チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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24.挨拶

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ランクアップしたその日の晩にコーラルさんからカルムさんに通信が入った
で、俺達はその翌日の依頼帰りにコーラルさんの屋敷に尋ねることになったんだけど…

「すごーい」
「でっかいねー」
シャノンとルークの言葉が全てだと思う
俺たちの家も4世帯だけに大概でかいけど、その数倍はあると思う
こんなデカい屋敷が王都じゃないこんな田舎の町にあること自体に違和感がある
すぐに応接室らしき部屋に通されて待つこと数分
コーラルさんが軽い足取りで入ってきた

「久しぶりだねシア」
「お久しぶりです。その節は…」
「ああ、堅苦しい挨拶は不要だ。君達がシアの弟妹、ルークとシャノンだね?」
2人は勢いに飲まれたかのようにただ首を縦に振る

「私はコーラル・スチュアート、弾丸の後ろ盾をしていて昨日からは君達無限の後ろ盾にもなった」
コーラルさんはそう言いながら穏やかな笑みを浮かべる

「コーラルさんに聞きたいことがあるんですけど」
「何かな?」
「俺たちの後ろ盾するメリットはないですよね?」
カルムさんからは当然の様に言われたけど俺はそこがサッパリわからない

「メリットなら大いにありますよ」
「え?でもSSランクパーティーの弾丸がいれば俺らなんて…」
「今はそうかもしれませんね」
「今は?」
「そう。今は、です」
コーラルさんはそこでいったん言葉を切って紅茶を口に含んだ

「私たちのように領地を持つ貴族は領地を守る使命があります。スタンピードが起こればその被害は計り知れません。その意味で弾丸の存在はとても心強い」
それは当然だ
多分それに反論できる人なんていない

「スタンピードは近年増加傾向にありますからね。国はスタンピードの起こった国へSランク以上の冒険者に召集依頼を出します。弾丸は当然その対象です」
「そうでしょうね」
「もし、他の国や領に召集されてる時に、この町にスタンピードが発生すれば?」
「…!」
俺は思わず息を飲んだ
Sランク以上が出払った状態でのスタンピード
呼び戻すにも場所によっては何日もかかる
しかも通常Sランク以上がその場の指揮を取るだけに、それが不在なら身動きが取れない可能性もある

「だから貴族はAランクを奪い合いする?」
「それは大きいでしょうね。Sランク以上はどうしても国が優先されます。自領を強固に守ろうとするなら、Aランクの冒険者を味方につけることが出来るメリットは大きいでしょう」
通常の依頼よりも後ろ盾の貴族の依頼は優先する決まりがある
そういう意味では有事の際はその貴族の為に動くことになるわけだよな
「たとえAランクで完全に抑えきれないとしても、Sランク以上が戻るまでの時間稼ぎは出来ますからね」
時間稼ぎできるだけでもAランクなら合格ってことか

「もっとも後ろ盾になっているSランク以上の冒険者が、国の依頼で他国や他領で活躍した場合の評価は我々に帰って来ます。それを領民に還元できることを考えれば、Sランク以上の冒険者も味方につけておきたいですがね」
「お父さん達と私たちの役割が違うって言うこと?」
「簡単に言えばそうですね」
よくできましたとでも言わんばかりの笑みで言われ、シャノンは顔を真っ赤にしていた

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