チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
75 / 370
19.遠い道のり

6

しおりを挟む
「…お前はいい加減、ルークと比べるのをやめないとな」
「え…?」
「いくら双子でも性別による成長速度も、持って生まれたスキルも、妖精がくれたスキルも違うんだぞ?」
「分かってるよ…」
「お前の補助はこれまでよりもこれからの方が重要になるよ」
補助スキルの有効性はまだまだ知られてない部分が多い
俺達も知らない使い方があるはずなんだよな

「そんなことないよ…」
「本当にそう思うか?熟練度が上がれば化けるスキルもあると思うけどな」
「例えば?」
「そうだな。俺の時空魔法なんかがいい例だろ。ストップなんて今は1~2秒しか止めれないから使い道もないけど敵の動きを5秒止めれたら?」
「最高の武器になる」
「だろ?それにシャノンの補助魔法は熟練度が上がれば重ね掛けが出来るはずだ。敵が強くなればそれは役に立つと思うけどな」
俺はそう確信してるけどシャノンはまだ納得できないという顔をする

「シャノン」
「?」
「俺達はパーティーを組んでる」
「うん」
「パーティーのメンバーが皆同じ部分だけ強くてもあんま意味がないんだよ」
「どうして?」
「自分の長所を持った奴がどれだけ集まっても短所はカバーできないだろ」
「それは…」
シャノンは否定できなかったらしい

「お前気付いてるか?俺達は3人集まったら全属性の魔法が使える」
「え?」
「どんな敵が来ても誰かが敵の弱点を最大限に攻撃できるってことだ。それに俺は3人の中では魔法も念動力も勝てるけど剣に関してはルークには敵わないし、補助も念動力で多少は使えてもシャノンには敵わない」
「でもシアもルークも補助なんて無くても戦えるじゃない。少しは楽になるかもしれないけど…」
「その通り」
言い切るとシャノンの体がこわばった
これは誤解したか?

「お前の言う通り楽になるんだよ」
「え…?」
「依頼や普通に迷宮を攻略する場合は好きなタイミングで切り上げたり休んだりできる。でもこの先の旅でそれは不可能なはずだ。その状況での補助は別の意味が出て来るだろうな」
そう言うとシャノンはようやく顔を上げた
安全な場所までの距離も敵の強さもわからない
ちょっとした隙を突かれても補助がかかってればダメージは確実に軽減できる

「私でも役に立つ?」
「当たり前だろ」
「…ありがと…じゃぁ今のうちに熟練度を出来るだけ上げれるように頑張るね」
「ああ。期待してるからな」
ようやく笑みを見せたシャノンにホッとする

「…シアみたいな人が落ちてたら絶対付き合ってって言うんだけどな」
「はぁ?」
「優しくて頼りになるし…お金もあるし強いし。みんなも言ってるよ?お買得物件」
「…俺は商品じゃねぇよ」
ってか妹じゃ無けりゃこんな面倒なことできねぇしする気もねぇよ
ぶっちゃけ他人と一緒にいるのは苦痛でしかないから

「ルークとシアを足して2で割ったら丁度よさそうなのにね」
「いらねぇよ」
ため息交じりに言うとシャノンは声を上げて笑った

「ほら、元気になったなら帰るぞ」
促して歩き出すと、シャノンは慌ててついてきた
それにしても、旅の間もこういうことは頻繁に起こるのだろうかと思うとちょっと憂鬱になる
本当に、色々と遠い道のりなのかもしれない
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~

沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。 ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。 魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。 そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。 果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。 転生要素は薄いかもしれません。 最後まで執筆済み。完結は保障します。 前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。 長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。 カクヨム様にも投稿しています。

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない

丙 あかり
ファンタジー
 ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。  しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。  王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。    身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。    翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。  パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。  祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。  アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。  「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」    一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。   「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。 ****** 不定期更新になります。  

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

処理中です...