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34.オークションの裏側で…

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「すんごい金額」
ルークが明細を眺めながら言う

「ギルドとしてもここまでとは思ってなかったんじゃない?」
「そうかもな。職人も最後の方は泣きが入ってたからな」
途中から増員されたことを考えればルークの言葉は正しいだろう

「オークションの落札価格を考えれば貴族が今後無理を言うことも減るだろうし、いい機会だったのかもしれないな」
「キアナさんよく泣きそうになってたもんなぁ」
貴族側にもストックが出来たししばらくは気楽に過ごせるはず
その間にギルド側のストックも増えるだろうし

「ま、ジェネラルの肉で英気を養ってもらえるかな?シアがあそこであの肉を出すとは思わなかったけど」
「大の男が悲鳴上げそうになってるの見てると流石に思うところがあるからな。あれくらいで水に流してもらえるなら安いもんだろ」
「…ジェネラルはそんなに安くないと思うけど?」
「欲しいならやるぞ」
まだストックはある

「いや、そういうつもりじゃないし」
「そうか?」
「う…」
肉好きのルークはいい肉ならどれだけ持ってても足りないはずだけど
そう思いながら目の前に出してやると素直に受け取った
これは解体してもらったうちの一部でそんなに大きくはない
小腹がすいたときにでも勝手に食うだろうし、この量なら2日もあれば食いつくすだろうからマジックバッグでも問題ないはず
シャノンもルークも移動中に手持ちの肉をちょっとだけ取り出して生活魔法で焼くなんて芸当はお手の物だ
俺にはその感覚がいまいちわからないけど…

「お帰り2人共。オークションはどうだった?」
「オークション自体は見てないよ。報酬の取り分は後日振り込まれるらしいし」
「そう言えばそうね」
母さんは頷いた

「オークションって?」
「ギルマスの依頼でシアのストック素材や魔物を売り払って貴族向けのオークションが行われてるんだよ」
ルークが説明する

「えー私のも売って欲しかったー」
「お前の全部処分したいならその分俺が買い取ってやるよ。オークション報酬上乗せでな」
「本当?」
「ああ。ルークも自分の売ってきたからな」
そう返すとシャノンは嬉しそうに笑う

「インベントリの中もスッキリしたか?」
「かなりね。一部の素材は装備用にとってあるけど」
「あぁ、そこまで売る必要はないな」
「旅立つための準備は大丈夫なの?」
「ああ、問題ない」
「僕も」
「私も大丈夫!テントの中が大変なことになってるけど」
「お前まさか昨日より増えてんのか?」
「えへへ…あれもこれ持って思ったらいっぱいになっちゃった。でも全部テントに押し込んだよ」
シャノンの言葉に皆が呆れた
「シア、これも入れておきなさい」
母さんがテーブルに瓶を並べた

「何これ?」
「薬。あなた達に耐性があるのは分かってるけど初めての環境でどうなるかは分からないからね」
「…わかった」
瓶のラベルには何に効くのかが書かれていた

「こっちはルークとシャノンもバッグに入れておきなさい」
2人に渡されたのは上級の魔力回復薬と体力回復薬を10本ずつ
もちろん俺に渡された分の中にもそれらは含まれてる

「大事に使うのよ」
「「わかった」」
「ありがとう。お母さん」
結構な金額になる回復薬をポンと渡す俺達の親
なんていうか…本当にありがたい

「あとはあっちのテーブルに置いてある料理も持って行きなさい」
ナターシャさんに言われてリビングのテーブルを見ると、とんでもない量の料理が並んでいた

「あなた達の為に皆で作ったのよ」
「皆で?」
「そ。だから味は保証できないけど気持ちは籠ってるわよ」
母さんが笑いながら言う
確かにおにぎりなんかは形が酷いものも入ってる
この辺は多分チビ達が握ったんだろう

「みんなありがとう」
「助かるよ」
「ゆっくり食べさせてもらうよ」
俺達が言うと皆も笑顔を返してくれる
俺はたくさん並んだ料理をインベントリにしまって行く
これだけの量を作るのは大変だっただろうなと思うと本当にありがたい
この日はみんな夕食後もリビングに残っていた
いつもは自由に過ごすチビ達も俺達の側から離れない
俺達もこれからしばらく持つことのできない、この団欒の時間を楽しんで過ごした

そして翌日、マリクやリルさんのパーティーまでやって来て、皆に見送られて俺達は出発したんだ
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