チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
104 / 370
29.拡張

3

しおりを挟む
「サラサちゃん、『とけい』って何かしら?」
暫く俺達のやり取りをただ眺めていたナターシャさんが突然尋ねた
そういえばこっちは時計って概念は無かったっけ
時間の概念は存在してる
でもその経過を知るのは教会が30分ごとに鳴らす鐘だけで、そこまで時間というものにこだわる人はいない
極端に言えば個人の体内時計頼りって感じかな
あとは動物の動きなんかで判断する
時告げ鳥と言う魔物がいて、そいつが8時に一斉に鳴き出すからそれを目安に動き出す人が多い
俺はそれが不便だから母さんに頼んで腕時計を作ってもらっただけに過ぎない

「時計はこれのこと」
俺は腕から外した時計をナターシャさんに見せた
それを父さんも覗き込んでいる

「この長い針が一周したら1時間、短い針が1周したら12時間、つまり半日なんだ」
「教会の鐘はこの長い針が上に来た時と下に来た時になるのよ」
俺の説明に母さんが補足する

「これはやっぱり…?」
「そ。元の世界のものね。時間の概念は同じみたいだし、時間を見るのが当たり前だった私には時計がないのは不便だったから作ったの。シアも時間が分からないのは不安だって言うしね」
「なるほどな…で、この針の動きで時間を把握するから動きが止まれば時間は経過しないし、動きを遅らせれば時間経過を送らせることが出来るって解釈か?」
流石父さん
たったこれだけでちゃんと理解してる
そしてやっぱり即実践するあたりなんて言うか…

「これは便利だな。時間遅延のイメージなんて出来るもんじゃないと思ってたけど」
「ってことはレイも部屋を区切ったのかしら?」
「当然だろ。そんな便利な方法知ったら分けないはずがない。画面で見るより把握しやすいしな」
元々魔法のある世界で生きて来た父さんはイメージさえできれば問題ない
操作に慣れてる分操るのも早い
その点俺はどうしても遅くなる
目に見える物が全てだった時間は結構な不自由を生むということにこの世界で生きてる中で気づいた
インベントリをただの空間として当然の様に扱える父さんと比べて、俺はそこに明確なイメージがないと操作が出来なかったのがいい例だ
今回はそれがいい方に出たけど多分損してる部分も多いんだろうとは思う
こればっかりはしかたないけど…

「何というか、教えてやるつもりが教えられた気もしなくもないが…」
父さんは少し複雑そうな顔をする

「そういうのもいいんじゃない?どうせいずれは子供たちに超えて行ってもらわないといけないんだから」
「それはそうだがな…」
超えてって…母さんを超えるのも父さんを超えるのも並大抵の事じゃないと思うけど…
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫
ファンタジー
 孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。  僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。  そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。  それから、5年近くがたった。  5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

処理中です...