118 / 370
36.屈辱
1
しおりを挟む
「ねぇ、何か声が聞こえない?」
シャノンがそう言いだしたのは出発して2週間が過ぎた頃だった
「声?」
俺達は一旦立ち止まり耳を澄ませた
確かに何か聞こえる
「…行くぞ」
「え?シア?」
「多分誰かが襲われてる」
俺がそう言うと2人は顔を引き締めてすぐについてきた
少しずつ大きくなる子供の泣き声と魔物のうめき声
「あそこだ。1匹」
「僕は奥に回り込む」
「了解」
ルークは言うなりスピードを上げた
その速度には到底追いつけない
「シャノンはまわりを警戒」
「分かった」
シャノンが頷いたのを見て俺は子供に襲い掛かろうとしている魔物と対峙する
後ろ足を怪我しているせいか、かなり興奮してるのが分かる
「ルーク、子供を頼む」
「了解」
視線を交わし頷き合うと同時に動きだす
俺は魔物に魔法を放ち、ルークは子供を抱き上げ距離を取る
手負いの魔物は行動を読むのは難しい
最善の策は即死させること
そして距離を取ること
距離を取るのは飛散る血や体液に毒が混ざってる可能性があるからだ
「大丈夫か?」
ルークはすぐさま子供に怪我がないかを確認した
「怪我はないみたいだ」
その言葉に俺もシャノンもホッとする
「他に気配はないし大丈夫だね。でも手負いの魔物が何でこんなところに?」
「分かんねぇ。でもこの傷口は罠から逃げだした感じだな」
挟み込まれたような傷跡は討伐などではあまり見ない
「とりあえずこの子を何とかしないとだけど…」
ルークにしがみ付いたまま泣き続けている子供
まだ3歳くらいの男の子だ
「こんな小さな子が一人でこんなところにいるのも謎よね?」
「どうやってここに来たのか…」
「とりあえず最寄りの集落に連れて行ってみるか。この様子じゃ話も出来そうにないし」
「そうだね」
このまま置いていくわけにもいかずそれしかないかと俺達は男の子を連れてこの場所から一番近い集落に向かった
「お前達!その子に何をした!?」
集落の近くまで来た時に5人の男たちが駆け寄ってきた
「いや、俺達は…」
「お前たちがこの子を連れ去ったんだな?!来い!」
「ちょっと待ってよ。話を聞けって」
「うるさい!」
男たちは俺達を拘束してあろうことか魔封じの腕輪迄嵌めた
「…シア、どうしようか」
「とりあえず様子を見よう。反撃するのは簡単だけどこの言動の理由を知りたい」
小声でそう示し合わせる
「お前達は長の子供を誘拐した!ただで済むと思うな!」
「そうだ!こんなに泣いて可哀想に…」
男たちに罵倒されながら集落に連れていかれ、その男たちの言葉に集落の者からの罵倒も交じる
そして俺達は牢らしき場所に放り込まれた
「この集落は一体何なんだ!?話も聞かずに犯人扱いとかいい加減にしろ!」
流石に苛立ち俺はそう叫んでいた
魔封じをされていても念動力があるから逃げようと思えば簡単に逃げられる
でもそれで済ませられる問題でもない気がした
「黙れ罪人が!お前たちなどそのまま朽ち果てればいい!」
牢番はそう言いながら牢の中にあった水差しを壁に投げつけて出て行った
シャノンがそう言いだしたのは出発して2週間が過ぎた頃だった
「声?」
俺達は一旦立ち止まり耳を澄ませた
確かに何か聞こえる
「…行くぞ」
「え?シア?」
「多分誰かが襲われてる」
俺がそう言うと2人は顔を引き締めてすぐについてきた
少しずつ大きくなる子供の泣き声と魔物のうめき声
「あそこだ。1匹」
「僕は奥に回り込む」
「了解」
ルークは言うなりスピードを上げた
その速度には到底追いつけない
「シャノンはまわりを警戒」
「分かった」
シャノンが頷いたのを見て俺は子供に襲い掛かろうとしている魔物と対峙する
後ろ足を怪我しているせいか、かなり興奮してるのが分かる
「ルーク、子供を頼む」
「了解」
視線を交わし頷き合うと同時に動きだす
俺は魔物に魔法を放ち、ルークは子供を抱き上げ距離を取る
手負いの魔物は行動を読むのは難しい
最善の策は即死させること
そして距離を取ること
距離を取るのは飛散る血や体液に毒が混ざってる可能性があるからだ
「大丈夫か?」
ルークはすぐさま子供に怪我がないかを確認した
「怪我はないみたいだ」
その言葉に俺もシャノンもホッとする
「他に気配はないし大丈夫だね。でも手負いの魔物が何でこんなところに?」
「分かんねぇ。でもこの傷口は罠から逃げだした感じだな」
挟み込まれたような傷跡は討伐などではあまり見ない
「とりあえずこの子を何とかしないとだけど…」
ルークにしがみ付いたまま泣き続けている子供
まだ3歳くらいの男の子だ
「こんな小さな子が一人でこんなところにいるのも謎よね?」
「どうやってここに来たのか…」
「とりあえず最寄りの集落に連れて行ってみるか。この様子じゃ話も出来そうにないし」
「そうだね」
このまま置いていくわけにもいかずそれしかないかと俺達は男の子を連れてこの場所から一番近い集落に向かった
「お前達!その子に何をした!?」
集落の近くまで来た時に5人の男たちが駆け寄ってきた
「いや、俺達は…」
「お前たちがこの子を連れ去ったんだな?!来い!」
「ちょっと待ってよ。話を聞けって」
「うるさい!」
男たちは俺達を拘束してあろうことか魔封じの腕輪迄嵌めた
「…シア、どうしようか」
「とりあえず様子を見よう。反撃するのは簡単だけどこの言動の理由を知りたい」
小声でそう示し合わせる
「お前達は長の子供を誘拐した!ただで済むと思うな!」
「そうだ!こんなに泣いて可哀想に…」
男たちに罵倒されながら集落に連れていかれ、その男たちの言葉に集落の者からの罵倒も交じる
そして俺達は牢らしき場所に放り込まれた
「この集落は一体何なんだ!?話も聞かずに犯人扱いとかいい加減にしろ!」
流石に苛立ち俺はそう叫んでいた
魔封じをされていても念動力があるから逃げようと思えば簡単に逃げられる
でもそれで済ませられる問題でもない気がした
「黙れ罪人が!お前たちなどそのまま朽ち果てればいい!」
牢番はそう言いながら牢の中にあった水差しを壁に投げつけて出て行った
76
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる