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39.天然温泉
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山の中の鬱蒼とした場所に差し掛かったとき独特の匂いが漂ってきた
「なんだこの匂い?」
ルークが顔を顰める
「こんな匂い初めて。シアは?」
「俺も知らない。でもこのルートで間違いはないんだよなぁ」
どうしたものかと一旦休憩しながら考えることにした
地図を広げて今居る場所を確認する
「少し戻ってこっちのルートってのも有だけどかなり迂回してるもんな」
指で辿ってみても3倍以上の距離がある
「もう少し進んでみて、どうしても無理そうならこっちの迂回ルートに変えるか」
「そうだね。これくらいならまだ問題はないし」
結局今よりも匂いが酷くなるようなら引き返そうということで落ち着いた
「あれ?2人共ちょっと待って」
いつものようにルークの開けた穴を塞ごうとして中に水が溜ってることに気付く
「どうしたの?」
「いや、底に水…いや、お湯か?」
「ほんとだ。湯気出てる」
同じように覗き込んだ2人も興味深々だ
「ひょっとして…シャノン鑑定だ」
「鑑定?あの水を?」
「ああ」
言いながら自分でも鑑定する
「えっとね、地中から湧き出した湯、だって」
「やっぱりな」
ちなみに俺の方にはこう表示されている
***
温泉
地中から湯が湧き出している現象や場所、湯そのもの
この一帯の湯には疲労回復の効果がある
地球ではその熱水泉を用いた入浴施設やそれらが集まった地域も一般に温泉と呼び、人工温泉と対比して「天然温泉」と称する場合もある
***
「風呂に入れるかもしれない」
「え?お風呂?本当に?」
「僕も入りたい」
2人の目が輝いた
この世界は風呂につかるという概念はない
でも母さんのお陰であの屋敷には風呂がある
俺達は子供のころから風呂につかるのが好きで、この旅の最大の不満は風呂に入れないことだったりする
さっきまでより足取りが軽くなった
「何かいるな」
うごめく気配
「4つ足の獣ではなさそう?」
「ああ。何か這いずり回ってる感じだな」
ほぼ同時に察知した魔物の気配
「1つだけど結構でかい?」
「魔力も高め」
『スクルト(防御力強化)』『マジックバリア(魔法耐性向上)』
シャノンがすかさず唱えた
この辺りの反応は随分早くなった
「来た!…って蛇?」
ルークが草陰から現れたそれを見て飛びのいた
蛇と言ってもかなりデカい
身体は直径30cmくらいある
その長さも5m以上
姿を完全に表してるわけじゃないから全長が分からない
「ファイアスネーク!Aランク!」
シャノンがいつものように情報を伝えて来る
「とりあえず頭狙う」
ルークがそう言いながら頭を切りつけた
「…は?」
完全に弾かれたな
ルークのあの剣を弾くなんて滅多にない
「何だよこの固さ」
「魔力乗せても無理か?」
「やってみる」
ルークは魔力を乗せて再び切りつける
「弾かれてはいないけど打撃にしかならない。あれじゃ大したダメージにはならないよ。シャノンの水か氷でやってみて」
「はーい…ぅわ…!」
シャノンのウォーターカッターが威嚇するために大きく開かれた口元からのど元に向かって水平に切り裂いた
「なんだこの匂い?」
ルークが顔を顰める
「こんな匂い初めて。シアは?」
「俺も知らない。でもこのルートで間違いはないんだよなぁ」
どうしたものかと一旦休憩しながら考えることにした
地図を広げて今居る場所を確認する
「少し戻ってこっちのルートってのも有だけどかなり迂回してるもんな」
指で辿ってみても3倍以上の距離がある
「もう少し進んでみて、どうしても無理そうならこっちの迂回ルートに変えるか」
「そうだね。これくらいならまだ問題はないし」
結局今よりも匂いが酷くなるようなら引き返そうということで落ち着いた
「あれ?2人共ちょっと待って」
いつものようにルークの開けた穴を塞ごうとして中に水が溜ってることに気付く
「どうしたの?」
「いや、底に水…いや、お湯か?」
「ほんとだ。湯気出てる」
同じように覗き込んだ2人も興味深々だ
「ひょっとして…シャノン鑑定だ」
「鑑定?あの水を?」
「ああ」
言いながら自分でも鑑定する
「えっとね、地中から湧き出した湯、だって」
「やっぱりな」
ちなみに俺の方にはこう表示されている
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温泉
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この一帯の湯には疲労回復の効果がある
地球ではその熱水泉を用いた入浴施設やそれらが集まった地域も一般に温泉と呼び、人工温泉と対比して「天然温泉」と称する場合もある
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「風呂に入れるかもしれない」
「え?お風呂?本当に?」
「僕も入りたい」
2人の目が輝いた
この世界は風呂につかるという概念はない
でも母さんのお陰であの屋敷には風呂がある
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さっきまでより足取りが軽くなった
「何かいるな」
うごめく気配
「4つ足の獣ではなさそう?」
「ああ。何か這いずり回ってる感じだな」
ほぼ同時に察知した魔物の気配
「1つだけど結構でかい?」
「魔力も高め」
『スクルト(防御力強化)』『マジックバリア(魔法耐性向上)』
シャノンがすかさず唱えた
この辺りの反応は随分早くなった
「来た!…って蛇?」
ルークが草陰から現れたそれを見て飛びのいた
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その長さも5m以上
姿を完全に表してるわけじゃないから全長が分からない
「ファイアスネーク!Aランク!」
シャノンがいつものように情報を伝えて来る
「とりあえず頭狙う」
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「何だよこの固さ」
「魔力乗せても無理か?」
「やってみる」
ルークは魔力を乗せて再び切りつける
「弾かれてはいないけど打撃にしかならない。あれじゃ大したダメージにはならないよ。シャノンの水か氷でやってみて」
「はーい…ぅわ…!」
シャノンのウォーターカッターが威嚇するために大きく開かれた口元からのど元に向かって水平に切り裂いた
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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