン達のいるテーブルに着いた

「これで最後な」
「やったサザエ!」
シャノンの声と独特の香ばしい香りに注目が集まった

「うまそうな匂いがするんだが…」
「俺塩焼きしか食ったことないぞ?」
「俺もだよ。そもそも殻ごと出てくるのなんて見たことないだろ」
聞こえてくる声にこの世界ではそれが普通なのかと情報をすり合わせていく

「しまった、バター醤油もすればよかったな…」
流石に30個焼いた後に追加で焼く気にはならない

「じゃぁ今度はバター醤油で」
ルークがすかさず注文してくる

「シア!この網使っていいのか?」
「ああ、ここに置いとくから好きに使ってくれ」
予備の網は有るから問題ない

「お前さんたちは兄妹かなんかか?」
「ああ」
「ここにはどれくらいいるんだ?」
「3か月の予定」
最初からいた親父たちは俺達のことが気になるらしい

「さっきグースに聞いたがこれから時々ここで料理をするってのは?」
「料理をするって言うか、調理場を借りる代わりにレシピは盗んでもいいって取引」
「なるほど?ならお前さん達が来るたびにこうして新しいものが食えるってことか?」
「ん~その可能性はあるって感じかな?俺にはこの町で受け入れられるものかどうかも分かんないからさ」
刺身は受け入れられたみたいだけど他もそうとは限らない
それを判断して出す、出さないを決めるのはあくまでグースだ

「そうか。でもありがたいことだ。俺はこの町で漁師をしてるルワードだ」
「漁師?」
なるほどだからこんな真昼間から飲んでるわけだ

「ルワードさん、漁に連れてってくれって言ったら叶うか?」
「漁をしてみたいのか?」
「興味はあるんだ。俺は海が見たくてここまで旅してきたから、どうせなら普段できないことをしてみたい」
「あ、僕もしてみたい」
「私も!」
ルークとシャノンも乗ってきた

「ははは!いいぞ。こんなうまいものを食わせて貰ったからな」
「まじで?」
「ああ。ただし朝は早いぞ。4時に船を出すからな」
「4時」
シャノンが遠い目をした

「起きれたらこの店の正面の桟橋で待ってろ。その時は連れて行ってやる」
「分かった。その時は頼むよ」
思わぬところで漁をする手段を手に入れた
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