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28.総仕上げ
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7月に入ると俺達は依頼を重点的に受けるようにした
「あ、これとこれ」
シャノンが手にしたのは迷宮の中階層のボス素材の依頼だ
「これは?」
ルークは迷宮迄の森にある採取依頼を見つけた
連携依頼があれば真っ先にそれを取る
それがなければ迷宮絡みを探す
それが今の俺達の暗黙の了解になっていた
まぁ、毎日希望の迷宮の素材依頼が出るわけでもないんだけどな
「これはまた随分…」
そこに記載されていたのはゴーレムの魔石30個
「決まりでしょう?」
「どれ?」
シャノンの言葉にルークも覗き込んでくる
「あぁ、これは決まりだね」
ルークも頷く
「ここならマリクたちと合同でもいいな」
「「もちろん」」
2人は当然という様に頷いた
「マリク!」
少し離れた場所にその姿を見つけて呼ぶとすぐにやって来る
「はよ。どうした?」
「コレ、行くか?40階層のボス部屋はゴーレム3体だ。ついでに迷宮迄の道で採取とこっちはオークの肉だから30階層だな」
俺は簡単に説明しながら依頼用紙を見せる
「一応5階層からボス部屋のみ移動して40階層で例のやつの予定」
例のやつ、つまりエンドレスだ
魔石30個になるとそれがないとまず無理だしな
「基本的にランクの低い方1~2体、って感じでどうだ?」
「充分だ」
「じゃぁ合同依頼ってことで処理するぞ」
「おう」
マリクの同意も得たから俺は依頼用紙を持って受付を済ませた
勿論合同依頼用の魔道具も貰って来た
ギルドを出て迷宮に向かいながら順に魔力登録を済ませていく
「あの薬草ならこっちに群生地があったよな?」
リアムが少し道からそれた方を指す
「ついでに他のも採取していこうぜ」
「帰りの方がいいんじゃないのか?質が落ちる」
ヨウが釘を刺す
「心配すんな。シアがいる」
「は?」
「シアはインベントリがあるから鮮度は落ちない」
「そう言えば…」
「そういうこと。個人としてでも暁としてでも自由に保管するぞ?」
そう言うとみんな嬉々として採取する
シャノンとルーク迄便乗してる理由が分からないけどな
結局迷宮に行くまでに結構な量を採取できて臨時収入だと喜んでいた
実はこの辺りは高ランク素材が結構ある
あんまり知られてないみたいだけどな
素材があることを知られてないって言うよりは、その素材の実物を見たことが無い人の方が多い感じかもしれない
「そう言えば迷宮はボス部屋ばっかって言ってたけどそんなことできんの?」
「ああ。迷宮踏破したら次からはボス部屋の前か後かを選べるんだ。前ならその階層を、後なら一つ次の階層を指定すればいい」
「まじか…俺次の階層しか指定できないと思ってた」
「俺も」
「…マリクとリアムは知ってると思ってたけど?」
「何で?」
「だって情報元は弾丸だし」
「トータさん良く言ってるよね。依頼帰りに迷宮によってボス素材だけストックしてるって」
「そう言えば聞いたことあるかも」
シャノンの言葉にリアムが真っ先に反応する
「いくら途中の階層素通りしても上級なら広さも半端ないしそんなに回れないんじゃないかって、昔聞いたことがあるんだよ。その時に教えてもらった」
疑問に思ったことは何でも聞いたし、みんなそれにこたえてくれた
今考えるとそれってすごく恵まれた環境なんじゃないかと思う
この日、マリク達と共に5階層から40階層のボス部屋を順に巡って40階層でエンドレスを発生させた
依頼の報酬と素材は2等分して半分をマリクに渡す
それが俺達が即席パーティーを組む時の条件だからだ
あとは預かっていた薬草をそれぞれに渡してこの日は終了
毎回ではないけどエンドレスを引きたい階層によってはマリクたちと一緒に行くことが増えた
「50階層でのエンドレスはやっぱり疲れるね~」
「でもお前らよくここまで成長したもんだ」
そう言ってくれたのはアランさんだ
7月の最終週に入って今日はアランさんとトータさんが同行してくれた
アランさんは風魔法と氷魔法、トータさんは地魔法を使う
エンドレスに入ってからは俺達とアランさん達が交互に戦った
毎月教えてもらうのとはまた違って実践で使うのはやっぱり見ごたえがある
「なによりシアの戦い方は面白いな。念動力があれだけ使えるとはな~」
「それは言えてる。俺も欲しいくらいだ」
2人はそんなことを言いながら自分たちに何らかの形で取り込めないか考え始める
俺達もそこに乗っかってあーでもないこーでもないって感じで議論する
それが思いのほか楽しくて気づいたらギルドで依頼の処理が済んで、家に着いていた
