チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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19.遠い道のり

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「…お前はいい加減、ルークと比べるのをやめないとな」
「え…?」
「いくら双子でも性別による成長速度も、持って生まれたスキルも、妖精がくれたスキルも違うんだぞ?」
「分かってるよ…」
「お前の補助はこれまでよりもこれからの方が重要になるよ」
補助スキルの有効性はまだまだ知られてない部分が多い
俺達も知らない使い方があるはずなんだよな

「そんなことないよ…」
「本当にそう思うか?熟練度が上がれば化けるスキルもあると思うけどな」
「例えば?」
「そうだな。俺の時空魔法なんかがいい例だろ。ストップなんて今は1~2秒しか止めれないから使い道もないけど敵の動きを5秒止めれたら?」
「最高の武器になる」
「だろ?それにシャノンの補助魔法は熟練度が上がれば重ね掛けが出来るはずだ。敵が強くなればそれは役に立つと思うけどな」
俺はそう確信してるけどシャノンはまだ納得できないという顔をする

「シャノン」
「?」
「俺達はパーティーを組んでる」
「うん」
「パーティーのメンバーが皆同じ部分だけ強くてもあんま意味がないんだよ」
「どうして?」
「自分の長所を持った奴がどれだけ集まっても短所はカバーできないだろ」
「それは…」
シャノンは否定できなかったらしい

「お前気付いてるか?俺達は3人集まったら全属性の魔法が使える」
「え?」
「どんな敵が来ても誰かが敵の弱点を最大限に攻撃できるってことだ。それに俺は3人の中では魔法も念動力も勝てるけど剣に関してはルークには敵わないし、補助も念動力で多少は使えてもシャノンには敵わない」
「でもシアもルークも補助なんて無くても戦えるじゃない。少しは楽になるかもしれないけど…」
「その通り」
言い切るとシャノンの体がこわばった
これは誤解したか?

「お前の言う通り楽になるんだよ」
「え…?」
「依頼や普通に迷宮を攻略する場合は好きなタイミングで切り上げたり休んだりできる。でもこの先の旅でそれは不可能なはずだ。その状況での補助は別の意味が出て来るだろうな」
そう言うとシャノンはようやく顔を上げた
安全な場所までの距離も敵の強さもわからない
ちょっとした隙を突かれても補助がかかってればダメージは確実に軽減できる

「私でも役に立つ?」
「当たり前だろ」
「…ありがと…じゃぁ今のうちに熟練度を出来るだけ上げれるように頑張るね」
「ああ。期待してるからな」
ようやく笑みを見せたシャノンにホッとする

「…シアみたいな人が落ちてたら絶対付き合ってって言うんだけどな」
「はぁ?」
「優しくて頼りになるし…お金もあるし強いし。みんなも言ってるよ?お買得物件」
「…俺は商品じゃねぇよ」
ってか妹じゃ無けりゃこんな面倒なことできねぇしする気もねぇよ
ぶっちゃけ他人と一緒にいるのは苦痛でしかないから

「ルークとシアを足して2で割ったら丁度よさそうなのにね」
「いらねぇよ」
ため息交じりに言うとシャノンは声を上げて笑った

「ほら、元気になったなら帰るぞ」
促して歩き出すと、シャノンは慌ててついてきた
それにしても、旅の間もこういうことは頻繁に起こるのだろうかと思うとちょっと憂鬱になる
本当に、色々と遠い道のりなのかもしれない
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