チートな親から生まれたのは「規格外」でした

22.令嬢達の処罰

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その時複数の足音が近づいてきた

「シア！」
父さんの声だ
「無事ね？」
母さんの声に頷いて返す

「なん…どうやって人を…」
「連絡を取る手段なんていくらでもあるってことだ。俺達にあんた達の常識は通用しない」
「そんな事よりシア、もう一度説明してくれ」
父さんは相手の戸惑いには一切興味を示さない

「主犯はエリザベス・ミュラーリア・サブマリン。シャノンを裏賭博に引き込んだのもこいつの仕業。その理由は俺を手に入れたかったから、らしい」
「お前を？」
「俺を捉えて成人まで監禁して、成人したら無理矢理第二夫として結婚させるつもりだったらしい。その前に媚薬使って既成事実を作るなんてこともほざいてた。それにこいつらの香水は魔封じの効果があるらしいよ」
「媚薬…魔封じ…穏やかじゃねぇなぁ？」
カルムさんは挑戦的な笑みを浮かべた
これ、ヤバいヤツな気がするけど大丈夫…だよな？

「何考えてるか知んねぇけどただの淫乱ってことだよね」
「淫乱…ですって？この私が？！」
「自分の魅力じゃ足りないからって媚薬使うつもりだったんだろ？気持ちが自分に向いてなくても抱いてもらえさえすればいいなんてさ、そんなん淫乱以外の何者でもないじゃん」
「違いますわ！私の魅力は…」
「残念ながら俺、権力振りかざして思い通りにしようとするあんたみたいな女一番嫌いだし」
「そんな…」
「まぁ、淫乱はともかく…俺達も軽く見られたもんだな」
「カルムさん？」
怒気を含んだ声に俺でも寒気を感じた

「この小娘は弾丸に喧嘩を売った。そういうことだな」
「弾丸…？！私はそんなつもりじゃ…」
エリザベスが叫ぶ
俺をただの平民と思ってたせいか父さんたちの事は知らなくても弾丸の名は知ってるらしい

「シャノンやシアに手を出したんだろうが？俺達には王との取り決めがある。俺達が関わる貴族は後ろ盾の1人だけ。スタンピードの際にこの国を守るために動く代わりに、俺達の家族や身近な者も含めて他の貴族を関わるせないという取り決めがな」
「お前さんは自分の欲望のままにその取り決めを破ったというわけだ。つまり、あんたのせいでSSランクの冒険者が6人敵に回るってことだ。ついでに言えばもうすぐAランクになるシアも、Bランクになったルークやシャノン、もうすぐBランクになるマリクもだな」
「俺達だけじゃ足りずに将来有望な冒険者まで敵に回すとは大したもんだなぁ」
「ひっ…ちが…」
カルムさんのドスの聞いた声はそばで聞いてる俺でも怖い

「私達はただシア様が…それに家や国は…か、関係ございませんわ」
「あんたは自ら家名を名乗って俺を脅した。その上強硬手段に出ようとした以上そんな言い訳は通用しないからな。どうやら王の覚えもいいらしいし？」
「シア…さ…ま？」
「はっきり言ってお前らみたいの見てると気分が悪い。親の権力笠に着て威張り散らしてる強欲な女。何でもかんでも自分の思い通りになって当然と思ってる腐った思考、そういう相手とは対等に付き合う価値もない」
「シア、お前の気持ちは分かった。ここから先は俺達と国との話だ」
「そういうことになるね」
父さんに続いて聞いた事の無い声がした