チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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43.オルフィの町

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山を抜けて街道を目指した俺達は予定通り夕方にはオルフィという町に到着した

「シャノンは一人部屋か?」
俺とルークは宿ではいつも同じ部屋を取るが、シャノンは気分次第で変わる
「うん!」
今回は1人部屋にするらしい

「じゃぁ2人部屋1つと1人部屋1つ朝食付きでとりあえず2泊」
「1人部屋は1泊1500G、2人部屋は2500G、朝食は1人50Gだから…合わせて8300Gだ。支払いはカードか?」
「ああ」
宿屋の主人の説明を聞きながら俺は共有のカードを取り出していた
泊ろうとして最初は拒否されたけど、俺が成人してるとわかるとようやく泊めてくれることになった

この旅の間、町では毎回そのやり取りをしてる俺は、父さん達が俺の成人を待った理由を身をもって知った
泊まる金はあるのに泊まれないとか勘弁してくれって感じだもんな

「水は無料だが自分で裏の井戸から汲んでくれ。朝食はそっちの奥で一般客と一緒だ。食べる時にこのタグを渡してくれればいい」
そう言いながら太陽の絵が描かれた3cm四方のタグを6つ渡された
「1人1回1枚?」
「そういうことだ。部屋は3階で、花の方が1人部屋だ」

この世界では読み書きが得意じゃない人が多いせいか、宿屋ではシンボルが使われることが多い
食事のタグで言えば太陽は朝食、夕食は月の絵が描かれてることが多いし、部屋に関しては魔物や花の絵が使われることが多い
扉には10cm四方のプレートが付けられていて、そのプレートの絵と鍵につけられたキーホルダーの絵が一致する部屋を使うことになる

カギを受け取った俺達はすぐさま3階に移動する
「ちょうど向かいだな」
扉の絵を見ながら進むと奥に近い場所で見つけることが出来た
「着替えたらそっち行くね」
「了解」
シャノンに答えてから俺とルークも部屋に入る

「意外と綺麗」
「おまけに結構広い」
ダミーの荷物をベッドの横の棚の上に置いて外を見る
流石に旅してるガキが小さなウェストポーチ1つなんてどう考えてもおかしいもんな
それがマジックバッグだなんて到底思わないだろうし…

「大きくはないけど賑わってるな」
眼下にあるのは屋台が並ぶ広場
その通りを突き抜けたところにギルドの看板が見える

「屋台のご飯が楽しみだ」
「お前は相変わらずだな…」
「動きながら食べるのはただの塩味で焼いた肉だけだからね。その点屋台には揚げ物も置いてるし。まぁ塩で焼いただけでも美味しいから不満はないけどさ」
そう言いながらもルークの目は景色よりも屋台にくぎ付けだった

「来たよ~」
扉をノックしながらシャノンが入ってきた
お気に入りのワンピースに着替えているあたり、女の子なんだなと思う

「返事待たなかったらノックの意味無いだろ」
ルークが苦笑しながら言うのをシャノンは“気にしな~い”と笑って流していた
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