チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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20.結婚式

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「やっぱシア目当ての女が多いな」
辺りを見回しながらマリクが耳打ちしてくる

俺自身周囲の様子を伺うと今にも突撃してきそうな女が数名
「…とっとと入ろうぜ」
俺はそれらを見なかったことにしてさっさと中に入ることにした
神殿の周囲は誰でも集まれるけど、中には招待客じゃないと入れないからだ

「可愛い子いたのにもったいないなぁ」
「勝手に言ってろ」
ルークに呆れながら段差の前でケインを抱き上げて中に進んだ
中にはランディさんやミリアの勤める用品店の夫婦、リルさんのパーティーメンバーとその家族が既に座っていた
来た順に前から詰めていくようにと言われて俺達は前の方に並んで座る
その後ろに父さんたちが並んで座っていた

「なんだか懐かしいわね」
「お前は自分の結婚式が初めて見た結婚式だったか」
「そう。だから余計に忘れられないわ。元の世界では考えられないような神秘的な儀式みたいで…」
そんな父さんたちの会話に今からどんな式が行われるのかちょっと楽しみになった
少しすると厳かな雰囲気に包まれた神殿にバルドさんが入ってきた
そしてミリアがカルムさんと一緒に入ってきた

「誓いを」
神父様の言葉にバルドさんがそっと手を前に出す

《我、この者を生涯愛し、共にすることを誓う》

するとバルドさんの手のひらの上に淡い光が浮かびあがった
その光にミリアが触れる

《我、この者を生涯愛し、共にすることを誓う》

ミリアが同じ言葉を添えると二人はその光に包まれた
そして互いの手の甲に魔法陣が白く浮かび、消えていく

「この者たちの婚姻が神に認められた」
神父の言葉に歓声と拍手が神殿内を満たした

「すげぇな…」
目を反らすこともなく見入ってしまったその光景に思わずそうつぶやいた
あんな光景前世のTVの中でも見たことが無い
魔法ってすげぇな…

「神官のスキルを持つ人の身が使える特別な契約魔法何ですって」
母さんはそう教えてくれた
最初に誓う者の言葉に虚偽の気持ちが混じっていれば光は現れない
続く者に虚偽の気持ちが混ざっていれば光に触れることができない
両者の言葉に虚偽なしと判断されて初めて手の甲に魔法陣が刻まれる
ちなみに婚姻が成立してから浮気や不倫をした場合は魔法陣が黒く浮かび上がるらしい
もし両者が恋愛結婚じゃなく政略だった場合は”生涯愛し”の部分は”生涯尊重し"と宣言するのが一般的なんだとか
平民の俺らにとったらそれは殆ど縁のない言葉だけどな

「憧れちゃうよ~。私もあんな式挙げたい」
シャノンは既に妄想の世界に旅立ってるように見える
その横ではスカイも同じようにぼそぼそとつぶやいている

「やっぱ女の子はこういうの憧れるのかな?」
そう口にしたのはルークだ

「僕は女の子じゃないけど憧れるな。こんな式挙げたら改めて大切にしたいって思うだろうしね」
「ヘンリーはそういうとこあるよな?」
「シアと足して2で割った方がいいんじゃねぇの?」
「どういう意味だよ」
リアムの言葉に苦笑する

「シアは女に拒否反応持ちすぎなんだよな。その分ルークがぶっ飛んでるけどさ」
「言えてる。ちょっとはルークを見習ったらどうだ?」
「その必要性を一切感じないけどな」
「はは…まぁあんな獲物見る目で見られりゃイヤにもなるか?」
マリクの言葉に外にいた女を思い出し頷いて返した

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