チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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35.順調な滑り出し

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出発してから1週間要所要所で地図を確認しながら順調に進んでいた
今のところ遭遇するのはCランクの魔物がメイン
群れで来ない限りは比較的楽に倒せることが分かった

「問題は群れだよなぁ…」
野営の準備をしながら相談する
いつの間にかこの時間は反省と対策の時間になっていた
迷宮のエンドレスは群れは少なかったから群れに対する経験は少ない
でもこの道のりで群れの多さに悩まされることが出てきたんだ

「ランクが低めなら2体くらいなら問題ないけどそれ以上になるときついかも。Bランク以上は1体が限界だし…」
シャノンが言う

「僕も似たようなもんかな。シアはプラス1くらい?」
「余裕でって条件が付けばそうなるな。全力で向かったらその後が無防備になるし」
安全地帯のない道中でそれは流石にいただけない

「そうだね…でも突然遭遇してそんな簡単に判断できる?」
シャノンが不安そうに尋ねて来る

「確かに。群れを見てから判断するとなると鈍くなるかも」
「ならとりあえず3体以上で表れた時は必ず、3体目以降を足止めするって決めとくか?」
それなら群れの数も魔物のランクも考える必要はない

「それならできるかもしれない」
「シャノンは3体以上の群れが出たら補助をかける」
「それなら大丈夫そう」
「…そう言えばルークのフォールってどれくらいの威力になった?最近使ってなかったろ?」
「そう言えば…」
ルークはそう言いながら魔法を発動した

「1mくらいか」
「…面目ない」
ルークが凹んだ

「まぁ、今わかってよかったよ。これをぶっつけ本番でしてたらヤバかっただろうし」
「俺もそう思う」
「とりあえずルークは熟練度を上げるために移動中もいろんな場所に穴をあけろ」
「シア、それはまずいんじゃ…」
「何で?」
「道中穴だらけっていうのは流石に…」
「あぁ、それなら問題ない。ルークが開けた穴は俺が塞いでいくから」
そうすれば俺の『埋没』の熟練度も上がるから無駄にはならないだろう

「じゃぁ明日からやってみる」
道中ずっと続けたらどれくらい熟練度が上がるのか
それはある意味楽しみでもある

「よし、じゃぁ魔物狩ってくる」
簡単な準備が整うとルークとシャノンが食糧調達に繰り出した
野営の場所は洞窟っぽい場所を選ぶことにしている
岩を立てかける事で魔物の侵入も防げるから安全度が増すからだ
洞窟っぽい場所がない時は土や岩を利用して壁を作ることで代用する
それも魔法や念動力の熟練度を上げるために役立つはずだ
俺は火を熾してルークたちが狩ってきた肉を焼く準備を始めた
ついでに道中で拾った木の実を何種類か取り出して一口大に切る
あとは前もって調達していた野菜でサラダを準備した

「角うさぎゲットしたよ~」
ルークとシャノンはそれぞれ5体ずつ角うさぎを手にしていた
角うさぎの肉は柔らかいから焼くだけで充分うまい
それを協力して解体すると裁きながら焼いていく

「果物とサラダ、あとはチビが握ったんだろうおにぎりだな」
「あはは。確かにこれはチビ作だ」
ルークはごつごつしたおにぎりを手に取った

「このニンジンの星が付いてるのはスージーね」
「そういやスージーは星形ニンジンにはまってたか」
薄く切ってゆでたニンジンを型抜きした物を何にでも入れる
型抜きの残りはもれなくサラダやスープにほりこまれているから無駄に放っていないはず

「乾燥した紫蘇が混ざってるのはケインだな」
形や入っているものから作者を想像するのは思いのほか楽しい
俺が今日の手紙にそのことを一言添えて送ったのは2人には内緒だ
今のところ軽い切り傷程度の怪我はあるけどそれ以外は問題なく進んでる

「この先に何が待ち受けてるかは分からないけど…楽しみだね」
「そうだな」
俺もルークもシャノンのその言葉に同意する

翌日からは話し合った通りルークが開けた穴を俺が塞ぎながら進んだ
その様子をシャノンだけが笑いながら見ていた
うん。まぁはたから見たらバカみたいな行動ではあるよな…
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