上 下
135 / 361
42.復活?

1

しおりを挟む
翌朝、いつになくスッキリ目が覚めた
「体が軽い…?」
昨日の重さが嘘のように消えていた

『しあぁ』
リトスがムニャムニャと聞こえてきそうな状態ですり寄ってくる

「おはようリトス」
『おぁよぉ…』
手のひらに乗せてやるといつものように指に吸い付いた
そう言えば俺の魔力で生命維持って…これで魔力取り込んでる、とかじゃないよな?
と、思いながらも何となくあり得そうな状態に何とも言えない何かが沸き上がる
別にリトスに魔力をやるのはいいけど指から吸うのはいかがなものか

「リトス、俺の指は上手いのか?」
『しあのまりょく、おいしぃ』
「…そうか。そうやって吸わないと取り込めないのか?」
『わかんない。でもこれすき。だめ?』
今にも涙が溢れ出しそうな目で見られてダメとは言えないよなぁ…

「うん。まぁ…リトスの好きにしろ」
『わぁい。しあ、だいすき』
幼いシャノンをこれでもかと言う程甘やかしていた父さんたちの気持ちが、この状況になって初めて理解できたかもしれない
そんなことを思いながら体を起こしてテントから出る

「食糧調達でもしに行くか」
テーブルにメモを残して洞窟を出ると眩しいくらいの日差しが差し込んで来た

『しあ、あそこ』
リトスの指した方を見ると果実があった

「ブルーチェリーか。相変わらず良く見つけるな」
褒める様に頭をなでてから少し先の木になっているブルーチェリーを収穫していく

『たべる』
リトスは俺の肩から飛び上がり少し上になっていたブルーチェリーを器用に採ると、再び肩に戻ってきた
ブルーチェリーは直径2センチほどの青い実で味はサクランボに似ている
実の成り方はブルーベリーに近くて普通のサクランボみたいに2股になってるわけじゃない
チェリーという名がなぜ付いたのか不思議なくらいだ
種もなく皮ごと食べられるし何よりジューシー
甘みもあって旅の途中にはとてもありがたい
そのブルーチェリーをリトスが4本の足でしっかり掴みかぶり付く姿は何度見ても飽きない
だって5cmの体で2cmの果実を抱え込んでかじってるんだぞ?
しかも食べ終えたらストック分を自ら採って袋に押し込んでるんだぞ?
可愛くないわけがない
そんなリトスの姿に癒されながら食べ頃の実を採ってはインベントリに入れていく

『むこう、なにかいる』
距離的にルークたちの気配察知ではかからないあたりかな?

「ちょうどいい」
俺はリトスをポケットに入れて走り出す

「なんか体が軽いな」
旅に出る前よりはるかに軽くなった気がする

「グリーンバードか」
掴んだ魔物の気配に向かって走ると体調50cm程の鳥が2羽
風魔法で仕留めて血抜きをしてからインベントリに入れる

「番ということは…」
周辺を見渡すと木の枝の上に巣があった
中を確認すると卵が6つ
鑑定するとどれも生んでから10日以内だった

この世界の魔物の卵は温めていても生まれてから20日くらいまでは普通に食べることが出来る
グリーンバードの卵は直径10cm程の球形でそれなりの重さがある
これ1つで普通の鶏の卵4~5個分くらいの量になる
俺達は朝ごはんでもこれを1人1つ軽く平らげる
旅の途中で卵を入手する機会は少ないからあいつらも喜ぶだろう
鶏肉と卵とブルーチェリー
「朝ごはんには充分だな」
心配かけたお詫びという訳でもないけど、気休めくらいにはなるかな
そんな事を考えながら卵をインベントリに入れた
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

処理中です...