「あ、これとこれ」
シャノンが手にしたのは迷宮の中階層のボス素材の依頼だ
「これは?」
ルークは迷宮迄の森にある採取依頼を見つけた
連携依頼があれば真っ先にそれを取る
それがなければ迷宮絡みを探す
それが今の俺達の暗黙の了解になっていた
まぁ、毎日希望の迷宮の素材依頼が出るわけでもないんだけどな
「これはまた随分…」
そこに記載されていたのはゴーレムの魔石30個
「決まりでしょう?」
「どれ?」
シャノンの言葉にルークも覗き込んでくる
「あぁ、これは決まりだね」
ルークも頷く
「ここならマリクたちと合同でもいいな」
「「もちろん」」
2人は当然という様に頷いた
「マリク!」
少し離れた場所にその姿を見つけて呼ぶとすぐにやって来る
「はよ。どうした?」
「コレ、行くか?40階層のボス部屋はゴーレム3体だ。ついでに迷宮迄の道で採取とこっちはオークの肉だから30階層だな」
俺は簡単に説明しながら依頼用紙を見せる
「一応5階層からボス部屋のみ移動して40階層で例のやつの予定」
例のやつ、つまりエンドレスだ
魔石30個になるとそれがないとまず無理だしな
「基本的にランクの低い方1~2体、って感じでどうだ?」
「充分だ」
「じゃぁ合同依頼ってことで処理するぞ」
「おう」
マリクの同意も得たから俺は依頼用紙を持って受付を済ませた
勿論合同依頼用の魔道具も貰って来た
ギルドを出て迷宮に向かいながら順に魔力登録を済ませていく
「あの薬草ならこっちに群生地があったよな?」
リアムが少し道からそれた方を指す
「ついでに他のも採取していこうぜ」
「帰りの方がいいんじゃないのか?質が落ちる」
ヨウが釘を刺す
「心配すんな。シアがいる」
「は?」
「シアはインベントリがあるから鮮度は落ちない」
「そう言えば…」
「そういうこと。個人としてでも暁としてでも自由に保管するぞ?」
そう言うとみんな嬉々として採取する
シャノンとルーク迄便乗してる理由が分からないけどな
結局迷宮に行くまでに結構な量を採取できて臨時収入だと喜んでいた
実はこの辺りは高ランク素材が結構ある
あんまり知られてないみたいだけどな
素材があることを知られてないって言うよりは、その素材の実物を見たことが無い人の方が多い感じかもしれない
「そう言えば迷宮はボス部屋ばっかって言ってたけどそんなことできんの?」
「ああ。迷宮踏破したら次からはボス部屋の前か後かを選べるんだ。前ならその階層を、後なら一つ次の階層を指定すればいい」
「まじか…俺次の階層しか指定できないと思ってた」
「俺も」
「…マリクとリアムは知ってると思ってたけど?」
「何で?」
「だって情報元は弾丸だし」
「トータさん良く言ってるよね。依頼帰りに迷宮によってボス素材だけストックしてるって」
「そう言えば聞いたことあるかも」
シャノンの言葉にリアムが真っ先に反応する
「いくら途中の階層素通りしても上級なら広さも半端ないしそんなに回れないんじゃないかって、昔聞いたことがあるんだよ。その時に教えてもらった」
疑問に思ったことは何でも聞いたし、みんなそれにこたえてくれた
今考えるとそれってすごく恵まれた環境なんじゃないかと思う
この日、マリク達と共に5階層から40階層のボス部屋を順に巡って40階層でエンドレスを発生させた
依頼の報酬と素材は2等分して半分をマリクに渡す
それが俺達が即席パーティーを組む時の条件だからだ
あとは預かっていた薬草をそれぞれに渡してこの日は終了
毎回ではないけどエンドレスを引きたい階層によってはマリクたちと一緒に行くことが増えた
「50階層でのエンドレスはやっぱり疲れるね~」
「でもお前らよくここまで成長したもんだ」
そう言ってくれたのはアランさんだ
7月の最終週に入って今日はアランさんとトータさんが同行してくれた
アランさんは風魔法と氷魔法、トータさんは地魔法を使う
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「なによりシアの戦い方は面白いな。念動力があれだけ使えるとはな~」
「それは言えてる。俺も欲しいくらいだ」
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俺達もそこに乗っかってあーでもないこーでもないって感じで議論する
それが思いのほか楽しくて気づいたらギルドで依頼の処理が済んで、家に着いていた
95
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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