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41.疲労
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1匹の仲間が加わった旅は小さな問題は起こりつつも順調に進んでいた
3か月目に入るとようやく旅の生活にも慣れてきて、それぞれの時間を楽しむ余裕も出来た
俺にとってはようやく元のリズムを取り戻したという感じだ
基本的には5日旅を進めて1日休むというこれまでのルールは貫いている
温泉を見つけた時みたいにいい場所があったり、逆にゆっくりできる場所が見つからなければ休みが前後にずれることもあるけど、その辺はルークとシャノンも納得してるから問題ない
「お母さんのくれた気配察知がなかったら大変だっただろうね」
夕食を食べながらシャノンが突然そんなことを言い出した
「何だよ突然?」
「ほら、普通だったら夜は交代で見張りしてってなるじゃない?」
「まぁそうだろうな」
そう
普通はパーティーで旅してるなら夜全員が眠るなどありえない
でも俺達は見張りを立てることはない
母さんたちがくれたテントは色んな意味で特殊だ
一定の魔力を注ぐことで拡張できるのが最大の特徴だけど、外から中の様子は全く分からないのに中から外の様子はしっかり把握できるんだ
気配や悪意、魔力も外にいる時と変わらないレベルで感じ取ることが出来る
しかも前世で言うマジックミラーのような状態に切り替えることも出来る魔道具でもある
普段は落ち着かないから見えないようにしてるけど、気配を感じた時は魔力操作一つで外が見えるようになる優れものだ
それに加えて母さんのくれた気配察知がまたすごい
熟練度が100の状態でくれたから寝てても全く問題がないんだよな
「今はそれ以上にリトスの察知能力に助けられてるけどな」
「それは言えてる。テントの破損が無くなったもんね」
俺達も察知できるとは言えその範囲はさほど広くない
察知して魔物と対峙しても側にあるテントに被害が出ることも多かった
でもリトスの察知する範囲はかなり広いらしくて、テントを片付ける余裕が持てるんだ
もともと致命的な損傷じゃない限りは魔力を注げば修復できるとは言え無傷で済むならその方がいい
「俺はもう休むよ」
「もう?」
「早くない?」
「今読んでる本が面白くてな」
「何だ。そういう事ね。あとはやっとくからゆっくり休んで」
「ああ。任せた」
シャノンは笑いながら頷いた
料理を作れないシャノンは片付けが担当だ
あとはやってくれるはず
俺はテントに戻ると倒れこむようにベッドに寝転がった
『しあ?』
リトスがポケットから這い出して顔を舐めて来る
「くすぐったいぞ」
『しあ、かお、あつい?』
「はは…お前は気づくんだな」
『?』
「大丈夫だよ。ちょっと休めば元に戻る」
リトスの体をなでながら目を閉じる
ここにきて疲れが出たのか体がだるい
熱も結構ある感じがする
あらゆる耐性ついてんのにな…
首元にリトスの温もりを感じながら目を閉じた
3か月目に入るとようやく旅の生活にも慣れてきて、それぞれの時間を楽しむ余裕も出来た
俺にとってはようやく元のリズムを取り戻したという感じだ
基本的には5日旅を進めて1日休むというこれまでのルールは貫いている
温泉を見つけた時みたいにいい場所があったり、逆にゆっくりできる場所が見つからなければ休みが前後にずれることもあるけど、その辺はルークとシャノンも納得してるから問題ない
「お母さんのくれた気配察知がなかったら大変だっただろうね」
夕食を食べながらシャノンが突然そんなことを言い出した
「何だよ突然?」
「ほら、普通だったら夜は交代で見張りしてってなるじゃない?」
「まぁそうだろうな」
そう
普通はパーティーで旅してるなら夜全員が眠るなどありえない
でも俺達は見張りを立てることはない
母さんたちがくれたテントは色んな意味で特殊だ
一定の魔力を注ぐことで拡張できるのが最大の特徴だけど、外から中の様子は全く分からないのに中から外の様子はしっかり把握できるんだ
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しかも前世で言うマジックミラーのような状態に切り替えることも出来る魔道具でもある
普段は落ち着かないから見えないようにしてるけど、気配を感じた時は魔力操作一つで外が見えるようになる優れものだ
それに加えて母さんのくれた気配察知がまたすごい
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「今はそれ以上にリトスの察知能力に助けられてるけどな」
「それは言えてる。テントの破損が無くなったもんね」
俺達も察知できるとは言えその範囲はさほど広くない
察知して魔物と対峙しても側にあるテントに被害が出ることも多かった
でもリトスの察知する範囲はかなり広いらしくて、テントを片付ける余裕が持てるんだ
もともと致命的な損傷じゃない限りは魔力を注げば修復できるとは言え無傷で済むならその方がいい
「俺はもう休むよ」
「もう?」
「早くない?」
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「何だ。そういう事ね。あとはやっとくからゆっくり休んで」
「ああ。任せた」
シャノンは笑いながら頷いた
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あとはやってくれるはず
俺はテントに戻ると倒れこむようにベッドに寝転がった
『しあ?』
リトスがポケットから這い出して顔を舐めて来る
「くすぐったいぞ」
『しあ、かお、あつい?』
「はは…お前は気づくんだな」
『?』
「大丈夫だよ。ちょっと休めば元に戻る」
リトスの体をなでながら目を閉じる
ここにきて疲れが出たのか体がだるい
熱も結構ある感じがする
あらゆる耐性ついてんのにな…
首元にリトスの温もりを感じながら目を閉じた
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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