チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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44.従魔登録

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「参ったねーまさか絶滅危惧種が国の保護になるなんて…」
「それはちょっとまずいんだけどな」
「「え?」」
俺のつぶやきに2人は振り返る

「後で説明する。とりあえず屋台で飯調達して帰ろう」
「そうだね。私お腹すいちゃったし」
「僕も」
「お前らギルド行く前に串焼き食ってたろ?」
「あんなの食べた内に入らないよ?」
何言ってんの?とでも言うように返すシャノンに脱力した
ここまで食欲旺盛な女を嫁にする相手は大変だな…
いや、でも自分で食う分くらい軽く調達してくるか?

「シア、何か変なこと考えてない?」
「…気のせいだ。お、これ美味そう」
「ほんとだ。おばちゃんこれ5人前」
誤魔化すのも楽で助かる
それぞれに目ぼしいものを見つけては共有のカードで支払いを済ませて、大量の食糧を抱えて宿にもどると宿屋の主人にかなり驚かれた
それをスルーして部屋に入る
テーブルに所狭しと並べられた食糧を口に運びながら時々リトスにも食べさせる

「リトスが国の保護下に入るとまずいのは何で?」
切り出したのはルークだ

「あぁ、こいつ俺と契約したことで変なことになっててな…俺の魔力がないと生命を維持できない」
「え?まさかいつも指に吸い付いてるのって…」
「俺の魔力を吸ってるらしい」
2人の目が点になる
その気持ちはよくわかる

「闇魔法の契約獣とも違う現象だけどどういうことだ?」
「俺が知るか」
「…シアはどうしてそのことを知ってるの?」
「その事だけどな、実は母さんから鑑定のスキルを貰ってる」
「うそ?じゃぁなんで私に鑑定させてたの?」
「一応母さんの指示なんだよ。旅が終わるまではお前達には黙ってろって。でないとシャノンは俺任せになるだろうからってな」
「う…」
言い返そうとしていたシャノンが言葉を飲み込んだ

「それに、母さんの鑑定は母さんがこの世界に来た時のものでちょっと特殊で、俺にはシャノンの鑑定との違いを確認しろと言われてる」
「違いを…?」
「ああ。実際表示される内容がちょっと違うし、お前達には理解できない内容も表示される」
「理解できないってどういうこと?」
「母さんと俺の元いた世界と比較した表示だな。『地球で言う○○』的な表示も含まれてる」
「それは確かに理解できないわ…」
シャノンは苦笑する
「どんな内容が表示されて、逆に表示されないのか、それをシャノンの鑑定結果と比較して読み取るのが母さんから俺への課題だ」
「だから読み上げてって言うのが多かったのね?」
「そういうこと。ちなみにリトスに関してはこう書かれてる」

***
リトス(テイムにより進化したネームドモンスター)
ブルサモモンガとモモンガの血を引いたハーフ
テイマーの魔力を得ることで生命を維持できる固有種のため寿命はテイマーに準ずる
5年ごとに分裂し個体数を増やす
特徴:成体時の最大サイズ15cm、100g、臭い無し、袋有り(無限収納)
スキル:飛翔、気配察知、念話
***

「ちょっと待って!突っ込みどころ満載なんだけど?」
「テイムにより進化?寿命がテイマーに準ずる?それに無限収納ってあの腹のとこにある袋が?」
シャノンもルークも大混乱だ

「とりあえずこの後母さんにこの件は全て説明して、明日コーラルさんの方から手を回してもらおうとは思うんだけどな。丁度ギルマス不在で明日に持ち越しになったから」
「そう…だよね。国の保護ってことはシアと離されるってことだよね?そうなったらリトスはシアの魔力が取り込めないし…」
「ああ。領主が出張ってくる前に上から言ってもらった方が早いだろうし、少なくとも俺といれば絶滅はしないどころか5年ごとに増えるからな。増える数は未知数だけどさ」
「5年ごとに分裂だっけ?確かに確実に増えるわよね」
「増えた個体がどうなるかも未知数だけど?」
「その辺は5年後にならないと何とも言えないからな」
この辺は本当に誰にも分らない

「…何かやっぱりシア効果だったってことだよね?鑑定も何かお母さんの鑑定って感じ」
「確かにその情報が出てきたらこっちの方が混乱するからシャノンの鑑定の方が安心できる気がする」
「奇遇だな。俺もそう思う」
結局俺達には過ぎた力は使いこなせないし、制御できないってことだけは分かった
その力で救われることもあるんだろうけど、気付かずに人前で出すことが一番まずい
通常の鑑定との相違点が読めるようになるまでは、人前で内容を明かさないことを2人と示し合わせたのは言うまでもない

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